広東茶食旅(マカオ・珠海・順徳)2025(4)珠海から順徳へ

何とか山を下りて、そこで車を呼ぶ。取り敢えず辺境へ戻って広場を歩くと、鄧小平の言葉が掲げられていた。珠海も4つの経済特区の1つだったが、深圳ほどは発展しなかった。今の私にとってはホッとする場所だが、ここに住む人々にとってはどうだろうか。その横に珠海駅と書かれた建物がある。行ってみると、何と高鉄の駅だった。

だが切符売場は自販機ばかりで身分証が無いので買えない。聞いてみると外側に窓口があることが分かり、そこへ行って並んだ。昔のような混雑はなく、すぐに順徳行きの切符が買えた。後は部屋に戻り荷物を取ってここへ戻るだけだったが、少し腹も減った。珠海名物はあまりなさそうだったので、気になっていた広西の螺蛳粉を食べてみる。タニシが入っているらしいが、あまり感じられない。少しスパイシーだが十分に旨い。体調も問題はない。

荷物を引きずって駅に戻った。高鉄に乗るには中国人は身分証をかざせば機械を通れるが、パスポートの人は人工入口を通らなければならない。ただ人は多くなく、すんなり入る。更に改札口でも同じことだが、老人のための端のゲートは人工なので問題ない。しかもよく見ていると、機械の真ん中の方にはパスポートでも通れる、との表示が見えたが、どうなんだろうか。

車内は、何と1両の後ろの方に席が無く(臨時の予備席のみ)、荷物が沢山置けそうだ。こういう設備に慣れていると、日本の新幹線は本当に狭くて荷物が置けないと感じるだろう。席は窓側だと思っていたが、そこは窓のない窓側。まあ1時間なので特に問題はないが、周囲の景色を写真に撮るのは難しい。

田舎を走り抜け、高鉄は順徳駅に着いた。ここは中国によくある高鉄駅で、周囲には何もない。出口に白タクが沢山いたが、それを無視して車を呼ぶ。本当に人が少ないので、すぐに見つかる。途中までは田んぼの横を走り、それから街中へ入る。何となく昔の中国旅を思い出す。

今日の宿は敢えてチェーンホテルではなく、香港系老舗ホテルにした。何しろ安いのだ。よくあるパターンだが、30数年前に作られ、既に老朽化は進んでいるが、部屋は広く、眺めがよく、居心地は悪くない。フロントの年配女性もちゃんと英語を話し、サービスも悪くない。何となく昔の香港を思い出す。以前は日本人も良く泊まったのだろう。

その部屋の窓から周囲を見ていると、古い建物が目に入ってくる。ああ、ここが清暉園か、ということは、順徳旧市街の中心に私はいるのだとようやく認識する。取り敢えず下に降りて清暉園を覗いてみる。門のところへ行くと、中国でよくある微信登録が必要だと書かれており、ちょっと面倒だなと思う。だがよく見てみると、「65歳以上は無料、60₋64歳は半額なので窓口へ」とあるではないか。

保安員に聞いてみると、ここは出口で、入り口は向こうだと言われ、行ってみると荷物検査後、さっき見えた切符売場へ。確かにパスポートを見せると半額の切符をくれた。中国の定年は今も男60歳、女55歳が標準らしいが、この60₋64歳の微妙な扱いは経過措置なのだろうか。そういえば珠海に入る時もそう言われたな。

清暉園は清代に栄えた龍家の広大な邸宅だった。観光客もかなりおり、順徳一の観光地のようだった。蘇州などでも見た、池を拝し、石山を築く豪華な庭園、そして立派な建築物。この地域で最も財を成した一族に相応しい邸宅だった。龍家は科挙合格者を多く出し、状元も輩出している。ここには日本の絵馬のような、試験合格を祈った御札が沢山下がっていた。

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