何となく疲れが出てしまい、部屋に戻って休息する。クーラーがかなり部屋を冷やしており、寒くて仕方がないが、どこを押したら止まるのかも分からない。電話するとすぐに係員が来て、ベッドの横を指す。古い設備を一部変えると、どこがどうなっているのかさっぱり分からない。
夜の早い時間に2階のレストランへ行く。シャワーを浴びて、今日はもう外へ出る気がなかった。お客はまだ誰も来ていない。一人でメニューを見ながら「順徳の名物はどれか?』とスタッフに聞いてみると「炒牛乳が美味しいよ」と教えてくれたが、さすがに牛乳を炒めるという文字に恐れをなして注文せず。

結局魚球と焼きそばを頼んだのだが、非常に美味しかった。そしてそれ以上頼もうとするとスタッフが「一人だと食べ切れないよ」と親切にアドバイスをくれる。こんなところが、売上重視ではなく、何となくよい。そしてお茶はプーアルを頼んだが、一体いくらするんだろうと気にしていると、何と僅か2元だった。一応それなりのホテルのレストランでこの料金は凄い。大満足の夕飯だった。



3月13日(木)順徳博物館で
昨晩はかなり早く寝たので、早めに起床。体調を考えて朝ご飯を抜こうかと考えたが、何となく回復基調だったので、朝粥を食べに行く。ホテル代に朝食が含まれていたので、ちょっと食べるつもりが、そこは広東、飲茶の点心があり、揚げ牛乳まであって、ついたくさん食べてしまう。

腹がくちたので、そのまま散歩に行く。近所に市場があり、人がかなりいる。ご飯が食べられる店は殆ど開いていなかったが、活気はある。その裏側に回ると、所謂老街が広がっており、古めの建物がずらっと並ぶ街並みが出現した。ここは観光客が歩く場所であるようで、老舗と書かれているが店は新しい。


一度宿に戻り、車を呼んで出掛ける。取り敢えず順徳を知るために博物館へ行ってみる。車は20分ほど走り、かなり郊外の新しい街?にやってくる。新しいオフィスや住宅がそこにあり、博物館もまた新しい。ただそこには地元中学生が社会科見学?に来ており、大混雑で中に入れない。そもそも登録とかどうするのか分からなかったので保安に聞いてみたら、そのまま通してくれた。無料。

すぐに目に付いた華人の歴史展示へ。順徳人は香港にも沢山いるが、もっと昔から海外移民していた様子が分かる。具体的にシンガポールなど東南アジアへ移民した人の歴史が細かく書かれていて面白い。ペナンの順徳会館は1838年設立となっているが、随分と早い。バンコク、スクンビットであった上海大酒楼も順徳人がオーナーだった。


更に目を惹いたのは、マダガスカル、モーリシャス、セーシェルなど、南洋、アフリカ沿岸の島々に渡った人々が多くいたことだ。モールシャスの南順会館は1819年設立というのは本当だろうか。また最近大注目のレユニオン島にも同郷会館があり、あの謎の焼売は順徳人がもたらした可能性もある。

そして香港には英領となって以降、多くの順徳人が移住し、李兆基(恒基兆業)、鄭裕[丹彡](新世界)など、香港で世界的な富豪になった人物・一族も輩出している。私としては個々の料理や料理人の紹介なども欲しかったが、それは意外と難しいのかもしれない。他の展示も沢山あったが、中学生がとてもうるさいのですごすごと退散した。

周囲を歩いても面白くなさそうだったので、車で宿へ戻り、荷物を纏めて宿を変更した。近所にあった新しい宿はチェーンホテルの定宿なので、何があるか、どこにあるかなどほぼ分かっている。室内は機能的で、昨日の宿よりかなり現代風。ただ何となく、昔風を懐かしむ気持ちもある。
