ここで石を祭っているのを見た。これはクメール系の影響が強いと聞かされ、なるほどと思う。我々は華人の観点でこの地域を見てきたが、実は元々はクメールのエリアなのだ。少し行くとカンボジアに入るらしい。クメールとベトナムの関係、機会があればもう少し歴史を見てみたい。既に時間は昼を過ぎていた。街中に食堂を見付けて、普通に美味しい鶏飯を食べる。4.5万ドンというから、地方都市も都会もあまり物価は変わらない。
もうそろそろ帰るのかなと思っていると、車は東に進んでいく。バクリュウという新たな省へ入った。ここは更に華人色が強いと言われ、外を眺めると、確かに華人のにおいがする。川の横にある旧市街地には、漢字が良く見られ、狭い道には古廟や同郷会館もいくつもあった。
天后宮が大きい。中には関帝廟も完備されている。その横には華人学校(今は使われていないかな)があり、広肇会館の文字も見られるので、この辺は広東系が多いのだろうか。もうちょっとゆっくり街を歩いてみたかったが、そろそろ帰る時間のようだ。何とも残念だが、次回ゆっくり来よう。
カントーへの帰り道、1時間ほど走ると車は止まる。「お土産でも買ったらどうだ」と言われて降りてみると、そこはまるでテーマパークのように大きい。漢字で新華園食品という文字が見える。華人系企業だとは分かるが、聞いてみると潮州人だという。そしてここの名物菓子は潮州月餅を改良したパイ。この付近なら誰でも知っている有名店。確かにお客さんは多かった。
更に1時間ほど走り、既に日が暮れたカントーに何とか戻った。宿まで送ってもらい、皆さんと別れた。これはなかなか経験できない旅だった。Iさんに感謝。そして腹が減り、外を彷徨うが、いい所が見付からず、最後はバインミーのスタンドで買って帰った。スタンドの女性とは言葉が通じなかったが、すぐにスマホを出して翻訳アプリで会話してくれ、有り難い。バインミーも旨かった。
10月14日(月)ホーチミンへ
今朝はゆっくり起き上がる。そして川に近いカントー刑務所跡に散歩がてら行ってみる。ここもフランス時代に抑圧された人々が展示されている。囚人の中に華人はどれほどいたのだろうか、と思ってしまうが、残念ながらベトナム語も読めず、何も分からない。建物は意外ときれいに残っている。
そこから川沿いを歩いてみる。意外と水位が高いのは雨季だからだろうか。ちょっと雨が降れば溢れてしまいそうだ。朝ご飯を探す。昨日南部名物の麺フーティウは潮州の粿條(タイではクイッテアオ)だと聞いて、それが頭から離れない。何とか探し出して写真を撮りながら食べてみる。店のお爺さんがとても優しい。
10時にチェックアウトすると、すぐに迎えのミニバスが来た。今日はホーチミンへ移動だが、何と宿でチケット予約が出来、送迎車が宿まで来る。ベトナムの交通網は旅行者にとても優しい。郊外のバスターミナルへ行くと、バスがたくさん並んでいる。まずはカウンターでチケットを受け取り、料金を払う。
バスはちょっとわかりにくく、11時発のホーチミン行が2台ある。と思ったら、何と私のバスは11時1分発らしい。その意味はよく分からないが、それほど頻繁に出ており、1台が満席なら増発するのでは、と思われる。バスはベトナムでいつも乗る長距離用で、寝転んでいける。ただ何故か上段を選んでしまったので、年寄りには上り下りが大変だ。
バスは順調に出発したが、何と1時間後にランチ休息。これは決められていて仕方がないが、何だかな。その後も順調に走り、合計3時間でホーチミン郊外までやってきた。カントーとホーチミンの近さを感じる。ただこのバスターミナルから街の中心1区まではかなり距離があるので、Grabで車を呼ぶ必要がある。そして雨が降りだしたこともあり、渋滞が発生して、なかなか進まない。