《奇想天外マレーシアの旅》(7)イポー イポー目前で大渋滞

1. イポー

イポー手前で大渋滞

気持が急速に落ち込んでいた。スリの被害額は大したことはない。パスポートやカードなど取られて面倒な物は全て手元に残っている。これはプロの仕業、足のつくものには手を付けていない、幸いだった。旅も続けられる。ということで、イポー行のバスに乗り込む。乗客は少なく、快適なはずなのだが、気持ちを立て直すことが出来ない。こちらには落ち度は殆どなかったと思う。ではなぜ?

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バスはチンタラ走る。そしてイポー行直通ではなく、途中のポートディクソンへ寄った。小さな町でバスターミナルではなく、適当にところで乗客を降ろしたようだが、それでも時間を取られる。トイレにはこまめに行く。

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更に進むと夕陽が傾く。もう一つクランという街にも入る。高速道路は快適なのだが、街中は少し渋滞。イポーまで6時間と言われたが既に4時間近い。これなら一度KLに戻り、バスを探した方が良かったような。

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そして日が暮れ、到着時刻が近づく。明るい内に到着すると何かと気が楽だったのだが、何とイポーまであと50㎞で大渋滞に嵌る。最初はちょっとした事故なのかと思っていたが、いつまでも車が動かない。ちょっとイライラし、そしてまたスリのことを考える。早く新しい街へ行き、気分を変えたいのに、試練が与えられているようだ。

 

1時間後ようやく渋滞を抜け、さあ、イポーだ、と思った瞬間、バスは無情にもドライブインへ入る。ここは相当大型で、きれい。どうやらこのバスはイポー止まりではなくさらに先に行くため、運転手の休息と食事休憩が義務付けられていた。あと20㎞でイポーなのに、と一人悶々としていたが、20分休憩と言いながら、運転手が帰ってくる気配はない。

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乗客が戻り、最後に運転手が席に着いたのは40分後ぐらいだった。そしてあっという間にイポーバスターミナルへ。マラッカを出てから実に8時間近くが経っていた。ターミナルには人影もまばらで、市内へ行くバスなど見付からない。仕方なくタクシーに乗ると25rも取られる。

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大音響のホテル

どこへ行くのかと運転手に問われ、ハッと我に返る。私はホテルの予約もしていなければ、この街のことを何も知らない。だが適当なホテルへ、と言いたくなかった。どうしてもスリのことが頭に残っており、何かが起こりそうな気がしたからだ。ガイドブックで見た、エクセルシオールという名前を言うと、無言で走り出す。

 

市内まで15分ぐらい、タクシー代は高過ぎた。ホテルに入ると、大音響でライブ演奏中だった。他を探したかったが、夜の10時過ぎで、疲れてもいた。1泊150rも気に入らなかったが、部屋は静かだと言われて、チェックイン。部屋は古びていたが、広々としており、多少救われる。だが下での大演奏は当然ガンガン響いてきた。表に出たかったが、疲れが邪魔をした。

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ネットが繋がるので、Facebookに今日の出来事を書き込んだ。今日の出来事を今日書き込むことは稀であるが、そうせざるを得ない精神状態だった。明日からどうやって旅を続ければよいのか、人が信じられなくなる怖さ。

 

もう夜中の12時だというのに、演奏はどんどんエスカレートしていく。このまま朝まで続いたら気が狂いそうだと思った午前1時、ピタッと終了した。そして恐ろしいほどの静寂が訪れ、それがまた私の眠りを大いに妨げた。

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