極寒北京旅2023(4)寂しい茶城

北三環の北側にある茶城へ行く。昔馴染みのお茶屋さんがあったので顔を出してみたのだが、そこはかなり寂しい状況になっていた。午前中とはいえ、半分以上の店は閉まっていた。馴染みの店も移転して小さくなっていた。コロナがそんなに大変だったのかと聞いてみると『コロナ中はまだよかったが、今年は本当に景気が悪くて、お茶が売れない』と嘆いている。日本の報道でも中国経済の低迷は言われていたが、ここでそれを実感した。いや、思っていた以上に深刻なような気がした。

それでも馴染みというのは有難い。美味しいお茶を淹れてくれ、スマホアプリで食事を取って、ご飯を炊いて、もてなしてくれる。出会った頃に生まれた長男は今や高校生になっているという。月日の経つのは早いものだ、と思うと同時に、彼らの将来がちょっと不安になる。まあ日本も同じような状況ではあるので、大きなお世話というものか。

そこからバスに乗り、西直門へ向かった。交通カードがあるので思い切ってバスに乗れた。バス代は市内中心なら1元と地下鉄より安い。そのせいか、寒い中を老人が沢山乗っている。数日前に降った雪も解けておらず、道は滑りやすくなっていたが、何とか目的地まで辿り着く。まあ北京では昔からこうだったのだ。

西直門をちょっとフラフラすると、胡同と書かれた場所があったが、既にすっかりきれいになっていて、私が思う胡同ではなかった。駅のところには大きなショッピングモールがそびえており、これがどこにでもある日常風景となってしまっている。その中に入ると、なぜか日本のアニメキャラクターなどが登場して驚く。

待ち合わせに指定された書店へ行く。うわさでは聞いていたが、本屋へ入ると三島由紀夫や川端康成など、日本人の作品が目を引く。そしてこの本屋、奥にカフェが併設されており、多くの若者が本を読んでいる。友達とお茶しながらしゃべっている人などいない。店内に静寂が走る。これが今の北京か。

待ち合わせたが、とてもこのカフェでは話が出来ないので、別の店へ入る。こちらは、携帯で通話しているおじさんもいて、普通に話が出来る。Sさんとは以前1₋2度会ったことはあるが、それほど多く話をした記憶はない。先日ベトナムへ行き、以前北京に住んでいた方と会った時に名前が出たので、懐かしいと思い、連絡してみた。最近は新刊本も出版して、順調のようでよかった。色々と北京の内輪話も聞けて楽しかった。

帰りは2号線で東直門へ行き、そこからバスに乗る。バス停近くから見上げると、空が何ともいい感じだった。以前の北京はスモッグが酷かったが、今や空が澄んでいる。少し腹が減ったので、羊湯を飲んで温まる。しかしこの辺はどこもかしこもチェーン店ばかりで面白みはない。

11月28日(火)東京へ

北京最終日の朝。寒さの中、散歩に出る。風が強いと寒さが増す。三元橋付近はオフィス街なので、面白そうなところはない。ちょっと行くと北朝鮮レストランがあったぐらいか。早めに宿を出て、車を呼び、空港へ向かう。空港タクシーは100元近くかかったが、今回は時間的にも早いし、代金が50元代と半額近かった。やっぱりボラれたんだ。

チェックインも東京へ帰るだけなので至極簡単。緊張感はまるでない。今回は日系の航空会社で楽ちんと思ったが、まずは冷たいドリンクしか出て来ず、機内食は選択できず、最後にはこの寒いのにハーゲンダッツのアイスが出る。まるでお腹が痛くなってしまうようなラインナップに閉口した。まあ昔からそうだが、とうとう乗客の主体が中国人に移ってもサービスは変えない。素晴らしい持続性だった。私も心を穏やかに持続して機内で過ごした。

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