福岡、長崎茶旅2022(2)謝国明、大宰府

雨を気にしながら、福岡城跡を登っていく。建物はほとんど残っていないが、石垣などは見て取れる。意外と坂がきつく、足元も滑りやすかった。天守台の見晴らしは素晴らしく、昔はここから港を眺めていたに違いない。下に降りると花菖蒲が咲いていた。更にNHK前まで来ると、廣田弘毅像が建っており、広くて、景観の良い大濠公園に続いている。

疲れたので地下鉄に乗り、博多駅へ行く。観光案内所を探したが見つからず(総合案内所で対応。パンフ・地図が置かれるのみ)。もらった地図を見ながら、駅周辺を歩いてみることにした。まず目についたのが、謝国明の墓。大きな樹木が立っており、その中に墓や記念碑が建っている。謝国明は大河ドラマなどにも登場したので知ってはいるが、特に聖一国師のスポンサーだったことに着目した。承天寺は謝の支援により国師が開山した。

そうなると承天寺にも行きたくなる。数年前に訪れた時と同じ『饂飩蕎麦発祥之地』『御饅頭所』『満田彌三右衛門の碑』の3つの石碑が建っている。国師一行が大陸より饂飩、饅頭、蕎麦、織物などを持ち帰ったことが記されている。ここに謝国明がどのようにかかわったのかは興味深い。

更に歩くと妙楽寺がある。戦国末期、博多の豪商茶人に神谷宗湛がいるが、彼の立派な石の墓がここにあった。その横には円覚寺が見える。ここは茶道の伝書『南方録』が伝わったとある。そして入宋を目指した聖一国師が最初に滞在した寺ともある。門は固く閉ざされており、中を窺うことはできない。ついでに栄西の聖福寺も再訪した。静かな境内は好ましいが、廣田弘毅の墓は何度探しても見付からない?

雨が強く振り出し、疲れも出てきたので、宿に逃げ帰り、風呂に入って休息する。夜はY夫妻と食事の予定があり、バスに乗って向かう。焼鳥屋さんと言われたが、店の位置が良く分からない。何とか辿り着くと久しぶりのカウンター席。質の高い焼き鳥をお任せで堪能する。鶏肉は本当に美味い。店は満員で酒が入ると皆大声で話し、コロナも何も関係ない。

できるだけ茶の話をしないように心掛けたが、やはり無理だった。何だか自分の視野が極めて狭くなっており、情けない。それでも10時過ぎまで楽しくお話して別れる。帰りのバスは乗客がほぼいない静けさ。まるで宴の後。150円で博多駅まで行き、そこから歩いてとぼとぼ帰る。

6月14日(火)大宰府へ 

朝から雨。宿の前のバス停から西鉄天神へ。そこから急行に乗り、途中二日市で乗り換えると大宰府に着く。何と言っても子供の頃、歴史の教科書で見て以来、一度は行かねばと思っていた場所についに来た。かなりのワクワク感で降り立った。

雨の天満宮はきれいだったが、とても歩きにくい。如水の井戸などがあり、いかにも福岡らしい。雨を避けて九州国立博物館に逃げ込む。常設展をさっと見たが、規模は思っていたほど大きくはない。係員はとても親切で色々と説明してくれた。本当はもっとゆっくり大宰府周辺も含めて廻るつもりで来たのだが、何だか雨に遮られて、その気力が萎え、電車に乗って戻ってしまった。

天神に着くと、雨は上がっていたので、また歩き出す。細い路地に『廣田弘毅生誕地』があった。その先のバス停からバスに乗る。目指すは福岡市立総合図書館。バスは湾外沿いの高架を走るので、景色が良い。そして福岡タワーがそそり立つ。図書館で昨日興味を持った謝国明などの資料を探す。しかし実はあまり資料はない。困った。

またバスに乗って宿の近所まで戻る。商店街にウエストがあったので、ひょいと入ってみた。数年ぶりにごぼう天うどんにありつく。これも国師のお導きか。相変わらず麺はフニャフニャだが、汁とのバランスが良い。宿に帰って、無料のコーヒーなどを飲みながら休息する。

そして夜8時半頃、外出する。こんな時間に一人で外へ出ることは稀だが、今晩は目的があった。その場所に近づくと、出勤途上と思われる若い女性の一団に出会い、また場違い感を募らせる。その店は夜7時半開店の蕎麦屋。知らなければ通り過ぎてしまうほどさりげなく、飲み屋街に存在していた。そして蕎麦屋なのに客のほとんどがかつ丼を注文するというので行ってみたわけだ。

午後9時前、客はそこそこ入っている。見ていると確かにとほぼ全員がかつ丼を食べており(一人だけカツカレー)、新しい客もかつ丼をオーダーした。私もオーダーした。やってくるとゆるふわたまごで閉じたカツが載っていて、いい感じだ。それに沢庵が二切。これで1100円が安いか高いか良く分からないが、博多の夜、〆はラーメンと思い込んでいると、その奥はそうとうに深そうだった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です