青春18きっぷで行く京都・福井・金沢・長岡2021(4)33年ぶりの金沢

12月16日(木)福井2

朝は宿でたらふく朝食を食べた。そばやすし等、立派な朝だった。午前中は福井の町を歩く。まずは福井城へ向かう。今は県庁になっており、家康の息子、結城秀康の像がある。福井城は結城氏、そして松平氏の居城だった。今はその石垣の一部が残されているだけ。折角なので、郷土歴史博物館へ行く。館内には橋本左内と共に弟の橋本綱常の胸像もある。綱常は明治初期にヨーロッパへ留学、軍医総監、初代赤十字病院長などを歴任、早くに亡くなった兄に代わり、名を残した。そして表には松平春嶽の像も見られる。

更に歩いていくと、公園に『山本条太郎誕生地』という碑を見つける。山本条太郎は明治期に三井物産で頭角を現し、その後満鉄社長なども務めた人物。お城近くに戻ると福井神社があり、立派な松平春嶽像がある。やはり幕末史では、もう少し橋本左内と松平春嶽の活動を評価すべきではないかと常々思っている。

広場に岡倉天心像もある。そして熊本から招いた横井小楠の教え子、三岡八郎(由利公正)もここの人だった。新政府では財務担当、あの『五か条のご誓文』を起草したと言われる。さすが福井は様々な人物を輩出していると感心するが、現在あまり知られていないのは残念だ。

金沢へ

昼前にJRで金沢を目指す。今回も僅か1時間半の旅で、18きっぷの出番はない。金沢駅にやってきたのは、実に33年ぶりではないだろうか。特に用事もなく、訪れる機会がなかったので、金沢にも1泊しようと考えた。新幹線の開業した金沢、駅もちょっと複雑になっていた。取り敢えず観光案内所に立ち寄ったが、都会の案内所という雰囲気で効率重視。今日の宿までのバスを聞いても、『後ろの掲示板を見て』と言われ、そこには分刻みでバスが出発しており、どれに乗ってよいかわからない。何だか第一印象は良くない。

なんとかバスに乗ったが、Suicaは使えなかった。新幹線で東京方面とのリンクを謳っている割に、仕組みができていないと感じる。宿に荷物を預けて外へ飛び出す。午後は雨の予報なので、雨が降るまで歩いてみようと少し焦る。

宿を出るとすぐに尾山神社があった。神社に用はないと思ったが、その異様な、洋風な建物に思わず引き込まれ、階段を上る。神社の祭神は前田利家とまつだと書かれており、二人の像もある。そこから裏を回っていくと、いつの間にか道路を隔てて、お城に辿り着く。

金沢城に来るのも33年ぶりで、全てを忘れている。加賀百万石の、かなり広い敷地を無暗に歩き回って疲れる。前田利家以降の前田家の歴史、もっと勉強しておけばよかった。と言ってももう遅い。お城の脇から兼六園が覗いており、吸い込まれるように入る。ここは本当に立派な庭園、日本三名園だ。昨年偕楽園に行こうと水戸に泊まったが行かなかった。岡山後楽園は2度行った。

兼六園も2回目だ。ここを歩いていると、なぜか癒される。庭がこれでもかと出て来るので、ついつい歩いてしまう。木々は雪支度をしているが、降っていないようだ。疲れたので、あんころ餅を食べてお茶を頂く。何とも幸せな時間だった。

兼六園でも雨は降らず先に進む。金沢の歴史を知るために石川県立博物館に行ったが、何と休館中で入れなかった。ここは赤レンガミュージアムと呼ばれており、歴史的建造物の中に博物館があるので、入ってみたかった。今度は鈴木大拙館を目指す。博物館から近いとGoogleは言っていたが、実はかなり急な坂を下りたところにあった。ところがここも展示替えで臨時休館だった。これは誰のせい?コロナ?更に雨でも耐えられるように、県立図書館へ向かったが、何とここも移転のため閉館中とある。さすがに諦めて宿に戻る。

そして事件は起きた?宿でチェックインしようとしたが、フロントの女性は私に館内や朝食の説明を全くせず(隣の女性客には懇切丁寧に案内がされている)、こちらから要請するも、まさかの『お部屋に置いている説明書きをご覧ください』と私を追いやった。さすがに驚いて、マネージャーなる人に説明を求めたが、最初は『それでは今から、私がご説明します』という頓珍漢さで、対応に苦慮した。まあ、もうどうでもよくなり、流れに任せることにする。

夕方雨の中、高岡在住のYさんと会った。今回は富山を素通りしますと、連絡したのだが、金沢まで来てくれるとは何とも恐縮。そして彼女の車で向かった先は、何とモンゴル料理屋さんだった。実は以前富山でパキスタン料理を一緒に食べに行ったこともあり、この意外性には驚かない。

Yさんとは北京繋がりだが、こちらのオーナー、モンゴル族のAさんも北京繋がりだという。ご縁があって日本にやってきて、金沢の方と結婚したらしい。スーヨーティーがめちゃくちゃ懐かしく、何杯も飲んでしまった。そして羊肉のソーセージやボーズが異常にうまい。自分が羊に飢えていたことを実感する。

Aさんはユニークな人で、モンゴルやチャの話だけではなく、様々なことに興味を持っていた。翻訳業などもしているようで、非常に幅広い知識を持っていて、話していて飽きることはない。何とも楽しい、意外性のある一夜を過ごすことができたのはやはりYさんのお陰だ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です