東北、北海道を行く2021(8)初めての旭川で

そこでちょっと休んでから、Tさんに会いに行った。Tさんも北京繋がりだが、東京でも何度も会っていた。お茶の関係で札幌に来る機会は少ないので、このチャンスに会いたいと連絡すると、平日は非常に忙しいという。彼も定年で転職し、今はコロナ関連の助成金申請作業などをしているという。

Tさんが連れて行ってくれたのは小さな居酒屋。コロナ禍もあり、きっと経営は大変なんだろうが、私はあまりお酒を飲まないうえ、昨日の食べ過ぎもあって、それほど店の売り上げに貢献できなかった。Tさんとは昔話などを楽しくお話して別れた。その足で宿に戻り、荷物を持って札幌駅へ向かう。

今晩は旭川に移動だった。何と駅ネットで特急を予約すると、45%割引と書いてあり、迷わず予約しておいた。ほぼ1時間に一本、札幌‐旭川間には特急カムイが走っているのは便利だが、その利用率は残念ながら高くはない。一応指定席だが、またガラガラの車両に揺られていく。途中富良野という文字が見えると、『北の国から』を思い出す。

1時間半弱で旭川駅に到着した。かなりきれいな駅舎だった。さすがに北の夜は寒い。今晩は駅前の宿を予約していたが、行ってみるとかなり若者向けな感じの宿で、チェックインも自動で行うようになっており、そのフロアーは広い共有スペースになっている。今日は土曜日の夜で特にお客が多いようだ。大浴場も完備しているが、かなり混んでいた。

11月21日(日)旭川で

旭川の朝は寒かった。そして小雨が降っていたので、ゆっくりと朝ご飯を食べて天候回復を待つ。この宿の人気の秘密は朝食ビュッフェにあるようだ。何しろ海鮮丼を自分で作れるように、イクラやサーモンがふんだんに置かれている。汁物もうまい。そして普通の朝メニューも充実している。昨晩は気が付かなかったが、家族連れ、老人たちも多く泊まっている。

取り敢えず雨が上がったので、街へ出てみる。旭川へ来た理由は特にない。来たことがなかったので来てみただけ。きれいな駅の観光案内所で地図をもらい、南の方へ歩き出す。川を渡って、旭川市博物館を見学する。正直あまり期待していなかったが、かなりの展示量があり、アイヌから開拓の歴史まで、充実した内容で、勉強になった。

それから駅の北側へ移動する。Google地図に『スタルヒン居住地』との表示が出たので、行ってみたくなる。実は多くの人が旭川といえば『動物園』が思い浮かぶらしいが、私が思い浮かんだのは『スタルヒン』だったのだ。戦前戦後のプロ野球で年間42勝、通算300勝を挙げた白系ロシアの血を引く大投手だが、既に忘れ去られているらしい。因みに駅前のバス乗り場に行列が出ていたのを見たが、それが動物園行だと気が付いたのは、帰りに空港に向かう時だった。

スタルヒン住居地はなかなか見つからなかった。ようやく見つけた表示板は、どこかの住居の柱にプレートが嵌っているだけだった。だがその通りには『八条スタルヒン通り』と書かれており、旭川はスタルヒンを忘れてはいなかった。彼は僅か40歳でこの世を去ったと書かれている。

もうこうなるとスタルヒン球場まで歩いていくほかない。途中石狩川を越えていく。球場の手前に、珍しい建物が建っていた。北鎮記念館と書かれているので、中へ入ってみると、ここは何と陸上自衛隊が運営(隣が旭川駐屯地)しているようで、受付の人からして、きびきびしている。

館内には屯田兵や旧陸軍第七師団の歴史が詳細に展示されていて、かなり興味を惹かれる。北海道に関する、松浦武四郎から北海道開拓、そして日清、日露戦など、様々な資料があり、時間を忘れて見てしまった。これで入場無料とはすごい。記念館の斜め向かいに球場があり、スタルヒン像を見ることができる。年に一度はここでプロ野球の試合もあったはずだが、今はひっそりとしている。その横には北海道護国神社が立派に建っていた。

そこから3㎞ほどをゆっくりゆっくり歩いて宿に戻る。さすがに今回の旅も歩き過ぎでバテテしまったので、早々に大浴場で体を休めた。そして夜、せっかくなので旭川ラーメンを食べようと、近所のラーメン屋に行く。麺にコシがあり、スープにコクがあり、うまい。これならもっと食べておけばよかったと後悔するがもう間がない。

11月22日(月)旭川2

今回の旅の最終日。朝からたらふくご飯を食べて、風呂に入ってホテルライフを満喫した。近所を少し散歩してから、空港行のバスに乗り込む。本当は郊外のアイヌ関連の施設にも行きたかったが、車でないと難しいと言われて今回は断念した。

空港に着くと、思いのほか乗客が多い。よく見ると、今日は平日だが明日は祝日なので、今日が休めれば4連休だった。そんな浮世とは隔絶した今回の旅、予想以上に面白かった。茶旅だけではなく、それ以外の歴史旅もどんどんやっていこうと思うが、果たしてコロナはどう動くだろうか、などと思いながら飛行機は東京に向かって飛んだ。

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