熊本佐賀福岡茶旅2021(2)水俣へ

Kさんとは3年ぶりだろうか。前回は人吉の紅茶伝習所関連でお世話になった。相変わらずいいお茶を作っており、ファンも多い。今回は香りのよいお茶を厳選して購入した。Kさんの隣にSさんという人が出店していた。何と福岡の糸島から来たという。お茶屋というよりシナモンなどを扱っているらしい。その彼が『糸島の歴史は面白いからぜひ来て』という。この先福岡で訪ねる予定の場所を告げると、何とそこは彼の家のすぐ近くだというので、その場で訪問が決定した。これぞ、茶旅。

一度宿に帰って休む。夜遅めに夕飯を探すと、コロナ禍でもあり、店があまりない。一番近くのとんかつ屋が開いていたので、久しぶりに立派なとんかつを食べる。非常事態宣言は出ていないものの、蔓延防止が出ている熊本。やはり旅をするにはかなりの不自由が生じている。

6月1日(火)水俣へ

翌朝は早く起きて、宿の朝食を食べる。ビュッフェスタイルではなく、定食を提供する形式なのだが、この郷土料理定食(レンコンなど)はかなりうまい。朝からいいものを食べて気分は上々。すぐに出掛ける。市電で熊本駅へ行き、JR鹿児島本線で八代に向かい、そこから肥薩オレンジ鉄道に乗り換えた。この列車はSuicaが使えないので、あらかじめ熊本駅で切符を購入した。

乗客も少なく、何とものどかな旅だった。途中から視界が開け、海沿いを走っていく。1時間ちょっとでその可愛らしい電車は水俣駅に着いた。今回水俣に来たのは、ここが徳富蘇峰、蘆花兄弟の出身地だったからだ。何しろ我が家の最寄り駅は芦花公園なのだから、一度は訪れたいと思っていた。

先ずは市役所に向かう。実は昨日鶴屋で会ったAさん、自分が水俣に居ないのは申し訳ないと、何と徳富蘇峰記念館の担当者に連絡してくれ、会えるようにしてくれていた。というのも、蔓延防止措置の影響で、今は記念館も閉鎖されており、水俣に行っても何も見られないのは分かっていた。教育委員会で30分ほど丁寧に、ゆかりの場所など概略を教えてもらった。有難い。

役所を出て歩き出す、何と蘆花公園があった。記念碑もある。こちらがある意味、本当の蘆花公園かもしれない。川を渡ると徳富蘇峰記念があった。ここは蘇峰が寄付した資金を基に図書館が作られた場所らしい。ただ蘇峰兄弟は幼い時に熊本に移住しており、生まれ故郷ではあるが、馴染みはどれだけあったろうか。

図書館で徳富家関連の資料を探したが、コロナの影響で長居は出来なかった。徳富兄弟の生家の建物も残っていたが、立派な商家だった。少女像があったので見てみると、村下孝蔵は水俣出身の歌手だった。電車の時間が迫っていたので、駅前のパン屋さんでパンを買い、電車に乗ってから食べた。素朴な味が懐かしい。

因みにオレンジ鉄道ではPapPay支払いで切符が買えたが、その切符は一部手書き、思い出に残るようなもので、感心した。更に乗り換えの八代駅では、ここからJRでSuicaなどの使用が可能となるため、途中にタッチパネルが設置されているが、それにタッチしなかった客がいたようで、何と駅員がJRのホームまで探しに来ていたのが、何ともローカル線だった。

熊本市内2

熊本駅に戻る。そこからどこへ行こうかと迷っていると、駅前の大きなビルの中に何と図書館があった。しかもコロナ禍でも特に閉鎖されてはいない。思い切って飛び込み、知りたい資料の有無を訪ねると。実に丁寧に探してくれて助かった。県立図書館は閉鎖と聞いていたが、ここは市立図書館の分館らしい。駅前に図書館、いいね。

駅前から歩いて10分ちょっと、川沿いから少し入ると石光真清記念館があった。石光はあまり知られてはいないが、日露戦争以前より諜報活動に従事し、シベリア地区に非常に詳しい人だった。だがその功績はあまり評価されておらず、後に彼の手記が出版されて、知られるようになった。熊本関係者、そして茶業関係者にも繋がる重要人物だが、ここも閉まっていた。

さっきの図書館で検索してもらった時、市立図書館本館へ行けばみられると言われる本があった。折角だから行ってみようと思ったが、交通が不便。仕方なく30分ほど歩いて向かう。途中味噌天神などがあり、ちらっと見る。こちらの図書館はちょっとピリピリしており、検索された本だけが出され、コピーしたら早く帰って、といった対応だった。まあこれが普通のコロナ対応だろう。

帰りに徳富記念館にも寄ってみた。大きな木が見えたが、ここは改修中で入れなかった。この時期、熊本ではどこも締め出された。のどが渇いたのでコンビニに寄ると、『午後の紅茶 熊本県産いちごティー』なるペット飲料の売り出し中だった。熊本の紅茶、美味しいよね。腹が減ったので歩いていると、何と桂花ラーメンがあるではないか。若い頃、新宿で偶に食べたが、ここは熊本発祥だった。ラーメン+チャーンを美味しく頂く。これまたなつかしい味だった。

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