北京及び遼寧茶旅2019(7)営口の街を巡る

12月18日(水)
営口で

翌朝はゆっくり起き上がる。やはり疲れが出ているのかもしれない。ただ朝食は最近泊まった3つの宿の中では一番良かったので、少しテンションが上がる。正直外に出るには寒かったが、きょうは営口の全容をつかもうと思っており、勢いで川沿いへ出た。宿の横には古い建物が残されており、ここが税関だった。今は特に使われている様子はない。

 

それから川沿いにずっと歩いて行く。古い建物がポツンとある。対岸には船の修理場も見えてくる。100年前、この地は東北の玄関口として、貿易を担う港であった。3㎞近く歩くと渡口駅という名の渡し場があり、現在も船が運行されているようだが、冬は川が凍結しており、閉ざされていた。

 

少し川から離れると、遼河老街と呼ばれる古い街並みを保存した場所があった。ただ実際には新しく建てたものもあるようで、最近中国各地でよく見られる老街の一つという感じだった。午前中でもあり、寒さもありで、歩いている人は殆どなく、店も開いていなかった。老人が一人、縄のようなものを振り回して鍛錬しているのが面白い。

 

博物館があるということだったが、とうの昔の閉館しているようで、今や建物だけが残っている。仕方なく、現在の港がある所へバスで行ってみることにした。バスは1元でちょっと小型。宿へ帰る途中の道にはやはりまだ微かに古い建物が残されているが、何があった場所かはよく分からない。

 

バスは宿を越えて更に進んでいく。元々は港を中心とした街だから、港周辺には昔栄えた市場や異国風の百貨店などがあり、興味をそそられる。肝心の港には入ることもできず、何も見られなかったが、途中で焼売屋を見つけたので入っていく。モンゴルの稍麦、焼売の原型で大型だ。この店は漢族がやっているようだが、モンゴル族のものとはまた違う。とにかく寒い中を歩いてきて、あの湯気を見ると幸せを感じる。しかも内臓スープ、羊雑湯も、本当に内臓たっぷりに入っており、もう何とも言えない気分に浸り、頬張る。

 

元気になったので、またバスに乗り、今度はお寺に向かう。九重の塔があるという楞厳禅寺。中国で九重の塔はあまり見たことはなかったが、何しろ新しい。文革で荒廃後、改革開放で立て直したのだろうか。敷地は広いがお参りの人が多いとは思えない。更にフラフラと歩き始める。

 

この街にも万達広場があり、今の街の中心はこの付近になっている。更に行ってなぜかちょっと曲がると、そこに営口博物館があるではないか。しかも無料で誰でも入れる。中もまさに私が必要としていた、天津条約、開港、そして満州時代のことがかなり展示されてあり、大変参考になる。大連も港として有名だが、最初に東北で開港したのは営口であり、少なくとも第二次大戦までは、東北の中心の一つであったはず。日本人もかなり住んでおり、商人も多かった。また茶葉貿易も一時行われていた。

 

博物館で満足したが、最後に日本領事館の痕跡がないか、周囲を訪ね歩いてみた。だがどうやら今は学校になっており、何も見付けることはできなかった。日本への思いというのは、特に東北の地で複雑ではないだろうか。体が凍えてきたので、部屋へ戻った。テレビを点けると、習主席がマカオに到着。そうかマカオ返還20周年なのだ。

 

暗くなると昼間通りかかった四川料理屋が思い浮かび、どうしても回鍋肉が食べたくなって出掛けた。何故東北まで来て四川料理とは思うものの、食べたい物を食べるのが一番良いので、そうする。一人だと一品しか頼めないのは辛いが、質はまあまあだったので、良しとしよう。体も温まった。

 

部屋に戻ると茶専門チャンネルで、何と四川の茶馬古道について、かなり詳しいレクチャーが行われていた。様々なルートの紹介から、女背夫の存在まで説明しているから、相当詳しい。来年3月にはまた四川に行き、もっと詳しい歴史を学んで来ようと計画中だったので、30分ほど食い入るように見る。

 

そうこうするうちにサッカー東アジア選手権、男子の日韓戦が放送されたので見てみた。日本チーム、勿論海外組がいないなどで戦力不足かもしれないが、韓国に押されっぱなしで覇気が感じられず、あっけなく敗れてしまった。テクニックだけが妙にあっても、気迫がないプレーヤーは去るべきだろう。また監督についても、さすがに考える時期ではないだろうか。

 

茶専門チャンネルに戻すと、昨晩に続き、学生による、ストーリー性のある個性的な茶芸が繰り広げられていた。こういうのを見ていると、一つの方向性が見えるのかもしれないが、茶とは何だろうかと本気で考えてしまう。茶芸とはその動作を見せるためにあるのだろうか。私は与えられた茶葉を吟味し、いかに美味しく淹れるか、淹れられるか、そのために道具は何を使うかを考えるのが茶芸師だと思っていたが。

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