名古屋茶講座の旅2019(2)名古屋三昧

今日は午前中、『鉄観音茶の歴史』を話した。名古屋も熱心な方が多い。参加者の中で、珍しい鉄観音茶を持ってきてくれた人がいた。パッケージは中国福建の鉄観音だが、台北の恵美寿の文字があり、それを大阪の茶商が輸入して日本で販売されていた。ああ、これが台湾で聞いた大陸鉄観音茶だ、と分かってとても面白い。

 

お昼はTさんがご飯を作ってくれ、それをご馳走になる。Tさんの料理は常に美味しいので、食べ過ぎてしまい、眠気も出て、午後の講座に支障が出る。午前と午後に2時間合間があるので、数人で雑談会も開催する。皆さん、色々と茶の歴史に関する疑問を持っているので、質問もなかなか難しい。

 

午後は本邦初公開の『東台湾茶の歴史』を話す。これは今年1月に訪ねた宜蘭、花蓮、台東の茶旅を中心に、これまでに歩いて調べた東側の台湾について報告した。今では蜜香紅茶や紅烏龍などがブランド化され、注目されるようになったが、その歴史を話す人はほとんどいない。

 

私の講座内容は、先ず私的勉強会で話してみて、分かりにくい点などを修正してから、一般公開となるのだが、今回はTさんの要望もあり、ぶっつけ本番で実施した。その結果はやはり時間的なバランスも良くなく、内容にもばらつきが出て、私としては満足できる内容ではなかった。やはりもう少し練ってから話すべきだったと後悔する。

 

参加者の中には、わざわざ静岡から来てくれたMさんがいた。私が今調べている台湾の製茶試験場を作った男、藤江勝太郎の故郷に住み、藤江について関心を持っている方だ。来年は静岡森町で、藤江についての報告会が出来ればよいな、と考えている。名古屋にはご当地ネタ、無いのだろうか。

 

今回は夜の懇親会などは開催せず、Tさんと二人で夕食を食べることにしていた。Tさんは明日早朝から海外に出るのに、忙しい中付き合ってくれた。実は講座を何度も主催してくれているのだが、ゆっくり話す機会がなかったので、ちょうどよかった。Tさんについての理解が深まる。

 

連れて行ってもらったのは、洋食屋さん。名古屋三昧という定食があり、エビフライから手羽先、みそカツまで、凄いボリュームで名古屋が載ってきた。どう考えても若者向きの量なのだが、家族連れなども多く、知る人ぞ知る名古屋の穴場らしい。これには大満足、Tさんご馳走様でした。

 

12月9日(月)
春日井で

翌朝、宿をチェックアウトして、荷物を持って名古屋駅へ。乗る電車は昨日と同じ、中央本線だった。千草までは10分だったが、勝川駅までは18分。春日井市は思ったより近いところにあった。駅で迎えてくれたのは、お茶研究会のMさん。初対面だが、既に私の書いたものなども読んでおられ、勉強熱心で、今回お声を掛けてくれた。

 

会場は、普通の住宅地の中にあり、連れてきてもらわないと分からないところ。皆さん、遠くは1時間以上かけて、車で通ってこられているそうだ。多くが主婦などで、平日の昼間の都合の良い方々だった。中に一人、昨日の講座にも参加された方がおられ、その熱心さには驚く。また中国などの駐在経験のある方もおられ、中国茶に親しんでいる方も多い。

 

話をする前に、既に主催者の方から、たくさん質問が飛んできて、驚いた。そして相当にネット検索などで情報を集めていることも分かった。『台湾茶の輸出は東方美人から始まったのか?』『台湾茶の始まりは原住民?』など、予想もしない問い掛けもあり、ビックリする。なるほど、世の中にはいろんな情報が出回っていることがうっすら分かって面白い。

 

今日のお話は『台湾高山茶の歴史』だった。これは主催者がチョイスしたものだが、果たしてどこまで満足感が得られただろうか。また皆さん、お忙しい方も多く、講座の途中でお昼ごはんの弁当が配られ、それを食べながら話を聞いていた。私だけが話が終わった後に弁当を頂くというこの形式、個人的にはちょっと残念だった。

 

帰りに有志の皆さんと駅前でお茶をしながら(ケーキも食べる)、更に話を進めた。私が書いたこと、調べたことが全て正しいなどというつもりは毛頭ないので、説明に大きく頷かれると、こちらがビビってしまう。どこまでを鵜呑みにして(知識として覚える)、どこからを疑うのか、これは実に難しい問題だ。ただ現地に行っているから分かるというものでもないし、でも行った方が感覚は掴めるのだ。

 

名古屋駅まで戻り、新幹線に乗り込む。参加者の一人は何と新所原から来られており、新幹線で豊橋まで帰るというのでまた驚く。私などは名古屋から掛川でも在来線で行くだろう。というか、本当は帰りもJRバスで帰りたかったのだが、明日から北京なので、さすがに体の負担が少ない交通手段にした。

 

品川まで1時間半で着いてしまうのは、私にとっては、本を読むにも、何かを考えるにも実に中途半端だ。結局ボーっとしているうちに降りることになり、何となくもったいない気がする。電車の中は、私がもっとじっくり本が読める場所だからであり、今回は行きのバスの中でも松下先生の『アッサム紅茶文化史』を熟読して、テンションがかなり上がったものだ。さて、明日は極寒の地へ向かう。果たしてどうなるのだろうか。

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