台湾茶縁の旅2014(9)台北 3つのお茶屋を訪ねて

3つのお茶屋へ

一端GHに戻る。今日からちょっと離れた新館の部屋を使うことになっており、Hさんに連れられて行く。こちらは広々とした空間があり、部屋でWIFIも使え、快適だ。もうすぐ地下鉄の駅が直ぐ近くにできるとのことで、そうなると俄然便利になる。だがいつできるのだろうか?そこが台湾の問題だ。

DSCN1150m

 

午後はお茶屋を訪問する。先ほどランチを一緒に食べたF君もとても興味を持っており、同行したいとのことであったが、どこかへ行ってしまった。ご縁がないものと置いて出掛ける。MRTの古亭駅を降り、和平東路をひたすら歩く。15分も歩いて脇道に入ると、そこはちょっとレトロな台北。

 

先日南投で訪問したアンディの遊山茶訪は、ここに台北支店を持っていた。支店とは言ってもそこはお茶屋さん、何と日本時代の家屋を使った優雅な空間を演出していた。一見さんは門を潜ることも出来ない。必ず予約が必要だ。門鈴の位置すら分からず電話して開けてもらう。中は実にこじんまりした日本の昔の家。

DSCN1152m

 

家の中に入ると様相は一変する。とても鮮やかな現代アートの空間が広がり、茶室や展示スペースを彩っている。経理の楊さんがにこやかに出迎えてくれ、案内をしてくれる。現代アートだが、天井の柱や窓際、縁側など所々に日本が染み込んでいる。よくもまあ、このようなものを作ったものだと感心した。

DSCN1154m

 

先ほどのF君もどうしても合流したいとやってきた。ご縁がある人とはある、行ける所には行ける、ということだろうか。彼は若いが興味津々でこの日本家屋を眺め、写真を撮っている。2か月ほどバックパッカーでアジアを回ってきたようだ。この空間でゆったりと体を休めたいのかな。

DSCN1156m

 

ところがそうはいかなかった。急に香港から香港大学の視察団30名が来ることになったらしい。『出来たら明日もう一度来て欲しい』という楊経理。ちょうど暇だったので、出直すことにした。これもまた台湾、これもまたお茶の縁。

 

そしてもう一つのお茶屋さん、昨日会ったT君から『小楊が会いたがっている』と言われ、連絡を取る。小楊は3年前、ジョエルに連れられて行った不思議なお茶屋の主人。自宅で高級茶だけを扱い、広告などは一切しない風流人。何と初めて会った私をバイクの後ろに乗せて、新店の山中まで行き、本物の有機茶を見せてくれた人でもある。ただメールなどやらないのでご無沙汰していた。

 

小楊の自宅は遊山茶訪から歩いて15分ぐらいだった。3年前の記憶を頼りに何とか辿り着く。知らない人は絶対に行けない場所だ。そして古いビルを5階まで歩いて上がると、そこはまた古風な別世界。小楊が畳の上に座り、お茶を淹れている。鉄瓶から湯気が上がっている。F君はまた目を白黒。

DSCN1162m

 

今年も完全有機の春茶が出来ていた。素晴らしい。そして私が14年前福建省武夷山で飲んだのと同じ岩茶が出てきたのにはビックリ。この人は一体どこにお茶を隠し持っているのだろう。茶葉は早く飲むものという概念を変えないといけないのだろうか。良いものは古くなってもいい、骨董と同じか。

DSCN1164m

 

結局2時間ぐらい小楊ワールドに浸る。その間、F君がなぜお茶に興味を持っているかが分かり驚く。彼はバイトとして静岡の製茶工場で働き、そこで得た資金を基に旅行していたのだ。かなりの肉体労働らしいが、割りはいいとか。こんな仕事もあるのか、と1つ発見。

DSCN1167m

 

帰りに近くの弁当屋で、弁当を食べる。F君は『久しぶりにまともな飯を食った』と喜んでバクバク食べていた。まあ台湾の弁当はアジアの中では秀逸の美味しさがだが、何となくこういう若者もいいな、と素直に思った。

DSCN1170m

 

弁当も食ったし、さて帰ろうと台北駅まで戻り、GH新館へ向かったが地下道を間違え、中山方面へ来てしまう。こうなるともう1軒行かなければならない。MRTで2駅分歩き、広方圓へ。ここももう7-8年に付き合いになる。オーナーの湯さんは基本夜しか店に居ないのでちょうど良い。

 

店は特に変化はなかった。美味しい特性パイナップルケーキは売り切れていた。だが大きな変化として、息子が後継ぎになっていた。湯さんは実年齢からすると実に若く見える女性。息子が30歳になると聞けば全員が驚くだろうし、2人で歩いていれば親子には見られないだろう。

DSCN1173m

 

湯さんは90年代からプーアール茶を台湾に広めた人。2000年代は高山茶、そして最近は紅茶に熱を入れている。基本は茶商だが、本物志向。台湾茶のトレンドを知るにはとても良い相手だ。今晩は遅いし、疲れたので、パイナップルケーキを予約して別れる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です