スラバヤ・メダン 突撃インドネシアの旅2019(2)福建会館はいずこに

8月26日(月)
福建会館はいずこに

翌朝は天気も良かった。スラバヤにある安渓会館の住所という、ほんの僅かな情報、を基に調べを開始した。交通機関は全く分からないので、スマホ地図に住所を入れて歩き始める。道はかなり広く、横断は難しい。途中にA&Wがある。見るのは沖縄以来か。20分以上歩いたが、目的地は見つからない。地図上では着いているのだが、ここスラバヤでは漢字の看板が殆どない。英語もないので、この建物が安渓会館かどうかもわからず、しかも鍵がかかっていて、聞くこともできなかった。

 

周囲を歩いてみると、何だかお寺があるらしい。行ってみると、鄭和基金会と鄭和清真寺いう文字が見えて驚く。なんでここに鄭和が出てくるのだろうか。入り口から入ると、老人がいたので、華語で話しけると華語で返事があり、ホッとした。ここの創設者だという老人が、話をしてくれたが、このお寺と基金会は2000年頃に創設された比較的新しいものだった。

 

インドネシアにおける華人のプレゼンスは僅か5%程度で非常に低く、しかも何度も華人排斥運動が起こり、アジア通貨危機後の混乱でも、様々な困難があった。スハルト政権は30年以上に渡り華語を禁止したため、漢字の看板は極めて少なく、また今の30-50代の華人は華語を学習していないという。

 

そんな中でスハルト後にインドネシアのイスラム教徒との融和を図るために作られたのが、この施設だという。因みに鄭和とは明代に大航海をした人物だが、ここスラバヤに寄ってはいないらしい。ただ彼は雲南の回族出身で、イスラム教徒ということで、ここに名前が使われたという。

 

お茶について尋ねてみたが、ここスラバヤに中国茶を扱う茶荘は全くないという。恐らくは1960年代スハルトの弾圧があった頃までには、全ての個人の茶荘は無くなっていただろうともいう。現在華人、特に老人が飲んでいる茶は、スーパーなどで売っている中国茶になる。この茶もスラバヤで作られているものはない。

 

この付近一帯には、ほんの少し中国語の看板が見られる。中国語学習の場もあるようだ。だがそれ以外には漢字がない。先ほどの安渓会館について聞くと、恐らく明日は誰かいるだろうという。そして福建会館の場所を聞くと、正確な位置を教えてくれたので、今日はこちらを当たることにした。

 

だがこれもまた困難を極める。最初は道を間違えて路地に入り込んでしまう。そこで英語ができる人に言われて、その先の道を探す。教えられたとおりの建物の前まで来たが、こちらも看板はなく、門も閉ざされており確認しようもない。近所のおじさんに聞くと確かに華人の集会所だとは言うのだが、それ以上踏み込む余地がない。疲れ切って、宿の方へ歩いていく。

 

途中で、道端にあったファーストフード店のようなきれいな店に入る。スラバヤには屋台もいつも出ているが、どうも入る気になれない。この店、やはり言葉は通じずに、写真でメニューを選び、片言英語で何とか店員との意思疎通を図る。向こうもまさかここに外国人が来るとは思っておらず、かなり慌てていた。食べ物は意外に美味しく、甘いドリンクは無料で提供された。

 

そこから博物館があるというところまで歩いて行った。かなりの距離があるが、乗り物に乗れないので仕方がない。博物館は立派な建物の中にあったが、今日は閉まっているようだった。それでも囲いがないので大体の展示物は見えてしまう。あまり必要な物はなさそうだと判断して去る。

 

その後路地に紛れ込む。これがなかなか楽しい。意外と清潔なのはイスラムの伝統だろうか。鉢植えの植物が多く置かれ、鳥かごが掛けられているのは中国的かな。何となく風までさわやかに感じられてくる。インドネシア第2の都市であるスラバヤだが、やはり首都ジャカルタとは大きな違いがある。

 

一度宿で休息して、午後4時前に宿を出た。今日は先日KLで出会ったMさんの昔の同窓生を紹介してもらい、郊外のショッピングモールで待ち合わせていた。だが路上にタクシーはなく、向かいのモールの警備員に頼むと親切にも一生懸命探してくれて有難かった。

 

夕方のスラバヤ、かなりの渋滞になっていた。指定されたモールまで、約1時間もかかる。それでも車代は空港から来た時の半額だった。それにしても名前からしてでかいこのモール。本当に広くて驚く。2つのモールが繋がっており、ただ歩いても端まで2㎞ぐらいある感じだった。何とか落ち合うことが出来たのは奇跡的だ。

 

彼女はここで台湾人学校に勤めているという。台湾人学校といっても台湾人より現地華人の子弟が多いらしい。フードコートで地元の名物、ビーフボールとカレー、油条などをご馳走になる。これは確かにうまい。その後ご主人も合流して、スーパーで売られているお茶などを観察する。華人の雰囲気を出しているパッケージだが、中身はどうだろうか。更には実際にドリンクスタンドで薬用茶を買って飲んでみる。

 

ご主人が態々、宿まで車で送ってくれた。この夫婦は郊外に住んでおり、別々の車で通勤し、夜ここで落ち合って食事・買い物してから帰るらしい。ご主人からは現在のインドネシア情勢やスラバヤのことなど、非常に有意義な話を車中でたっぷり聞いた。こういうことがないと、現地に来ても何も分からないな、ということがよく分かった。

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