ハノイで飲む濃い目のお茶2012(4)ハノイ お茶屋でブンチャーを食べる

ハノイへの帰り道

帰りは一気に山を下る。そして元来た道をひたすら戻る。ところが意外にも、一度通ったにもかかわらず、結構違った風景に出会う。特にきれいな田園風景、段々畑などに興味を惹かれ、車を降りて歩いて見たりする。ここには私が子供の頃の風景が克明に残っている。ウットリする。

途中で昼食を取る。普通の家かと思うようなレストランに入る。裏で採れた野菜を炒めたようで新鮮でおいしい。食事が終わると、横には自らお茶を淹れ、寛ぐスペースがある。このあたりにお茶文化が垣間見える。人々はここでお茶を飲み、水タバコを吸う。ここは雲南省か、はたまた福建省か。驚くほどに似ているのは何故だろう。恐らくは昔中国からこの地に渡って来た人が伝えたのではなかろうか。

エンバイ市近くでハノイに向かう幹線に入る。そのあたりで鉄道の線路と遭遇。ちょうど列車が通るのか、遮断機が下りていた。どんな長距離列車が通るのかと期待して待っていたが、やって来たのは一両のみ。中国とベトナムはこの線論で結ばれているのだろうか。

幹線道路を快調に飛ばす。道路脇で何か果物を売っている。見れば私の大好物なザボンだ。中国では買ってよく食べた。ここでは試食もさせてくれ、ズンさんと運転手さんは大量に買い込んでいた。尚ここではザボンに塩を付けて食べる。日本でスイカに塩を掛けるようなものか。十分甘いのになぜ。そしてここにもお茶セットが用意されており、お茶を飲んだ。

ティエンクワンパゴダ、と書かれたお寺に寄り道した。ティエンクワンとは恐らくは観音か。13-14世紀に創建されたお寺はその後何度か再建され、現在は2000年に改修され、整備されている。ベトナム解放時、ディエンビエンフーの戦いの勝利したホーチミンがこの寺を訪れ、勝利を感謝したことから有名になっている。ズンさんも昔教科書で学んだ寺だと言っていた。

お寺の敷地は広大で、しかも寺の建物は小山の上にある。結構上るのが大変だが、信心のある人は老人でも自分の足で上がるという。門には中国語が書かれており、寺は中国の影響を受けていることがはっきり分かる。今でも寺の祭事には大勢の人々がハノイやベトナム全土からやって来て、この付近の渋滞は物凄くなるらしい。ベトナム人の信仰の一端を見る。

因みにベトナムでは以前は水田などに自らの家のお墓を建てることが出来たが、最近は禁止されており、市営の墓地を使用する。ハノイまであと60㎞ほどの所で、ズンさんが「この辺に母親のお墓があり、時々来ます」と言っていた。ベトナムでは戦争などで多く人が亡くなっている。お墓も足りなくなってきている。

ハノイに戻ると日が暮れていた。夕飯はホテルで教えてもらった汁なし牛肉フォーを食べる。これもなかなか美味い。この店は有名らしく、欧米人も沢山来ていた。店の従業員も英語が話せた。しかし量はそう多くはなく、また初日に行った店に行き、今度はカタ焼きそばのような物を食べた。これも牛肉が乗っており、美味かった。ハノイでの食事に殆ど外れはなかった。

3月20日(火)   庭の茶屋

翌朝はまた屋上で朝食。そして昨日買ったザボンを切ってもらう。何しろナイフが無いと切れない。ところがいつになってもザボンを持ってこない。あれ、みんなで食べちゃったかな、と思うほど経った頃、何ときれいに皮をむいたザボンがお皿に載って出て来た。これには感激。私はただ皮に切れ目を入れてくれればよかったのに。この親切、忘れられない。

ズンさんが迎えに来てくれ、今日はハノイ市内のお茶探索。先ずはタクシーで旧市街を少し出た所にあるお茶屋さんへ。ところがなかなか見つからない。ズンさんも初めていく場所だ。色々と聞いてようやく辿りついた場所は、何と民家の庭。道から少し下り、鳥かごを売っている店の下の小さな門を潜るとそこは別世界。

広い庭の真ん中に大きな木がどっしりと構え、周囲も緑にあふれる。そこにイスとテーブルがあり、パラソルも出ていて、ゆったり座れる。半分覆われている小屋には書画が掛かっており、文化的な雰囲気もバッチリ。一体誰がこんな店を開いたのだろうか。

店番のおばさんに寄れば、ここは彼女の家。親戚がお茶に詳しく、ここを貸してほしいというので、開いているらしい。お茶は例の濃い目の緑茶。急須でしっかり入れてくれる。しかしハノイ市内のクラクションの音、人々の喧騒など嘘のような空間がそこにあった。この店を開いた親戚のお爺さんに是非会いたいと思ったが、彼の家はここからも遠く、また朝だけ常連客を相手に茶店を開いていると聞き、断念した。

この店のお客は若者、大学生からお年寄りまで様々。ハノイもようやく多様な文化が芽生えてきている、そんな風に感じられた。

お茶屋で昼ごはん

優雅なお茶屋を出ると、その付近は画廊などもあり、ちょっとおしゃれなエリアであることに気が付いた。ズンさんと2人、次に向かって歩き出す。途中にローカル市場があり、立ち寄る。理由はベトナムの生茶を探すため。生茶と言えば中国茶の世界ではプーアール茶の一つ。だが、ベトナムで生茶と言えば、まさに生の茶葉。それを市場から買ってきて自分で煮出して飲むという。最近では珍しいもののようで、お婆さんなどが買いに来るらしい。店でも奥にビニールに入れてしまってあった。

また少しオシャレな通りに出る。そこにもう一つの茶屋がった。こちらは昔の家屋をうまく利用して、個室を作り、細長い廊下の向こうには喫茶室があった。何となく腹が減る。ズンさんも同じだったらしく、先に昼飯を食べてからお茶を飲もう、という話になる。すると店員2人が自分の昼飯をどこからか出前していた。それを見て、我々もお願いしてしまう。この辺の融通の利くところが素晴らしい。

そしてそこで出会ったのが、ブンチャーと呼ばれる、焼き肉と野菜をスープに入れ、そこに麺を入れて食べるベトナム風つけ麺。このブンチャー、圧倒的に美味い。肉の旨みと麺が非常にマッチしている。これを食べてしまうと、フォーをあまり食べないと言われても納得出来る。うーん、ハノイのB級グルメは相当に奥が深い。

その後は、お茶屋で鉄観音などを飲み、かなり寛ぐ。店番の女性は大学生。お茶が好きというより、ちょうど良いバイトとして働いているそうだ。お茶よりジュースが好きなのかなと思えるほど素直な子だった。

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