台湾茶縁の旅2014(4)豊原 初めて会った茶商の好意に感動

豊原まで

北埔から台中の北、豊原まで行くことになっていた。これまたどうやって行けばよいか分からず聞くと、『タクシー』との答えで、お茶屋でタクシーを呼んでもらい、乗車する。車は田舎道を走り、そして高速を飛ばし、1時間で豊原付近まで来た。速い。今日行くのは華剛というお茶屋さん。豊原駅の近くに店舗があると聞いていたのだが、電話をかけて聞いてみるとどうやら違うらしい。運転手も戸惑っており、何度も道を確認している。最後は電話を掛けたまま指示に従い走行し、ようやく着いた。

 

しかしこのお店、店舗としてはかなりデカい。中に入るとかなりきれいで広い。ここは事務所兼イベント会場?そこには爽やかなジョニーが待っていてくれた。先日S女史が幕張のFoodexで出会った茶商。僅か5-10分、ジョニーのお茶を飲み、ちょっと言葉を交わし、来週台湾に行くことを告げただけで『ウエルカム』ということで訪問するに至った。

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日本では考えられないことかもしれないが、ここ台湾では、これは茶縁として十分にあり得る話だ。むしろそんなご縁でわざわざ日本から来てくれたら嬉しいだろう、と私は考える。ジョニーもそうだったのではないか。

 

華剛

この華剛茶業の歴史(http://www.hgtea.com.tw/index.php?module=intro&mn=5)は古く、1918年に豊原で開業し、現在のジョニーは5代目になるという。茶商でありながら、3代目が梨山へ入り、初めて高山茶を作り始めた時、関わっていたというから、茶商と茶農家の中間的存在か。豊原駅前には小さな店舗があるが、近年この地に新たにオフィスを作り、お茶の研究などもしているようだ。

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オフィスでは早々にお茶が振る舞われたが、非常に香りの高い高山茶が出た。皆があれこれと質問を始めるとジョニーが『ではこちらへ来てください』といい、横にあった長テーブルへ移動した。そこには品評会の時に使われる茶碗が並べられ、そこに茶葉が入っていた。

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6種類の茶葉が入った茶碗を並べ、飲み比べするという。レンゲを使い、香りをかぎ、飲んでいく。ちょっと寄ったつもりだったが、いきなり本格的な雰囲気になってきた。皆真剣にお茶をすすっている。ほんのちょっとの出会いがこんなことになるなんて、とS女史の顔に驚きの表情があった。台湾はそんなもの、茶縁はそんなもの、と言わざるを得ないが、これは喜ばしい。1つ1つについてジョニーが熱心に解説してくれる。我々は総じて『美味しい、美味しくない』などとやっているが、どの部分が美味しくて、どの部分が残念な状態なのか、などかなり細かい話があり、お茶を作っている人々は単なる茶商とは話の内容が違うな、と感心した。

 

そしてまた元のテーブルに戻り、最近作り始めたという紅茶を頂く。高山茶を作る葉っぱで紅茶、現在研究を重ねているというが、既にかなりのいい香りがあり、ほのかな甘みがしていた。台湾では高い山での茶栽培が徐々に禁止されてきている。今後の方向性として、紅茶作りも重要な要素になってくるらしい。

 

そうこうしている内にあっという間に2時間ほどが過ぎた。私以外の3人は今晩台北で会食があり戻らなければならない。その話をするとジョニーは驚き、『わざわざここまで来てそんなにすぐに帰るのか』と残念がる。確かに私の感覚からしてもそうなのだが、普通の日本人の感覚からすれば、『ほぼ初めて訪ねる人の所にそんなに長居するのは失礼』という感覚もある。

 

ジョニーのスタッフは急遽豊原名物の小籠包を買いに行き、食べさせてくれた。さっき麺を食べ、ここではお茶菓子なども食べていたので、空腹ではなかったが、ジョニーの好意に報いるために食べた。その小籠包はかなり大きく、中身がジューシーで美味しかった。

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結局慌ただしくオフィスを出てジョニーの車で高速鉄道の台中駅へ行き、3人を下ろした。皆名残惜しそうに駅の改札を抜けて行った。本当に日本人は忙しいな、と思い、同時に自分が幸せだ、と感じる。

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台中のいいホテル

私は1人残った。私の茶旅はまだ終わっていなかったのだ。明日は南投へ行くことになっていた。ジョニーにそのことを話すと、そのお茶屋さんに電話をかけ、台中のホテルに迎えに来るようにとまで言ってくれた。

 

そしてホテルを予約してくれ、送ってくれた。途中で車が急にユーターンした。『晩御飯を食べよう』というと、一軒のローカル食堂に入る。如何にも美味そうな雰囲気が漂う海鮮屋。そこで魚の粥などをご馳走になったが、これはやはり美味かった。店にはお客が引っ切り無しに来ていたが、7時前だというのに早々に店じまいの構えだった。写真撮影は禁止ということで、食べ物の写真も撮れなかったが、お店のおばさんが如何に昔の台湾の人、という感じで面白い所だった。

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それからホテルへ。このホテル、ちょっと高いよ、ということだったが、フロントの台湾人女性はほぼ完ぺきな日本語を話した。それでも日本に住んだこともないという。実に愛想がよい。このホテルの教育水準が分かる。部屋もとてもきれいで広く、これで日本円1万円なら、大満足だろう。因みに冷蔵庫の飲み物は飲み放題、今日はお茶の飲み過ぎで何も飲めずに残念。あとで台北で聞くと、このホテルは台北にもあり、今評判だ、ということだった。

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その夜は久しぶりに、ゆったりと湯船につかり、フカフカのベッドで寝た。偶にはこんなホテルに泊まるのも体にはよいということを知る。翌朝は実に豊富な朝食をたらふく食べた。何だかとても満足で、コーヒーをお替りしてしまうほど。

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