香港で茶旅を語る2019(4)烏溪沙に初めて行く

4月5日(木)
馬鞍山から

香港最終日がやって来た。今朝は宿の周囲を少し散策する。近くには昔ながらの街市、市場があり、老人を中心に常連客が買い物している。それに今日は清明節の祝日にあたり、その老人を連れた子供や孫の姿も見られた。この市場ももし再開発計画でもあればなくなってしまうのかもしれない。今の香港の不動産価格の高さにはそんな危うさが感じられた。

 

荷物を持って駅へ向かう。3日前に来た時の逆を辿って歩く。今日は大圍駅から馬鞍山線に乗り、終点の烏溪沙駅まで行くことになっていた。この路線に乗るのは初めてで、ちょっとワクワクする。石硤尾から乗り、九龍塘ですぐに東鉄線に乗り換え、大圍でまたすぐ乗り換え。乗り継ぎは細かいが、距離的には凄く近くて驚く。また休日なので車両は空いている。結局約束の時間より20分も早く着いてしまう。烏溪沙駅は今のところ、この線の終点だが、今後西貢まで延長される可能性もあるのだとか。

 

そもそも私が住んでいた10数年前は、この駅すらなかったはずだから、香港は常に進化している。そしてこの駅付近が開発され、立派なマンションが駅に張り付いて建っている。私は30年以上香港に関わってきたが、こんなところがあるとは全く知らなかった。『香港は狭いので大体は分かる』などとはとても言えない。むしろ私は香港の何を知っているのだろうかと自問したくなってしまった。

 

ここには大学の後輩Kさんが住んでいた。烏溪沙は始発駅で、混雑もそれほどでもないので通勤には便利らしい。今日は清明節で街中は人が多いだろうと、ここで会う約束をしたが、新しい香港に出会えてとても良かった。駅に隣接したショッピングモールで飲茶した。早めの時間だったが、大勢の近隣住民が順番待ちしている。やはり祝日の午前中と言う感じだ。かなり食べたような気もしたが、料金は街中よりは安く感じられる。

 

思ったより早く席に着く。Kさんとは最近香港に来ると毎回必ず会って話しをする。何しろ私の茶旅の深い部分の知識を、言語学的、民俗学的、文化人類学的に埋めてくれる数少ない貴重な人だからだ。今回も昨日の福佬人や嶺南文化などについて、その定義、見解を聞き、また刺激を受けた。香港を含めた華南の歴史をもう少しきちんと知らないといけない、と痛感する。

 

烏溪沙駅から空港行バスが出ているというので、それに乗ろうとしたら、目の前でバスが行ってしまった。それでも20-30分に一本はあるので何とも便利だ。駅の周りを巡って時間を潰す。ちょうど不動産屋の前に広告が出ていたのでチラッと覗いていると、店員のおばさんが出てきて中国語で話し掛けてくる。日本人だと言うと、一生懸命英語を使ってくれる。

 

彼女の話だと、この辺の不動産も値上がりが続いており、それを見込んだ中国人がたくさん買い込んでいるらしい。価格は50-80㎡程度で、700万ー1200万香港ドル辺りが多い。東京はやはり安く感じられるだろうな、と思う。同時に海が見えるとか環境が良いとか言っても、一般日本人には手が出ない価格帯、中国からの資金流入の激しさを感じざるを得ない。

 

バスは乗った時は空いていたが、馬鞍山市内を回り、更には沙田市内にも寄り、乗客はどんどん増えていく。そして思ったよりもかなり時間が掛かっていた。相当に時間に余裕があったので問題はなかったが、香港の場合、料金と時間がほぼ並行しているので、27ドルという安さを見てみれば納得できる。約1時間半かかって、ようやく空港に到着した。

 

空港でもまだ集合時間に余裕があったので、ずっとPCをいじっていた。意外と集中できた。気が付くと、もう皆が集まっているではないか。今日はこれから昨日のお茶会メンバーの一部と一緒に武夷山に連れて行ってもらうことになっていた。昨日の主催者が茶工場を持っているというので、その見学ツアーだった。

 

厦門航空は週に数便、香港-武夷山直行便を飛ばしている。これに乗ればあっという間に武夷山まで行ける。かなりワクワク、楽しみだ。香港空港にはバスで一度移動する別ターミナル?があることに今回初めて気が付く。やはり色々と進化しているのだ。時間帯が悪いせいか、機内は空いており、ゆったりと過ごせる。武夷山に行くのは3年ぶりだが、果たして今回はどうなるのだろうか?

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