厦門で歴史茶旅2018(5)昔のアモイを思い出しながら

華僑博物館へ

午後はホテルで過すつもりだったが、やはり外に出てしまう。バスに乗って博物館へ行こうと思ったが、厦門には大きな博物館はないらしい。こういうところは福建省の省都は福州だ、ということだろう。検索すると近くに華僑博物館があったので、そこを目指す。

 

バスを待っていたが、博物館行きバスは一本しかなく、なかなか来ない。そしてようやく来たバスには多くの老人が乗り込んだ。なぜだろうか。バスは昨日行った張乃英さんの家の横を通り過ぎ、海辺を離れた。それからすぐに博物館に到着する。ここも午前中に行った集美大学を創設した陳さんが作った博物館らしい。陳嘉庚氏は東南アジアで一体どれだけの財を為したのだろうか。

 

立派な建物が建てられている。思ったより観光客が多い。中には日本人の団体もいて、ガイドが説明をしていたが、興味を持ってみている人は少ない。中国人でも田舎から来たちょっと金のあるおじさんが、大声で話して係員に窘められていた。展示物は陳さんを初め、東南アジア各国の華人に関するものが多く、特に福建から大勢の華僑が海を渡り、その内の一部が成功した様子を窺わせる内容だった。

 

中国、特に清朝時代には幾度も動乱があり、その度に民衆が移動を余儀なくされ、アメリカの炭坑や鉄道建設に行き、アジア各地で体を張って労働している。私個人は、成功した有名華僑より、海を渡った名もない人々がどうしたのかが気に掛かる。でもそのような人々の歴史は残されることもなく、消えていくのみだ。故郷に帰りたかった人もいるだろうが、当時故郷に錦が飾れたのは成功したものだけだった。

 

帰りはバスに乗らずに歩いてみる。途中まで行くと立派なお寺があり、入ってみたかったが、かなりきつい崖の上にあったので、下から眺めるだけに留めた。既に足が痛い。コロンス島の夕日を見ようと海辺に出た。この風景は18年前とそれほど変わっていないように思えるが、海沿いの道路脇は、観光客向けのきれいな店が並び、歩いている人もきれいな格好をしており、やはり大幅に違うのだな、と感じる。

 

夕飯は厦門らしいものを食べようと近所を歩き回り、蟹肉入りの小籠包、蟹黄湯包と牡蠣オムレツ、海蛎煎を注文した。どちらも一人分としては多い量だったが、完全完食してしまう。中国に来るとどう見ても食べ過ぎだろう。料金も観光地価格のように思えるが、今の中国は正直なんでも高い。

 

11月24日(土)
台北に戻る前に

今朝はホテルの朝ご飯を楽しみにしていた。これまで泊まっていたホテルでも朝ご飯は提供されていたが、ありきたりの物で、あまり満足できていなかった。このホテルは先ず1階のレストランの内装が良い。そして料理もかなりいいものが出てきて満足できる水準だった。

 

あとは時間までホテルでゆっくりしようと考えていたが、今日も何となく外へ出た。行くところもないので、30年前に行ったきりの古刹、南普陀寺へ行って見ることにした。バスは何と昨日の博物館行きと同じ、終点だったから、要領は分かっていた。今日は土曜日で更に観光客が多かった。

 

バスの終点に寺はあったが、その前には厦門大学の校門が見えた。ここも30年前にちょっと歩いた記憶がある。中に入ってみようかと思ったら、一般人は簡単には中に入れないことが分かり、諦めた。今は観光客が大学に押しかける時代だから、致し方ないだろう。向かい側の寺に向かって歩き出す。

 

ところが寺にも入れなかった。今日は何かイベントがあるようで、門の前では人が入れないように、係員がロープを持って立っている。観光客はそれを取り巻いている。信心深い人は外から祈っているが、多くは写真を撮るだけだ。それにしてもこのお寺もきれいになった気がする。経済力とは真に恐ろしい。

 

帰ろうとしてバスを待ったが、乗るべきバスは運転手が中にいるのにドアを開けようとせず(本人はスマホゲームに夢中)、更に彼は鍵を掛けてどこかへ去ってしまった。乗客が乗ろうと詰め掛けているのにこの態度はどうだろうか。一言いつ発車するというだけで待つ方も楽なのだが、そういう気づかいを中国のバスに期待するのは難しい。別のバスで途中まで行き、降りてまた散策する。

 

ホテル近くの路地に入るとそこは別世界。道に迷ったかのように、30年前の中国の面影が次々現れ、何とも幸せな時間を過ごした。ほとんど開発されている中にも、一筋の道が残っていたとはすばらしい。空港に向かうまでの僅か時間、この路地で遊んでいた。最後は本当に迷子になってしまい、スマホを取り出すと現実に戻る。

 

ホテルをチェックアウトしてすぐ近くの乗り場から空港バスに乗り、1時間弱で空港に着く。チェックインはすぐに出来た。あまりにも時間があったので、出国審査後にバーガーキングで軽く食べた。他のレストランの食べ物はビックリするほど高かった。中国各空港の高額な食事料金は改めるべきだ。厦門航空便は順調に飛行して、松山空港に戻った。

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