広大な茶畑を眺める貴州茶旅2017(4)360度全てが茶畑の中国茶海

4月29日(土)
1日お茶ツアー

今日は朝から茶博主催者による1日ツアーに参加した。茶業関係者の集まりだけに当然お茶にまつわる場所に連れて行ってくれると聞き、楽しみにしていた。だが天気はあいにくの雨模様。今日はバスを逃すまいと皆が張り切っている。まずはミニバスに乗り込み、集合場所へ進む。なかなか手際が悪くて出発できない。

 

各車両にはガイドさんがいた。おそろいの制服を着ているだが、どう見てもガイドさんとは思えない雰囲気。聞けば、今日のために臨時に集められた公務員や先生たちだったのだ。我がガイドは中学の理科の先生。この人、実によくしゃべり面白いのだが、何と言っても貴州訛りが強く、声調が標準的でない。そこをお客から指摘されると『そうなんです、私標準語しゃべれないんです』とあっけらかんという。ひと時代前なら、田舎の先生が普通話話せなくて、という話はよくあったが、今でもあるんだ、驚き!(勿論基本的意思の疎通には何の問題もない)

 

更には彼女、バスが出発すると、街のガイドをするのだが、『左手をご覧ください!』と言いながら、右を見てしまう。左右が逆になり、何度言って間違えてしまうという面白さ。皆から『左右さん』と呼ばれる始末。でも実に素朴で愛嬌があり、何よりも一生懸命なので好感度抜群。学校でも生徒に人気があるかも。因みにこの街のシンボルは大きな急須のモニュメントだった。

 

バスは丘の上に上って行く。いや丘というより山だ。湄潭も周囲は山なのだ。だからここが茶畑として選ばれたのか。山道を10数台のバスが連なって登って行く。ついたところは景色を楽しむようにできていたが、霧が凄くてよく見えない。それでも目を凝らしてみると、斜面に茶葉が張り付いている。少し霧が晴れると皆が一斉に写真を撮る。

 

古い建物があったので中に入ると、文革中のスローガンがあり、ここが国営工場?だったことが分かる。と言っても製茶道具は極めて質素、我々の横にいた人が、こうやってやったんだ昔は、と言いながら笊を揺すって見せた。その人、実は今晩魏さんが訪ねる予定の人だと分かり、大笑い。世間は狭い。そういえば顔の広い魏さんは、そこらじゅうで知り合いと出会い、挨拶を繰り返す。

 

もう一つ古い建物があり、そこには湄潭茶場打鼓坡分場という看板が掛かっている。なんとここがあの張天福氏が1939年に作った最初の試験場だったのだ。往時の写真がいくつか飾られていたが、ゆっくり見ようとしたら集合の合図があり、残念ながらこの場に来ただけになってしまった。

 

次に官坪小茶海というところに行った。比較的平地で天気も良くなる。ここは広大な茶畑が向こうまで連なっており、茶の海と呼ばれている。貴州省では現在大規模な茶園開発が行われており、そのすごさを見せつけられる思いだった。これまで茶畑面積中国一は雲南省だったが、貴州が取って代わるのも時間の問題に思えた。ただ左右さんが『ここは小ですからね。もっとすごいのが後で見られますよ』と言っていたのが気にかかる。丘の上から見る景色が実によかった。

 

そこで茶畑を眺めていると、このツアーに白人が混ざっているのに気が付いた。顔が合うと向こうがこちらに寄ってきて英語で話しかけてきた。『日本人ですか?僕もお茶の歴史に興味があるんです』と言ったのは、コロンビア人のジェロという男性だった。フランス人の彼女?と参加していた。私も昨年お世話になった広州茶文化協会の副会長の鄧さんに誘われてきたというのでご縁を感じた。

 

彼はもう10年以上広州に暮らし、普段は貿易会社に勤めているが、中国にいる目的はお茶だという。中国各地を回りたいと言っていた。周囲の中国人にとって、同じ外国人でも、彼らには注目が集まり、引っ切り無しに写真の要請が来ている。そんなことにちょっと嫌気がさして、外国人の私の声を掛けたようだ。広州での再会を約す。

 

お昼は観光客用のレストランで食べた。100以上の人が一度に食べるのだから大変だ。外ではヘリコプターが飛んでいたが、なんとそれは観光用だった。ここで同行していたが林さんがカメラを失くしてしまった。とても良いカメラなので残念だったが、良い物はなかなか出て来ない。

 

午後は翠芽27°という少数民族の村へ行く。ここも観光用テーマパークだった。餅つきが行われていたり、名産品のカラフルな傘が並んでいた。農家菜のレストランなどもあり、子供たちが楽しそうに走り回っていた。貴州の観光業育成は相当の資金を使い、動いているようだ。

 

更には車で移動。着いたところは大きな塔が建っていた。そこの前で少数民族の衣装を着た女性がお茶を淹れ、観光客に配っていた。踊りも披露されている。完全な観光地なのだが、周囲は全て茶畑なのである。エレベーターで塔の上に上ってみた。上でもお茶が振る舞われており、お茶を飲みながら周囲を見渡したのだが、何と360度、全て茶畑のみ、地平線の向こうまで茶畑が繋がっている。これだけの規模の茶畑は世界でも稀らしい。それでついた名前が中国茶海。さっきの小茶海が小さく見てしまうから恐ろしい。

 

茶畑の中に入り、茶葉を摘むお客もいる。その横に立ってみると、その何処までも続く様子には圧倒されてしまう。この平地にこれだけの茶畑を作れば、一気に機械摘みで大量の茶を作ることも可能だろう。品質の問題はあるかもしれないが、生産量はどこまで伸びるのか。まずはそれに合った市場が見付かれば大化けするかもしれない。

 

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