広大な茶畑を眺める貴州茶旅2017(3)吸引力のある蘭香茶業へ

その内に魏さんたちは開幕式をスキップして、隣の建物に出店している茶ブースへなだれ込む。ここでは貴州各地の茶が展示され、試飲することができた。民族衣装を着た若い女性が説明してくれたが、どうみても彼女らが少数民族だとも思えず、また茶に詳しいとも感じられなかったのは残念。しかし今の時代、参加者に見栄えのよい写真を微信にアップしてもらうことが主眼だからそうなってしまうのも無理はない。

 

横では茶博の主目的である茶葉の商談も始まっており、こちらは漢族?のおじさんが売込みに余念がない。『生態、緑色、健康』など、どこにでもあるスローガンが掲げられている。貴州の茶はその良質な自然環境と古茶樹の葉を使って作っていることなどが謳われている。特に緑茶の中に、非常にピュア―で美味しいものがあったので嬉しい。

 

下の階では、貴州以外の茶のブースが展開されており、林さんの後について、英徳紅茶や重慶の茶商さんのブースに足を止める。英徳は8月に行く予定にしている。重慶は先日行った湖北省恩施にも近く、実は良質な茶が集まる場所であると知り興味が沸く。今度は茶旅で重慶と四川を訪れたいと思っている。

 

吸引力のある蘭香茶業へ
茶博は午前中だけの見学に留め、午後はまた茶業者を訪問した。車で郊外のオフィスへ。ここの庭には200年以上前の古茶樹が何本も移植されており、貴州にも昔から茶の木があったことを示している。ここにも茶博見学が終わった茶業者が続々と詰めかけていた。蘭香茶業はある意味で湄潭一有名な会社かもしれない。

 

茶工場は見学ルートを伝って見る。説明書きもしっかりあり、よく理解できるようになっていた。ここを案内してくれた蒙永紅総経理は、凄い経営者だ。とにかくお客の要望をよく聞き、お客の想像する以上のことをしてくれる。今回のこのツアー受け入れについても、彼女が色々と尽力してくれ、私なども参加できるようになったのだと後から知った。我々のツアー参加者の一人は広州から遅れてやってきたが、わざわざここから3時間かかる貴陽の空港までたった一人を迎えに行ってくれたともいう。これには魏さんも感激しており、蒙さんの虜になってしまった。

 

ここでお茶を頂いて、と思っているとすぐに移動の合図が出た。どこへ行くのかと思っていると、蘭香茶業の茶園が見られるというのでワクワクした。車で30分ぐらい行った場所に着くと、そこは立派な茶園だった。いくつもの建物があり、茶葉も買えるし、製茶体験コーナーやギャラリーまである。今朝摘まれた茶葉が日光萎凋されていたり、釜炒りの実演も見ることができた。そして宿泊施設まで併設されている。まさに一大観光茶園で驚く。

 

茶園を見学するというので歩き出したが、まるで公園のように整備されており、遊歩道が設置されている。あまりに広大な敷地、30分以上歩いても帰り着かない広さ。日本では考えられないスケールだ。茶葉はすくすくと育ち、所々で茶摘みも行われている。手で摘むにはいくら人出があっても足りない面積だ。しかも茶園の区画ごとに、表示がある。元々は若者向けに1坪茶園主制度を設けて、茶の振興を計ったようだが、現在では一般の出資者を募り、一定の資金に対して、茶葉などで支払う制度を作っていた。

 

これは中国各地で広がっているモデルらしいが、この規模で行われると迫力がある。誰かが言っていたが『貴州ではすでに茶葉を売るのではなく、茶園を売っているのだ』と。確かに後発の貴州の茶を如何に販売するかは最大のポイントだろう。ここに観光をマッチさせることにより、より凄みのある観光茶園が完成するのだ。

 

この茶園には有名人の茶園がいくつもあった。その中に、貴州の茶業界の基礎を作った、あの張天福氏の茶園も表示されている。そこには今回ご一緒した張夫人の名前もあり、皆が記念写真を撮るのに殺到していた。なぜ張夫人が貴州にやって来たのか、それは張氏の足跡を再度辿り、その偉大な道のりを見たいという思いがあったのではないだろうか。そして病床にある氏に何らかの報告をするためだったのでは、と思えるところがあった。

 

夕方になると、外に大勢が集まり、会食が始まった。100人ぐらいいるのではないだろうか。席がない人、後から来た人は、屋内に別の卓を設けるほどの大盛況だった。地元料理が並び、酒もふるまわれた。オーナーや政府役人の挨拶の後、食事をしながら各地の代表団が挨拶を始めた。東北地方、山東、上海、広東など中国全土から来ていた。ロシア人やモロッコ人も混ざっている。これだけの人が集まるのは、この会社の力だろう。客人を丁重に持てなしている蒙総経理は休む間もなく動き回っている。大車輪の活躍だ。彼女はこの2-3日は寝ていないのではないだろうか。

 

車でホテルまで送ってもらうはずが、いつものことながら魏さんは別のお茶屋さんに出向く。どこからの茶博で出会ったというオーナーと再会し、色々と話をしているが、こちらはもうお茶も飲み飽きたし、早く帰って寝たい気分になってしまう。私は本当にお茶が好きなのだろうか、と自答してしまうが、答えは出ない。その日も深夜に戻り、すぐに寝込む。

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