広大な茶畑を眺める貴州茶旅2017(2)福建人が投資した紅茶

2. 貴州
湄潭へ

遵義の空港は小さくて、荷物もすぐに出てくるからよい。出口には今回の茶業博覧会の担当者が待機しており、我々はバス乗り場へ誘導された。張夫人は既に顔を見知っている担当者が素早く駆け付けて、まさにVIP待遇で別行動となる。そこに一応秘書という形で羅さんが同行した。勿論ホテルも別だ。

 

これから車で数十キロ離れた湄潭という場所へ移動する。どうやらこの空港は遵義と湄潭の間に作られているらしい。私は遵義会議の場所など見たいと思ったが、遵義はどんどん遠ざかっていく。団体行動だから仕方がない。ちょうど1時間ほどで、湄潭のホテルに入った。途中に巨大な茶博会場が見えた。中国はどこでもなんでも大きい。

 

ホテルは2人一部屋で、先日同様林さんと同室になる。もう完全に慣れっこだ。ネットも繋がるし、問題は何もない。が、朝から機内でサンドイッチを少し食べただけなので腹は減っている。ホテルの昼食は残念ながらすでに終わっており、皆で外に出て、豪快な麺を食う。魏さんの旅では会食がなければ麺を食うのも恒例となっている。

 

ホテルに戻り、茶博参加の登録を終えて登録証を受け取る。ホテルロビーでは如何にも茶博らしく、地元のお茶が振る舞われており、私も飲んでみた。ここの緑茶は意外とうまい。貴州と言えば緑茶の産地なのだ。サンプルもくれた。だが最近は紅茶も作り始めた。ただ若い淹れ手の女性も急きょ招集されたようで、紅茶には慣れておらず、林さんが指導してお茶淹れしている。この辺が如何にも我々は紅茶屋さんの集団なのだ。

 

福建人の紅茶会社へ
午後車が迎えに来た。茶博は明日開幕なので、今日は魏さんがアレンジした茶業者を訪ねることになっていた。私は知らなかったが、湄潭は貴州省内の一大茶産地だったのだ。車は町から少し離れた工場のような建物の前で停まった。庭には様々な品種の茶樹が植わっている。規模もかなり大きい。

 

琦福苑茶業と書かれたそのビルに入るときれいなお茶の売り場がある。奥には大勢が一度にお茶が飲めるスペースもある。貴州もお茶が盛んなんだなと驚く。お客も次々に入ってきて、店側はその対応に追われる。何しろ明日から茶博があるため、中国全土の茶業関係者が集まってきている。

 

 

しかしどうしてこのお茶屋さんに来たのかと思ってお茶を飲んでいると、何となくこの紅茶、懐かしい味がする。何とここのオーナーは福建省出身で10数年前に貴州に投資して、福建式の紅茶も作っているというのだ。当然魏さんたちとは同じ福建ということで以前より知り合いだった。その上、今回は張夫人も来ている。張天福氏は特に福建人の茶業者にとっては神様のような人だから、オーナーの葉さんも他の客を置いてもこちらで接待する。

 

遵義紅という紅茶のブランドを登記したのは数年前。色々と苦労はあったが、貴州の茶畑に福建品種の小葉種を植え、独自の紅茶を作った。湄潭には昔紅茶があったこともあり、名前は有名な地名である、遵義を使ったという。非常に才覚の働く福建人らしい投資だ。面白いのは葉さんが総経理で若い息子は董事長という名刺を持っている。若者はこれからITなども駆使して茶業を継いでいくと謙虚だった。

 

夕飯の時間にホテルに戻り、食堂でご飯を食べる。今回のこのツアー、何と空港到着時から空港出発までの全ての費用を地方政府が負担するというのだ。ホテル代も車代も食事代も、決められたところへ行く分には全て無料というのは凄い。地元政府がどれだけ茶業に力を入れ、その宣伝に努めているか、合わせて中央政府がこの貧困省にどれだけの予算を割いているかが分かる。(勿論これはバイヤー向けのツアーだからで、一般的な話ではない)

 

4月28日(金)
茶業博覧会で

翌朝は8時に茶博に向けて出発するというので、7時には起きたが、既に林さんの姿はなかった。いつも早起きだ、林さん。食堂で粥やイモなどの朝ご飯を食べて、ロビーでバスを待ったが、8時になってもバスは来なかった。聞いてみると門の外にいたようで、既に出てしまったという。スタッフは沢山いるのだが、彼らも臨時のことなので慣れていない。結局バスが戻ってくるまで20分ぐらい待つ。

 

茶博会場は大きな通りに面している。今回のために作られたわけではないが、最近のデザインで何より大きい。写真を撮ろうとしたが、相当遠景になってしまうほどだ。会場に入ろうとすると、セキュリティが厳しい。登録証を見せても入れてくれず、係員を呼び出して何とか中へ入れてもらった。今日は開幕式で政府要人が来るのだろう。テロ対策だ。

 

開幕式会場もかなり大きな部屋で既に沢山の人が集まっており、席もないほどの盛況だった。立っていると式が始まり、貴州省や湄潭市の偉い人がスピーチを始めた。大型スクリーンでは貴州のキレいな茶畑が映し出され、雰囲気を盛り上げていた。でも偉い人の話には何となく飽きてしまい、会場の2階に上って写真を撮ったりして過ごす。

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