雲南から江蘇、湖北の茶旅2017(8)宜興の茶工場

4月8日(土)
宜興の茶工場

 

翌朝は良い天気になった。天気が良いと気分もよい。昨日の夜も私の部屋に林さんが一緒に泊まった。前回の福建省政和の旅でも、彼は私のために色々と世話を焼いてくれ、そして一緒に泊まっているので、もう慣れていたが、やはり彼の朝は早い。私は昨晩が遅かったので、起き上がれなかった。

 

今日は待望の茶工場へ向かう。宜興郊外、岭下茶廠、1950年代に紅茶を作り始め、60年代終わりにはCTCの生産も始まったという。今も現役の60代の女性、とてもにこやかな笑顔で話してくれた。総経理は40代で、1990年以降、この工場が改制され、新たな茶のブランドを立ち上げた頃からは知っているらしい。それ以前のことはお父さんが詳しいようだったが、お話を聞く機会はなかった。

 

90年頃に福鼎大白を植え、全て芽だけで作る紅茶を、竹海金茗というブランドで販売した。それまでは蘇紅という紅茶名はあったようだが、全く新しいブランドを確立し、宜興紅茶の美味しさを伝えた。私が茶壺売りから飲ませてもらった紅茶はこれだったかもしれない。またこちらでは緑茶の生産も行っており、飲ませてもらうとかなり美味しい。

 

工場の横にある茶畑に行くと、茶摘みが行われていた。まだまだ地元民による手摘みが主流なのだ。日本製の防霜ファンが沢山取り付けられている。霜も降りるらしい。品種も緑茶用と紅茶用が両方植えられており、かなり広い。コストは高いはずだが、価格でカバーできているのだろうか。色々と聞きたいことはあったが、大人数で来ており、なかなか難しい。

 

お昼は近くの農家レストランでご馳走になる。やはり大勢で新鮮なものを食べるのは美味い。そして午後はもう一つの茶工場、紅岭茶廠にも行った。こちらでも茶摘みが行われていたが、摘んでいたのは何と観光客だった。既に観光茶園としての体裁を整え、多くの客を受け入れ、茶摘み体験をさせ、茶葉を販売していた。ここなら上海や蘇州、無錫からも車ですぐ来られるので、よい週末旅の候補地になるはずだ。

 

こちらには近代的な工場が見え、紅茶だけではなく、緑茶生産にも力が入っていた。聞けば、日本企業と提携して抹茶の生産もしているらしい。確かに杭州や蘇州ではコストが高過ぎるが、ここなら生産しても採算が合うのかもしれない。歴史的な茶園は相当の変化を見せている。

 

無錫へ
私はてっきり今日も宜興に泊まるつもりで準備してきた。ところが魏さんたちの計画ではこれから無錫へ移動するのだという。だからホテルは1泊しかとられていなかったわけだが、きちんとした日程表などないこの旅は、何が起こるかわからない。我々は2台の車で来ていたが、私が乗せてもらった杭州チームは、無錫まで一緒に行く気はないようだった。ところが車が足りないので、魏さんの要請で無錫まで送ってくれることとなる。

 

ただ宜興で茶器を仕入れたい人もいるので、我々の車はまずは茶器屋に向かう。その用事が済んでから、無錫を目指した。車が太湖の湖畔に沿って走り始めると、風景が一変した。周囲は高層マンションで溢れている。これが私の想像していた街並だ。太湖の横あたりは既に相当不動産価格が高いらしい。開発は進んでいる。

 

6.無錫
切符変更
途中から高速に乗り、約1時間で無錫へ着く。今日の夜は茶会があるらしい。その会場まで乗せてもらい、杭州の車は蘇州に行きたい女性を乗せて、去っていった。会場はある茶芸の先生の教室。我々は取り敢えず、その裏手に予約されていたホテルに荷物を置きに行く。私が無錫に来るのはやはり17年ぶりぐらいだろう。前回は仕事で来たので、殆ど街など見ていないから、実質は宜興同様30年ぶりかもしれない。

 

実は私は次に湖北省へ行く必要があり、宜興発でその切符をすでに買っていた。ところが思わぬことで無錫に来てしまい、その切符の変更を余儀なくされたため、林さんに付き合ってもらい、無錫駅へ向かうことになった。駅はそれほど遠くないというのでバスに乗ってみるが、これが回り道をしており、遠く感じられる。しかも無錫駅はかなり大きい。切符売り場までも歩いて遠い。

 

切符売り場がそれほど混んでいなかったのは助かったが、やはり買った切符は払い戻して、新たに買い直しとなり、数十元のキャンセル料を取られた。無錫から湖北省恩施までの切符は直通で無事に取れたのでよかった。無錫は珍しく、普通の鉄道と高速鉄道が同じ敷地内にあったが、その距離はかなりあった。高鉄の駅は他と同様に大きかった。念のためそこまで行って戻ることにしたが、バスがなかなかわかりづらい。

 

何とか乗り込んだが、既に魏さんたちはホテルを出て、夕飯に向かっていた。我々もそこに合流しようとしたが、場所が変わったり、バスの降りる所が分からなかったりで、苦労した。何とか食堂を探し当て、大腸麺を食べた。軽い飯でよかった。誰かが接待してくれると、大量に食べるので、魏さんも節制しているのだ。

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