偶には香港を旅する2017(1)2年ぶりの香港泊

《偶には香港を旅する2017》

 

香港にはかつて通算10年も住んだのだが、最近は足が遠のいている。理由は至極簡単で、宿泊などの料金が高過ぎる、美味しいものが減ったような気がする、など。ただ流石に2年も香港に泊まっていないのはどうかとも思い、ある用事のオファーを受けて、行ってみることになった。尚昨年は10月、11月と2度、香港を経由して日本へ行っているが、いずれも宿泊していない。

 

3月9日(木)
ホテルまで

 

今回は久しぶりに羽田からANAの午前便に乗る。何とも出張の雰囲気が漂う。昔はいつもこんな出張をしていたのに、今や随分と心境が変わったものだ。出てきた機内食も美味しく感じられるのはなぜだろうか。でももうあの世界には戻りたくない、いや戻ることはできない。

 

香港空港には少し早めに着き、自動入国で簡単に手続きは済む。携帯のシムカードがないので、空港内で探す。中国人ばかりが並んでいたが、彼らはローミングの手続きだろうか。私は一番安い118ドルのシムを買う。7日間使えるようだが、私の滞在は6日間だからこれで問題ない。昨年の香港経由の旅では、このシムがなかったために、連絡などが出来ずに大変困ったものだ。

 

 

今回のホテルは銅鑼湾なので、空港バスで向かう。香港島行きのバスは相変わらず2種類あり、早い方だと40ドル、遅い方だと21ドル。香港とは本当にタイムイズマネーの場所である。ちょうどやって来た早い方のバスに乗る。前には韓国人の女性が楽しそうに乗っている。2階建ての上にはアラブ系の家族が乗り込んでいく。国際色も豊かだ。

 

1時間もかからずに銅鑼湾に到着した。今日と明日はちょっといいホテルに宿泊できる。このホテルは、ハーバーに面しており、20年前最初の香港駐在を終えて、去る時に泊まった思い出のホテルだった。勿論その時とはずいぶんと変わっている。部屋に携帯電話が備えてあり、自由に使うことができた。これならシムを買う必要はない。いいサービスだと思う。ただ最近取り壊しが決まったらしいので、今回の宿泊が最後となりそうだ。

 

チェーン茶餐庁
何となく外へ出る。そごうの裏あたりをフラフラすると、何と翠華という名前のレストランの看板が5分歩いて3軒も目に入る。これはいくらチェーン店でも異常と言わざるを得ない。と同時に、ちょっと入って偵察を試みる。その店は午後3時なのに、満員で一番端の席を辛うじて確保した。

 

後で聞くと、香港の茶餐庁では、下午茶という時間が安いのでこの時間は混んでいたらしい。私は何も考えずに、海南チキンライスをオーダーしてしまう。夕飯の会食があるにもかかわらず、やはりどうしても食べたくなってしまうのだ。まあ飛行機の機内食が軽かったから、と言い訳してすぐに平らげた。料金は決して安くはない。それでも流行るこの店は何だろうか。家賃が高騰して、資本力がないと店が出せないとは聞いているが、なぜこれほど人が集まるのか。

 

帰りがけにふと見ると、港式ミルクティの表記が目に入る。茶餐庁にはよくあるメニューだが、それがペットボトルに詰められ、冷蔵庫に入って冷やされている。何気なく、一本手に取り会計したら、何と28ドルもした。もう香港ではうかつに飲み物も買えないと改めて自覚した。

 

それから某銀行へ行く。昔住んでいた時からずっと口座があるのだが、先日インドへ行ってATMを利用しようとして使えなかったので、その確認にきたのだ。ATMで香港ドルを下ろしてみたが、やはりダメだった。窓口で聞くと『暗証番号でも忘れたのでは?』と言われたが、それはないと言い切った。最初は処理を渋っていたが、香港居住者ではないので、すぐに修正して欲しいと訴えると、何とか対応してくれた。これが中国などだと、梃子でも動かない。やはり香港にはまだ柔軟性がある。

 

夕方、以前何度が会ったKさんと久しぶりに落ち合った。もう数年会っていなかったのに、そして夕方の中途半端な時間なのに、快く面談に応じてくれた。彼とは旅好きという共通点があり、その辺で話がかなり合っていた。ホテルのカフェで話し始めると止まらなくなり、予定をオーバーしても話題が尽きなかった。こういう何気ない会話がいい。夜は打ち合わせで海鮮をご馳走になる。

 

3月10日(金)
翌朝は早めに起きて、朝食へ。久しぶりにホテルの立派な朝食をゆっくり味わう。毎日だと多過ぎるが、偶にだとあれこれと手が出てしまい、かなりの量を食べることになる。その後は部屋で日記などを書いて過ごす。このホテルは日本人用にと、煎茶のティバッグや浴衣などが支給されている。日本の新聞も入っており、1か月ぶりに新聞を読んでみたりもする。

 

それから今回メインの用事を済ませると、午後3時前になっていた。肩の荷が下りる。急いで上環の茶縁坊へ向かう。昨年の秋に安渓を訪ねた時は、連日の雨で秋茶がなかったのだが、その後禁を破って相当遅い時期に茶を作ったらしい。今回はそれを飲むために行ったのだが、むしろ他の茶が美味しいと思え、購入銘柄を変えた。

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