台湾一周茶旅2016(5)古い城門が残る恒春

列車は東海岸の海岸線とその1つ入った山沿いを走っていく。池上は今や池上弁当で有名、鹿野は先日訪ねた茶畑がある場所だった。3時に台東まで来ると、確かに団体が乗り込んできて、我々の席は無くなった。だが彼女はすぐに他の席を探して座る。『台湾って、こんなものよ』といとも簡単に言う。日本なら、そういう席の売り方はしないだろうが、その辺は前向きに『台湾の臨機応変』と呼ぶことにしたいと思う。

 

その後知本温泉の知本を出発すると次は私が降りる枋寮だった。ここまで1時間、列車は何処にも停まらないので、席を移動することもなかった。今回私が訪ねるのは恒春という場所、屏東にあると聞いていたので、屏東駅まで行くのかと思ったが、枋寮からバスに乗るのだと言われ、ちょっと慌てた。私は地図も見ずに、行先だけを指示され、よくわからずに進んでいるのだ。

 

枋寮駅前で聞くと、すぐそこから恒春へ行くバスが出ているという。恒春行というより、墾丁ビーチへ行く、というのが正しいだろう。墾丁は台湾最南端の観光地であり、そこへ行く人は多いが、鉄道は走っていないので、マイカーかバスになるのだ。バスは思ったより頻繁にあり。少し待つとやって来た。ただここから1時間もかかるらしい。ずいぶん遠いところまで行くんだな。

 

3. 恒春
バスがない

 

途中で海が見えた。夕日が落ちていく。完全に南国の風景だ。そして暗くなった頃に何とか恒春のバスターミナルへ着いた。恒春の街中では何か所にも停まり、降りる場所は分り難かった。バスを降りて、まずは小さなそのバスターミナルへ行き、明日のバスを確認した。訪ねる人から言われた通り、『満州郷の港口村へ行きたいんですが』と聞いたところ、『午前6:20ね』と言われてしまった。あまりに早いのでその次はと聞くと『午後4:20ね』というではないか。確かにバスはあるが、これは学校に行く生徒用のようだ。これではいけないのと同じだ。

 

どうしてよいか分からなかった。取り敢えず宿を探し、訪ね人に連絡して迎えに来てもらうなり、何か方策を考えなければならない。バスが走ってきた道を少し戻ると、こぎれいな宿があったので、そこへ入る。11300元と決して安くはないが、ある意味、観光地料金なのだろうか。結構若者が泊まっていたのでそう判断した。

 

そこで『港口村へ行きたいのだが、何か方法はないか』と聞いてみたが、『あそこは行き難いのよね、タクシーでも結構お金かかるし』との返事。ところが横にいた女性が『それなら私が連れて行ってあげようか』というではないか。それは有り難いと言ってみたが、フロントのおばさんはあまりいい顔をしなかった。

 

取り敢えず部屋に入るとこじんまりしたところだった。ビジネスホテルというより民宿という感じ。そこで明日訪ねる相手に電話をかけて、事情を話してみた。すると相手は『今から来ないか?今晩は暇だよ』というではないか。明日の昼間でも行けないかもしれないのに、これからどうやって訪ねていくというのだ。やはり彼女に頼って明日の10時に行くことにして電話を切った。

 

下へ降りて、夕飯を食べに行く。さっきの彼女にここの名物を聞くと、冬粉というので、それを食べた。春雨のようなものだが、あっさりしていて美味しい。ちょっと食べ過ぎが続いたのでちょうどよかった。食後は、街をぶらつく。何とこの街には昔の城壁が残っており、城門もあった。今晩は満月らしく、月を眺めている人が多かった。この街の印象は俄然よくなってきた。

 

1115日(火)
港口村へ

 

翌朝は快晴だった。朝食が付いているというので下に降りると、サンドイッチと豆乳が置いてあり、自由に取るというスタイルだった。まあ、これで十分だけど。彼女を探したが見つからない。フロントの女性は『まあ10時前には暇になるだろう』と言って、彼女が私を連れて行くことを許してくれた。彼女は今、掃除などの仕事をしているらしい。

 

取り敢えずまた外へ出て、街を歩く。街の地図を見ると、何とこの街には東西南北全ての城門が現存していた。この4つを回れば、街歩きは完成だった。台湾でも珍しい現存する城壁都市だった。それにしても良くもきれいに残っているな、と思われる城壁もあり、上を一部歩くこともできた。古い石碑が残っている公園もあった。

 

映画『海角七号』(私は見ていないのでよくわからない)のロケ現場が何か所か表示されていた。この映画は台湾で大ヒットしたらしい。しかも主演女優は日本人だったというので、日本でも結構有名だ。それを当て込んで、街おこしをしたのかもしれない。若者の観光客が多いのはそのためだろうか。

 

だが私にとっての恒春と言えば、その昔何かで見た映画の舞台がここだったという記憶がある。題目は忘れてしまった。貧しさから家族のために台北へ出でて身を売って金を稼ぎ故郷に仕送りしていた女性が、故郷に戻ってみると白い目で見られるという、実に悲しい話だった。ヒロインが丘から海を眺める、それは懇丁だったのだろうか。

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