豊原・台中・鹿谷散歩2016(6)劇的な出会い

南投県のブースにはさすがに茶に関するものも多少あり、茶業改良場が展示を行っていた。茶業の歴史がかなり詳しく紹介されるという珍しい内容だったので、食い入るように見入る。Uさんはお知り合いの黄さんを見つけて、話し始める。黄さんは以前魚池の改良場にいたが、今は本場に転勤になっていた。

 

茶の歴史に詳しいので色々と聞いているうちに『実は5年前に魚池の改良場を訪ねたことがある。徐先生のご紹介であり、おまけに新井さんと一緒に働いていた楊さんまで紹介してもらった』と話すと、その後すぐに徐先生が亡くなって残念だった、と彼は言うのだ。どうしてそんなことがすぐにピンと来るのかと思っていると『実はあなたが来る前日徐先生から電話を受けたのは私だから』というではないか。当日は出張でいなかったが、彼が私のアレンジをしてくれていたのだと、初めて分かり、そのご縁に驚いた。Uさんも『なんだ、知り合いだったのか』とつぶやく。初めて会った知り合い、こういうことがたまに起きるから茶旅はやめられない。

 

さらに話していると、一昨日の中興大学での茶業検討会で、黄さんは陳場長のお供で私のすぐ後ろに座っていたことも分った。『参加者から日本人が来ているとはきいていたが、まさかあなただったとは』と向こうも驚いている。お茶のご縁とはそんなものかもしれないが、台湾茶業についても今度ゆっくり話を聞いてみたい。

 

黄さんは本当にいい人だった。試飲のブースの茶業者がランチに行ってしまうと、政府の偉い人なのに、自ら茶を振る舞っている。何とも気さくだ。更にUさんと私を誘い、奥さんも同伴して、ランチに連れて行ってくれた。後ろのブースに屋台が出ており、美味しそうな物を選んで買ってくれた。ぶらぶら歩いていると、野菜や果物も売られており、南投が農業県なのがよくわかる。茶を売っている人々もおり、黄さんには色々と声がかかる。皆が非常に仲良しなのが面白い。

 

黄さんと別れて帰路に就く。夕暮れ前、街を走っていると、『立派なケンタッキーがある』とUさんが声をあげる。寄りたければ寄ろうよ、と言ったものの、腹は満腹状態で食べ物は入らない。鹿谷にはこういう物がないという。確かに数日居るにはよいが、長居すると食事に飽きてしまうのだろう。

 

その夕食をどうしようかと、鹿谷に帰っても頭を悩ませる。洗濯物を取り込むと日が暮れたので、取り敢えず外に出る。ちょっと行くと、なんと日本のおでんの屋台のようなものがある。鹿谷関東煮というのれんまでかかっている。最近始めたという地元の台湾人が作っていた。恐る恐る覗き込むと、何とも美味しそうな大根が煮えていた。ちくわやつみれも取って、頬張る。味は台湾風であったが、それなりに美味しい。最後にサービスです、と言って出されたリンゴも、煮込まれていたが、これが意外や美味しいのでビックリ。疲れていたので、帰ってしばらくしてぐっすり寝込む。

 

117日(月)
桃園へ

 

翌朝はゆっくり起きる。そしてダラダラとお茶を飲んで過ごし、11時のバスで鹿谷を後にした。今回も最後までUさんには世話になった。バスはちょうど1時間で高鐵台中駅に着く。ここから、バスで桃園へ向かうのはちょっと不便なので、思い切って高鐵に乗る。高鐵料金はバスの2倍近くするので急いでいなければ安い方にするのだが、仕方がない。

 

高鐵は昼間でも結構混んでいる。自販機で切符を買えるのだが、1000元札を入れるとお釣りが全て50元硬貨で返ってくるという困ったことになるので、敢えて窓口へ並ぶ。高鐵は頻繁に出ているので、すぐに乗車できてしまう。高鐵桃園駅までは40分ぐらいだろうか。確かにバスより快適だ。

 

ここでバスに乗り換えるのだが、来る時もそうだったように、空港行バスは常に混んでいた。というより、バスの座席数が少なすぎる。大きな荷物を抱えて乗り込むためか、立って乗車することはできない規則のようだ。バスが来ても少し列が短くなるだけで、すぐに行ってしまう。係員も人数を数えて切符を売っている。30元。かなり非効率だ。

 

バスが来たがまた切符を売ってもらえないかと諦めていると、何とか1席あり、乗り込むことができた。乗ってしまえば、15分位で空港に着く。しかし急いでいる、特に出発が迫っていれば、焦るだろうな。空港に入ると、ちょっとしたトラブルに見舞われる。不満が残ったが、仕方がない。ネットでチケットを買うと、確認できないこともあり、怖い。台湾でもこんなことがあるんだな、気を付けなければと自らを反省する。

 

時間がかなりあったので、上の階にあるモスバーガーで時間を潰した。ここは電源もあり、Wi-Fiも通じるし、そんなに混んでいないので、暇つぶしにはちょうど良い。PCを立ち上げ、原稿などを真剣に書いていると、あっという間に時間が経ち、危うく乗りそこなう時間になりそうだった。急いで出国審査に向かう。これから急きょ、深圳へ飛ぶのだが、そこでは何が待っているのだろうか。出国審査よりも、荷物検査に時間が掛かっている。この辺は日本と並んで丁寧な台湾であった。

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