豊原・台中・鹿谷散歩2016(4)茶業検討会に参加して

114日(金)

翌朝は腹が一杯だと言いながら、朝飯を食べている自分がいた。食事が付いていると食べてしまうのは何ともだが、これも仕方がない。もったいない精神が発揮されてしまう。さすがに腹ごなしに散歩が必要と判断して、フラフラと歩きだす。地図をもらい、取り敢えず駅まで歩いて行ってみた。

 

ホテルから15分ほどかかったが、道はそれほど複雑ではなく、人通りのほとんどない繁華街を通り抜けた。豊原駅の正面は既に使われておらず、台中駅同様、改修工事がされていた。街全体としても、それほど歴史的な建物を見ることはできない。しかしだからと言って、凄く発展しているとも言い難い。この辺が面白いところかもしれない。

 

11時過ぎにジョニーが迎えに来てくれた。今日はこれからジョニーが教鞭をとっている中興大学で茶業の検討会があると聞き、私も特別に参加させてもらうことにしたのだ。その前に腹ごしらえと、また食事に。ホテルのすぐ近くにあるスワトウ牛肉店。ここの牛肉、麺に入れても、炒め物にしても、何ともうまいので、また食べてしまう。実はこのお店、彼の店の従業員の実家なのだが、彼は身分を明かさず、さらっと食べて金を払った。この辺の心配りがジョニーの素晴らしいところだ。

 

 

3. 中興大学
検討会に参加する

 

車は高速道路に乗り、台中市内を少し過ぎて降りた。20分位で、中興大学に到着。何だか広々とした南国のキャンパスに、古めかしい校舎。実はこの検討会、学内の小さな集まりだと勝手に思い込んでいたのだが、会場に入ると違っていることに気が付いた。中興大学の教授陣は勿論だが、農業委員会の幹部や茶業改良場の陳場長をはじめ、そうそうたるメンバーが登壇するというので、驚いた。これは台湾全体の茶業の将来を検討するための会だったのだ。そんなところに外国人が入ってもよいのだろうか。

 

ジョニーの店の人々もやってきて、お茶を並べて宣伝している。昨日の吉時好茶の店長もこの大学の卒業生であり、茶に興味を持っているので、ここにいた。大学内で、茶に興味がある若者が作り出したお茶なども展示されており、興味深い。この大学は本当にお茶に対して熱心なのだった。教授陣も生育から土壌、製茶など様々な専門家がいた。

 

会場のホールには聴衆が沢山詰めかけていた。その中で会は進行し、プレゼンターがPPTなどを使い、発表していく。その命題はずばり、台湾茶の将来、生きる道であった。フランスのワインを持ち出し、きちんとルールを決め、等級や産地などをはっきりさせるべきとの主張もあった。アメリカで何十年も台湾茶を商っている華人からも、もっと売り込みに力を入れる必要性が強調された。

 

我がジョニーも自らの取り組みを紹介しながら、方向性を説くが、時間が10分では語り切れない。もう一人のお知り合い、林和春さんは、『茶業の機械化』を如何に進めるかを説く。高級茶を作るだけでは問題は解決しない。ベトナムなど海外から輸入される茶葉の量を考えれば、低コストで大量に茶を作ることも重要なのだ。きれいごとだけでは政策は打ち出せないし、本当の問題解決にはならない。

 

台湾がこれだけ輸入茶葉を入れているのなら、いっそドイツに倣って、アジアの茶葉集積地を目指すべきとの意見もあった。こんな発想、日本ではできないだろうな。慎重に検討するものよいが、各自が思うところを述べて行くのが面白い。まあ、まとまりがなく、ただ言い合うだけ、との意見もあったが、実に参考になった。会場からも積極的な意見が飛び出し、作り手である茶農家と政策選定を迫られる行政の差も感じられる。最後に私の横に座って聞いていた、ジョニーのお父さんが突然皆に紹介され、大きな拍手を受けていたのは、やはり彼が偉大な存在だからだろう。

 

会が終了すると、別室にご飯が用意されており、自由に食べてよいというので、食べさせてもらった。集まった知り合い同士が、ここでも活発に意見を交換している。日本に比べれば順調にも見える台湾茶業だが、やはり多くの問題を抱えており、簡単に解決できる道はなさそうだった。茶葉が売れないのか、売れる茶葉が無いのか、どの国も同じような問題に直面している。

 

ジョニーの車で台中駅まで送ってもらい、ホテルに入った。彼には本当に忙しい中、最後まで面倒をかけてしまった。駅前のそのホテル、安い部屋でいいというと、窓のない部屋になったが、何となくそこのベッドはカプセルホテルのようで、面白い空間になっていて、楽しめた。なぜかスナックが無料で置かれており、それをぼりぼり食べながらテレビで日本のドラマを見ているうちに寝入る。

 

115日(土)

翌朝はホテルの朝食を食べ、出発した。鹿谷へ向かう。そのバスはどこから乗るのかと聞くと、ここから歩いてちょっと行ったところと言われ、荷物を引きずって向かう。干城駅というから、ちゃんとしたバスターミナルかと思ったら、その辺にいくつかのバス会社が点在しているだけだった。その中で台湾好行のバス停を見付けて、待っているとバスが来て何とか乗り込んだ。以前高鐵駅から乗ったことがあるので、ここまでくれば大丈夫だ。1時間半ほどしてバスはいつものバス停に着いた。

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