中国鉄道縦断の旅2015(4)中国の発展と貧富の差を感じる

1218日(金)
4. 昆明経由で長沙へ
極寒昆明の朝

 

午前4時の昆明駅は、本当に、本当に寒かった。当然私の旅なら昆明で1泊するのですぐにホテルを探したろうが、この旅はそんなに甘くない。既に大理で昆明長沙間の切符も買われていた。硬臥の切符が買えることがこの旅のポイントなのだ。11時台に出発するのだが、それまで7時間、昆明でどのように過ごすのだろうか。朝が早過ぎてどこかへ行くわけにもいかない。

 

取り敢えず寒いので暖かい物を食べようとお粥屋に入るも、ドアがないオープンな店で寒い。粥を食べている間は暖かいが、食べ終わるとすぐに寒くなり、座っていられない。客の回転は速い。真っ暗だが歩いている方がましではないかと外へ出る。先日も午前2時の昆明駅前を見たが、4時台の昆明駅は既に人が歩いていた。そしてまんとうなどの屋台が出ている。その湯気は何とも温かいが、それを売る人々の寒そうな姿、生活は相当に厳しそうだ。きっと田舎から出てきたのだろう。中国の貧富の格差、というのは、絶望的に大きい。それは日本で分かりえないほど深いように思われる。

 

外を歩いても寒さは柔がない。風も強い。仕方なく、今度はちゃんとドアのあるファーストフード店に入った。店内の暖かさは何とも有り難い。ミルクティもティバッグだが、温かい。朝5時台からオープンしているのが凄い。だが7時を過ぎると客がどんどん入ってきて、お茶一杯では、ここにもいられなくなる。

 

既に外は明るくなり、駅に入ることもできたので、荷物チェックを受けて中に入る。駅の待合室は暖かくはないだろうと思っていると、1階に店がある。Discoというチェーン店だが、空いている。確かにここに入れるのは乗客だけだから、一般の場所よりお客は少ない。ホットチョコレートを12元で注文。これは決して安い額ではないが、これで出発まで安泰だと思うと、眠くなる。

 

実は昆明駅のセキュリティは非常に厳しかった。夜中に駅が開いていなかったのにも理由があった。それはつい最近、この駅で乱射事件があり、死傷者が出ていたのだ。ウイグル人の犯行だったという。その現場はどこだったのだろうか。11時には2階に上がり、水や食料を買い込む。これから20時間の列車旅に出るのである。更には駅構内に設置されている充電器で充電を行う。今や充電ほど必要なものはない。

 

11:38発、北京西行きに乗り込んだ。硬臥中段は先ほどと変わらない。Nカメラマンは上段でかなり狭いようだ。S氏が『これは新型車両だから狭いんだ』と教えてくれた。そして向かいのおじさんのいびきが凄い。硬臥に乗るのは30年ぶりのような気がする。それにしても中国人が如何に豊かになったかを実感する。何しろほとんどのおじさん(おばさんも)が、寝台から肉がはみ出している。昔は皆痩せていて、そんなに太っている人は見なかったな。

 

すぐに昼の時間になり、弁当を売りに来る。30元は結構高いが、ボリュームあり。腹にずっしり収まる。しかし車内は比較的静かだ。昔は暇だったこと、外国人が珍しかったことから、すぐに誰かが話しかけてきて、煩いぐらいだったのだが、今やスマホを見て過ごす人が多く、こちらは暇になってしまう。話し掛けられて面倒だと感じられることもあるが、誰も話し掛けて来ないのもどうだろうか。S氏はしきりに次の目的地を探している。

 

ダラダラしていると夕飯の時分になるが、腹は減らない。動いていないのだから当然だろう。バスで激しく移動するのも疲れるが、何もしないのも意外と疲れる。ビスケットを食べて、昨晩の生茶を飲んで終わりにした。実は結構疲れており、中段のベッドに潜り込むと電気が点いているのに、眠りに就けた。それでも途中の駅で降りるので、ちょくちょく目が覚める。貧乏性だ。中国の鉄道の良いところは、車掌がちゃんとおこしに来てくれることなのに。まあ20時間と言っても、半分近くは寝ているので、それほど苦痛でもなかった。

 

1219日(土)
長沙散歩

7:00長沙着。既に大理昆明7時間、昆明長沙20時間の旅を送っており、今日こそはホテルに泊まるぞ、シャワーを浴びるぞ、と思っているのだが、何とS氏は切符売り場へ向かう。そして列車の中で見つけた次のターゲット、赤壁行の硬座を購入してしまう。それは私にとって地獄の宣告だった。長沙は、湖南省は万里茶路の起点であり、必ず見ておくべきところだが、そこの滞在がわずか数時間しかないのだ。しかも疲れており、おまけに雨まで降っている。

 

ここも寒い。温かいものを食べようと、駅前の李先生というチェーン店に入る。牛肉湯23元は意外とうまかった。おまけにWi-Fiが使えたので、長沙の街を検索する。数時間をどう過ごすのかを検討する。トイレもきれいでかなり気に入った場所となる。取り敢えず活動するために荷物を預ける。25元もする。これは日本のコインロッカー並だ。高過ぎるだろう、中国では。

 

とにかく傘を差して歩き出す。駅近くは昔の街並が残っている。懐かしい感じがする。大きな市場もあるが、まだ店は開いていない。ずっと歩いて行くと、ようやく神農茶都という茶葉市場へ出た。だがこの市場、全面改修中のようで、真ん中の道が掘り返されている。9時過ぎたばかりで店も閉まっているところが多い。

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