世界お茶祭り2016(3)セミナーについて

紅茶セミナーは事前予約を受け付けないと言い、30分前から先着順というので、10時過ぎに行ってみたら、既に数人が並んでいる。私も並ぼうとしたら、何とすぐ近くに講師のY先生がいるではないか。中では主催者のYさんが忙しそうに準備に追われ、更には紅茶の呈茶担当の丸子紅茶組がバタバタしている。私はY先生から『日本の紅茶史』について、色々と聞いてしまった。

 

実は中国ではいつから紅茶という文字が使われだしたのか、と聞かれたことがあった。私も興味があったので、中国茶の関係者にかなり問い合わせたのだが、最終的に政府機関の研究員でもはっきりしなかった。そのようなことに関心を示さないのが現代中国だ。いや日本だって同じだろう。だからこのセミナー、お茶関係者の関心が極めて高い。

 

10時半の開場と同時に50人以上の人がなだれ込んだ。私も末席に連なる。私の横には日本茶のS先生、反対側にはKさんが座った。開会時には座席を増やして定員を超える70人近い人がいたらしい。今回一番人気のセミナーだっただろう。Yさんの挨拶に続き、丸子のMさんの軽妙なお話。やはり日本の紅茶と言えば多田元吉だから。

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Y先生も日本で紅茶という言葉が使われだしたのは明治初期と言い、それは中国の上海方言から来ていると、文献などを検証した内容を解説した。その前は赤茶とも表現していたらしい。その紅茶という言葉を、多田元吉らが広めていったということだろう。明治7年には紅茶を作るために、清国から技術者も呼び寄せているし、多田元吉自身も中国湖北省に紅茶と黒茶の研修に行っていたはずだ。地元ということで静岡と紅茶の歴史に触れられていた。

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そして多田元吉が植えたという100年以上前の茶樹、原木から摘んだ茶葉を使って作られた紅茶が振る舞われた。何とも歴史を感じる。紅茶は当時日本人が飲むものではなく、輸出される商品作物。日本人が紅茶を本格的に口にし始めたのは戦後だろうが、どのような経緯で飲まれたのだろうか。今回のセミナーは基本的に明治時代に絞られていたので、その後の紅茶史について、続編を期待したい。

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セミナー2

紅茶セミナーから急いで戻り、自分のセミナーの準備にかかる。と言っても昨日と全く同じことを話すのだから、それほど時間はかからない。ただ本日は昨日よりかなり多くの方が聞きに来てくれた。何とも有り難いことだが、その分プレッシャーもある。また2回、全く同じに話せた試しがないので、それも困るが、2日続けて参加という方はいないので、今日は今日の話をしよう。

 

何とか話を終えて、質問を受けた。質問された方は、私の説明が悪かったのか、私の意図していない理解をされていたので、その点は修正させて頂いたつもりだった。だがその夜、ネット上の公開の場で『金を払う価値のないセミナー』という批判をかき込まれていて、驚いた。

 

確かにお金を払って聞いてもらっているという概念が私の方に薄かったのは事実かもしれない。昨日のセミナーの前にも『今日は参加者も少ないので自由に話しましょうか』といったところ、『お金を払って聞きに来ているのだから、ちゃんと話してください』と言われて、ちょっと驚いた。これまでそのように言われたことなどなかったからだ。言われなかった理由、それはこれまではそもそも私の活動を理解している人が多かったからだろう。セミナーの題名だけで来てくれる人を受け入れるのは稀だったのかと反省した。

 

私としては、そのような批判がよい悪いではなく、セミナーをもう一度考え直す必要があると痛感した。一度セミナーをやめて、何が必要なのか、何を伝えるべきなのかを考える良いタイミングではないかと思った。今年は色々とセミナーをやり過ぎた。これまでも私のセミナーにかなり不満を持って帰った方がいたのだろう。Y先生のように文献に根差して検証していくのは学術的でもあり、説得力もあるが、私には難しい。私としては全ての方に満足いくような話はできないし、いくら考えても、限界はあると思うのだが、まあ、これも一つの契機であろう。

 

因みに私のセミナーにこれまで参加してくれた数人に『なぜ私のセミナーに参加するのか』を聞いてみたところ、『自分が行きたくても行けないようなところの話が出るから』とか、『珍しいお茶が飲めるから』『お茶を歴史という観点から考えたことがなかったから』などという答えが多かった。今回も『茶旅』を前面に出せばよかったのかもしれないが、『万里茶路』などという硬いテーマを掲げたため、専門的な話かと誤解されてしまったのかもしれない。

 

フラフラ

昼は大幅に過ぎていたが、ご飯を食べていなかったので、外へ出た。広場では屋台が出ており、食事が買えた。何となく富士宮焼きそばを食べた。疲れていたが、好きなものを食べれば元気は出る。それから昨日も見た釜炒り実演のところへ行くと、今日は有名なKさんが炒っていた。しかもそこへ静岡の手もみ茶の方が来られて、共演!何だかお茶祭りらしい光景だった。

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1 thought on “世界お茶祭り2016(3)セミナーについて

  1. 日本で紅茶が飲まれたのは戦後??? 私は昭和3年中産階級の上くらいの生まれですが、もの心ついた時から紅茶は家庭でも喫茶店でも飲まれていました。

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