ようやく熊本・宮崎茶旅2016(3)芦北紅茶から天孫降臨の地へ

熊本にはいくつか茶産地があるようだが、ここ芦北で茶作りをしているところは少ないという。一般的にはお茶が活況を呈した、高度成長期の昭和30年代から茶生産が増え、その後のバブル崩壊で、徐々に無くなっていったようだ。お茶も商品作物である。Kさんのところに60年ぐらい前の茶畑もあり、以前より茶作りを行っていたようだが、紅茶を作り始めたのは最近のことらしい。『ここの茶葉が紅茶に合うと言われたんで』というが、それだけでは茶は出来まい。実は5月に台湾の魚池を訪れた時、ある人からKさんの名前が出ていた。ちゃんと台湾に紅茶作りの修行に行き、その成果が着実に出ている。

 

Kさんは若くは見えるが、すでにお孫さんが3人もいるという。それでも日々のチャレンジを忘れない。それは簡単にはできないことだ。こちらの茶畑は3つに分かれているらしい。比較的最近植えた茶畑、数十年前に植えた在来、そして自生茶畑。べにふうきの他、釜炒り緑茶を作る品種で紅茶も作っているという。農薬などは使っていない。飲ませて頂くと、キレがある。従来多くの国産紅茶は何となくボヤーっとした印象があったが、このお茶はとてもすっきりしていて良い。緑茶の釜入り作りと何か関連があるのだろうか。

img_5414m

img_5404m

 

春の熊本地震、ここ芦北は震源地から遠くないとのことだったが、幸い被害は軽微だったらしい。実は熊本震災復興支援の一環として、紅葉さんの呼びかけで、この芦北紅茶を売り、募金をしたのも思い出す。正直私は、復興支援の募金というものをあまり好まないが、この紅茶に関しては、自分で飲んでおいしいと思ったから人にも勧め、その人々が美味しいと思って紅茶を買い、合わせて募金にも応じてくれた。ただ言葉に釣られて募金箱にお金を入れるのではない、良いものを味わい、その地を少しでも理解しようとすることが大切だと思う。

 

奥様もフルーツやお菓子を出して頂き、会話に加わっていたが、帰る時には姿が見えなかった。何と高熱を出していたという。そんな時に押しかけてしまい、何とも申し訳ない。『これまでの国産紅茶のイメージが変わった』と、同行したY夫妻も、Kさん宅で頂いたお茶にいたく感激していた。Kさんのお父様とも少しお話することができた。一家で茶作りを行っている様子がよく分かった。

 

家の奥にある茶工場も拝見した。古い、既に使っていない器具も散見され、昔ながらの懐かしい雰囲気があった。その中で紅茶作りの道具もそろっていた。家の周囲は田んぼや畑があり、また神社なども見える。また車に乗り、別の茶畑を見に行く。こちらは山を登って行き、その途中にあった。斜面に茶樹が株で生えていた。何だか、台湾の阿里山で見た、昔の茶畑を思い出す。もっと木が大きければダージリンにもあるかもしれない風景だった。この茶樹が自生かどうかは正直分からないが、貴重な茶畑であることには間違いがない。産量が少なく、手間もかかるだろうが、保存して欲しいと思う。

img_5401m

img_5424m

img_5409m

 

八代で

名残は尽きなかったが、Kさんとお別れして、八代へ向かう。明日の宮崎行に備えて、今晩は八代に泊まることになっていた。少し雨が降り出した。茶畑を見る時に降らなくてよかった。1時間もかからずに車は八代市内に入った。ビジネスホテルはYさんが予約してくれたが、連休でかなり混んでいたらしい。八代に何があるのだろうか。八代城跡という表示が見えたが、既に暗くなっており、観光は出来ない。

 

雨が降る中、夕飯に向かう。ホテルでお勧めの場所を聞いてもらったが、アーケードがある場所がよいということで傘を差して歩いて行く。グルメに興味がない私だが、今回はY夫人がいるのでお任せ。『八代と言えば辛子蓮根』だそうだ。ところが人通りは少ないのに、お店は結構満員だ。地元の人なのか、それとも周辺から食事に来た人なのだろうか。居酒屋に入ると子連れも多かった。新鮮なお刺身を頂き、更に馬刺しも出てくる。熊本は海の幸と山の幸の両方が楽しめる場所ということだった。ただお客の数と店員の数がどう見てもマッチしておらず、オーダーしてもなかなか来ないのは難点。その夜は早々にホテルに引き上げ、ぐっすり眠る。

img_5433m

img_5434m

 

918日(日)
3.五ヶ瀬

高千穂へ

翌日は睡眠十分で起き上がる。特に朝ご飯も食べずにダラダラして、9時半に出発。車は何となく内陸部へ入っていく、という感じでスイスイと進んでいく。そして最終的にはかなりの山道を登って行った。2時間後、高千穂に着いた。そもそも今回の旅はお茶の旅だったが、私も一度は行ってみたいと思っていた、天孫降臨の地。雨にもかかわらず、ここには沢山の観光客が訪れていた。中国語も沢山聞こえてくる。彼らは何を求めてここに来ているのだろうか。日本の歴史に興味があるのか、日本の始まりを見ようというのか。恐らくはそうではなく、この自然の風景を単に見に来ているだけだろう。

img_5450m

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です