埔里から茶旅する2016(25)会員制プーアル茶クラブ

 IさんもKさんも台北で働いてきて、色々と悩みを抱えている。悩むことは良いことだ、などというつもりはないが、前向きに悩み、次に展開を考えることは悪いことではない。私などもサラリーマン時代は、『前向きに悩む』ことができなかった人間であり、ネガティブ志向、先を読み過ぎ、という傾向から、かなり束縛されていたと思う。既に自分で海外に出てきて戦っている二人は、私などより、よほど強いだろう。

 

帰りはタクシーを呼んでもらい、Kさんと一緒に乗る。運転手に『中山駅』と言ったはずだったが、何となく違う方向に進んでいるよう思える。そして着いたところは先日行った、中山国小という駅。『え、違うよ』というと、運転手もえっという顔をして、急いで中山方面へ移動した。結構距離をロスしたな、と思ったが、夜遅くだから、車はそれほど走っておらず、すぐに着いた。降りる時運転手は『先ほどは間違って申し訳ない』と言い、50元を返してよこした。これで2度目だ。台北の運転手は何とも良心的だ。

 

531日(火)
秦味館 地震

本日も朝はゆっくり。そろそろ台湾も飽きてきた、ということなのだろうか。先日の会でお会いしたHさんとランチを食べることになり、また昼前に出掛けていく。場所は国父記念館近く。前回来た時もたまたま寄った国父記念館。今回も何となく横を歩いて見る。食事の場所は『泰味館』とメッセージをもらったので、タイ料理か、と思っていた。近くへ行くと実際にタイ料理屋があり、これは期待できそうだ、と感じる。

 

ところが指示された店に着くと、ここは『秦味館』だと言われて驚く。最近特に目が悪くなり、スマホの小さな字が正直読めない。完全な勘違いだった。それにしても秦の料理とは何だろうか。どうやら羊の肉などを使った中国西北料理ということらしい。お店はこじんまりしていて、何となくよい。予約はされていたが時間に行ってみるとほぼ満員で、『取り敢えずそこに座っていて』という台湾的対応だった。羊スープを飲むと、臭みもなく、旨い。久しぶりに新疆や内モンゴルのことを思い出す。羊の串焼きなどもあり、ある意味で新疆料理屋という感じでもある。台湾でもこんな店があるんだな。まだまだ知らない台湾、奥が深い。

 

 

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Hさんは台湾人と結婚して、子供もいるライターさん。精力的に仕事をこなしている。ちょっとしたことにもこだわりを持ち、調べていく姿勢がある。私などとは大違いだ。これからも知られざる台湾を日本人に紹介してくれることだろう。などという話をしていると、突然店が揺れた。かなりの揺れで、客の全員が立ち上がり、一瞬どうなるのかと思ったが、すぐに収まった。そう、台湾にも地震がある。というより、日本と同じ程度にひどい地震がある。最近も台南で大規模の地震があったばかりであり、皆身構えてしまった訳だ。

 

殆どの客が帰ってしまったが、我々は主食の麺を食べる。この麵、きしめんのかなり太いバージョンかな。そしてデザートとして揚げたパン?に甘いものを掛けて食べる。これは相当に美味しい。ちょっと洋風。こんなお菓子があるのだろうか。何となく満足しながら店を出た。Hさんは忙しそうに次のアポに向かって行った。私は3時に昨日電話を入れてもらったプーアル茶屋さんへゆっくり向かう。

 

プーアル茶屋

地下鉄大頭橋駅へ向かう。初めて降りる駅だ。地図で見ると、それほど遠くなさそうなので、駅から歩いて向かう。ところが・・??歩いて行っても住所が見付からない。というか、10分以上歩いて逆方向に向かっていることに気が付く始末。最近のボケ加減は半端ではない。また10分歩いて振出しに戻るころには汗だく状態。そして何とそこから10分歩いても目的地には着かなかった。何かが間違っている。更に5分歩いてようやくそこへたどり着く。店の前では声を掛けておいたIさんが待っていてくれた。申し訳ない。

 

店は隠れ家のようになっていて、そこがお店であるかどうかは知っていないとわからない。中に入ると陳さんが待っていてくれた。そこはお店というよりはちょっとしたサロン、2人のお客がゆっくりとお茶を飲んでいた。我々もそこに参加する。よさそうなプーアル茶がたくさん並んでいる。だが話を聞いてみると、ここはお店ではなく、会員制クラブといった形態で、茶葉の販売などもしていない。1年に一度、会員の希望者と共に雲南省にお茶の見学と買付に行き、そのお茶を分けるだけだという。ただ持ち帰った茶葉の多くは、店の倉庫に保管しておくとか。

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この会は新竹あたりで始まったらしく、既に台湾内に30のクラブが各地域に存在しているという。ここは台北支部という位置づけだが、運営しているのは、趣旨に共鳴する各個人。陳さんも創始者の活動に感銘を受け、お茶会に参加、ついにはクラブを作るまでになったという。ビデオを見せてもらうと、そこには台北市内で大茶会を開催する創始者と支援者が映っており、創始者の発言から、このクラブの賛同者の多くが、客家の人々ではないかと思えてきた。ある意味では、台湾の高山茶や紅茶ではなく、プーアル茶を選んでいること自体が、何となく不思議なのだ。勿論健康に良いとか、保存がきくとか、理由は色々とあると思うが、この仕組み、組織についてはよくわからない点も多い。

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ここは会員が自由に集い、お茶を飲み、親交を深める場所である。和室なども用意されており、様々な活動ができるようになっている。台湾の茶業の一形態として、このような会員制もありかもしれないとは思う。高級なお茶を皆で共有して、保有していく。そして本来のお茶の目的である、親睦や交流を謳うというのも頷ける。既に大陸にもこの仕組みを入れていく予定で、会員は大陸に行っても、その地域のクラブに参加できるということらしい。

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