ミャンマー激走列車の旅2015(8)マンダレーまで揺れは続く

 マンダレーへ

列車はゆっくりと動き出し、また苦難の旅が始まった。Nさんは早々に動き回り写真を撮っていく。その中で色々な車内情報を持ち帰ってくれるのだが、『食堂車がある』という話が目を引いた。もし食堂車があれば、揺れると言ってもゆっくりと食べられるのではないか、と考えたのだが、その夢はすぐに打ち砕かれた。何とボーイが二人やってきて、夕飯の注文を取りに来たのだ。メニューに英語も書かれている。これはいいサービスなのかどうか?取り敢えず、中華系と思われる野菜炒めを注文した。冷たいビールもあるようだった。

DSCN5773m

 

列車のスピードはやはり上がらず、その分、周囲の風景がよく見える。現在は雨期なので、水田も川も水で一杯になっている。確かTTMが『北部は洪水で川が氾濫するなど、問題が出ているはずだから気を付けて』と言われたのを思い出す。だがこの時点ではそんなことも窓の外の出来事にしか思えず、真剣に考えることもなかった。むしろ曇りの方が暑くなくてよい、というのが素直な感想だったのだ。

DSCN5788m

 

1時間半ぐらい経った頃、ボーイが夕飯を運んできた。まだ時刻は5時前で腹も減っていなかったが、やることもないので食べることにした。だがここでもやはり揺れが厳しく、なかなか箸が進まなかった。S氏とNさんはビールを飲むために、窓側に座った。もし激しい揺れが来た場合は、コップを窓の外に倒さないと、部屋がビール浸しになる恐れがあったからだ。実際大きな縦揺れが何度かおき、その度にコップを窓に近づけていたが、幸い外へ捨てることはなかった。

DSCN5795m

 

西洋人が『ジャンピングトレイン』と言っていたのはこの区間のことだろうか。料理の味などまるで分らず、ただただ機会を見ては口から流し込むだけになっていた。これではとても食事とは呼べないし、胃腸の負担も半端ない状態だった。それでももしお腹を壊せば、本当に大変だ。この列車内でトイレをするのは至難の業だから。それにしても、これがミャンマーの幹線だとすれば、鉄道自体が早晩なくなるではないか、と心配にすらなる。全く線路補修もなく、何年もの時を過ごしてきており、すでに限界を過ぎている。

 

その内あたりも暗くなり、風景も眺めることも出来なくなった。S氏とNさんは揺れに耐えながら、酒をちびちび飲んでいるが、私には何もすることがなかった。もう寝るしかない。でも昨日フカフカにベッドで思い切り寝ていたこともあり、どうしても寝付けない。ウトウトしては起きる、という状態が続く。たまに明るいと思うと、駅に着く。だが乗客の乗り降りが多いようには見えなかった。貨物の荷揚げだろうか。

DSCN5808m

 

午前零時前にかなりきれいな駅に停まった。これが首都であるネピドーだとすぐにわかった。だがここでも乗客は殆ど見られない。現在のミャンマーではヤンゴン-マンダレー間は頻繁にバスが出ており、そのバスが大いに改善され、新車が導入され、座り心地がよく、高速道路を走るため時間も10時間以内、料金もそれほど高くないため、皆がバスに乗ると聞いている。今さら鉄道でもないだろう、という雰囲気はぷんぷんしている。

DSCN5813m

 

 

ふと寝入っていた。突然大きな音がして、列車がガタンといって、停車した。周囲間は真っ暗だったが、どこかの駅に着いたのは間違えない。その時車掌が『マンダレー』と言っているのが聞こえた。何と朝5時、定刻にマンダレーに到着したのだ。車掌がいるのに、直前に起こしてくれることもなく、ビックリした。これが中国なら切符を返しながら、事前通告があるのだが、などと思う暇もなく、荷物をまとめて、列車を降りた。15時間の旅は前回に比べれば、はるかに短く感じられた。

 

7月27日(月)
ホテルで休み、切符を買う

午前5時過ぎのマンダレー駅には人影もあまりなかった。まだ暗い。同じ列車を降りた乗客たちはどこかへ吸い込まれていなくなってしまった。いつものようにS氏は次の目的地の切符を買いに行くが、この時間窓口は開いていなかった。周囲の人によれば8時頃にならないと開かないらしい。しかも『ラショーにいく』というと、『ラショーにはいけないよ』という人もいて、何だか一波乱ありそうな雰囲気が漂う。

 

取り敢えず、駅前の屋台でティミックスを飲む。こういう屋台だけは何時でもやっているのが嬉しい。ここで作戦会議を。窓口横の時刻表で見る限り、ラショーへ行く電車は一日一本で、出発は午前4時。ということは、マンダレー1泊は決定しているので、駅前のホテルを探すことになる。ミャンマー第二の都市の駅前としては寂しい感じだが、仕方がない。地球の歩き方にも載っているホテルが目の前にあったので、入ってみる。フロントに人はいないと思ったが、女性が突っ伏して寝ていた。起こして聞いてみると、3人部屋があるというので、そこへチェックインした。

DSCN5817m

DSCN5818m

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です