ミャンマー激走列車の旅2015(6)ヤンゴンでの再会

 ヤンゴンのホテル

ヤンゴンではS氏が知り合いに頼んで、ホテルを予約してもらっていた。一刻も早くそこへ行き、シャワーを浴びて、そしてベッドで眠りたいという衝動にかられた。体はまだ揺れている感じが残っている。しかし現実は甘くない。まず我々が向かったのは、ホテルではなく、切符売り場。ヤンゴン中央駅の切符売り場は何と駅の裏出口を出て少し行ったところにあった。こんなところ、誰も来ないだろうという倉庫の様な暗い場所だった。

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S氏の旅は常に一貫している。まず目的地に着いたら、次の目的地までの切符を確保する。これは80年代我々も中国で常にやってきたこと。何日後の切符が買えるかで、この街に何日宿泊するかが決まり、今度はホテルを探すといった具合だった。まさに現在でもこんな旅を続けている人がいた。しかもバックパッカーでもないおじさんが。ミャンマーでは切符が買えるかどうか、かなり不安だったらしいが、それは完全な杞憂に終わる。

マンダレーまでの列車は1日3本、朝6時もあれば午後もある。私はここで提案した。『明日の朝早く行くより午後の列車に乗り、翌朝マンダレーに着いた方が効率的ではないか』と。この案が採用され、明日の15時の列車が予約された。乗車時間は定刻なら15時間だそうだ。またアッパークラスだった。私としてはまた早朝から起きるのが辛かっただけだったのだが、これは結構助かった。

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切符売り場を出て振り向くと、何とそこには見慣れた、日系企業が多く入っている、さくらタワーがあった。こんな位置関係だったのか、そこで初めて知る駅の場所。タクシーを捕まえて、予約されたホテルに向かう。今日は土曜日なので出勤のラッシュなどはなかった。料金交渉が必要なのは面倒だが、タクシーは真っすぐにホテルを目指した。

 

そして着いたところは実に立派なホテルだった。一時期は1泊150ドルもしたというが、3人一部屋でほぼ半額の料金だった。これもお知り合いのIさんのお陰だ。きれいなロビーにきれいな部屋、フカフカのベッド、あの悪夢のような列車から解放されて、なんとも嬉しかった。シャワーを浴びると気持ちも高まる。しかしS氏は何とここで『原稿を書いてくる』と言って、階下のレストランへ行ってしまった。あれだけの旅をしてダメージもあるだろうに、何とタフなんだろうか。それでなければ旅行作家は務まらない。ということは私には務まらないことが確定的だ。

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とにかく私は休んだ。26時間、平均震度4の衝撃、そしてダニに食われた跡は体中に残っている。これをシャワー1回で解消することはとても無理だった。兎に角体力の回復が一番だと思った。ネットは何とか繋がったが、切れ切れなので、これ幸いと寝る。だが残念ながら、スカッとは寝むれない。体がずっと揺れており、頭がボーっとした。

 

再会

午後3時頃、TTMとSS、そしてSSの娘、アイちゃんがやってきた。アイちゃんが生まれて10か月、その成長ぶりには目を見張るものがある。私の顔を見るとにっこり微笑んだりもする。私をホテルでピックアップして、そのままどこかのショッピングモールへ移動した。モールの前では学生たちが大勢集まり、何かを訴えていた。すわ、学生運動かと思ったが、何かの慈善団体の支援だったようだ。そこにいた女の子たちがアイちゃんの存在に気付いて、駆け寄ってきて、あやしている。そして空かさず、募金をTTMに呼びかける。アイちゃんの手から募金をさせると皆が喜んでいる。何だか平和な風景だった。

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モール内のレストランに入る。こういう場合、主導権は完全にSSにあるから、彼女の気に入っている場所なのだろう。『アイちゃんがおとなしくしていないから、ここがいい』という。まあ、捕まれば立ち上がれるほどになっている。これからが危険な歳ごろだ。どこでも歩いていき、何でも触りたがる。

 

モヒンガーが運ばれてきた。列車を降りてからも食欲があまりなかったが、これを見たら、俄然食べたくなった。一口食べると殊の外美味しく感じられる。やはり食事は揺れのないところで食べるものだ。26時間の列車の旅の話をすると、TTMもSSも目を丸くして驚いていた。勿論TTMは経験があり、『なぜそんな大変な旅をしなければならいのか?なぜ鉄道なのか?』と言った素朴な疑問を吐く。SSは完全に『何をそんな馬鹿なことを』という目で私を見ている。ある意味ではそれは正しいかもしれない。自分自身でも何故そんなことをしているのか、説明できなくなってきている。頭がフラフラする。

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それからモール内にある、日本ショップに行った。ここはいわゆる百均だ。日本の文房具から家庭用品までかなりの品数がある。驚いたことにウオシュレットタイプの便座までが売っていた。表向きは百均だが、中身は相当にバリエーションがある。この店も日本に住んでいたミャンマー人が投資して作られたという。当然ミャンマー人の求めている物は分っているようで、TTMは何点か買い込んでいた。

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