ミャンマー激走列車の旅2015(3)何もない山道をダウエイまで

 ダウエイへ

イミグレは無事に通過した。正直ほっとした。ここでダメだと言われてももうどうしようもない。戻ることすらできないだろう。外国人がここを通過できるようになったのはつい最近。だがまだ問題はあった。ここからどうやって今日の目的地、ダウエイまで行くのだろうか。周囲を見渡してもバスがあるようには見えない。S氏がバスについて尋ねると『日に一本はある』ということだったが、その費用も安くなかった。

 

先ほど我々を乗せた軽トラのおじさんは英語ができた。彼が仲介役となり、交渉が始まった。車のチャーターが一人700バーツと聞いてのけ反る。1台ではないのだ。タイ国内をここまで来るのに150バーツも掛かってはいない。しかし選択肢がないことは絶対的に不利だった。ただバスが来たとしても400バーツぐらいはかかりそうだったので、最終的に一人600バーツで手を打つことになる。仲介役はいくら懐に入れたのだろうか。まあいずれにしても、これで今日中にダウエイに入ることが確定したのはよかった。何と順調なのだろうか。

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道はかなりの山道だった。確かミャンマーとタイはダウエイ経済開発区の開発を共同で行っているはずだったが、とても大量のトラックがここを通過できるとは思えない。アジアンハイウエーとは名ばかりで、辛うじて舗装された狭い道が続く。こんなところに莫大な税金を投入しようとしている日本政府の関係者は、この道を通った後で出資を検討したのだろうか?決してそんなことはあるまい。いくらダウエイに素晴らしい港があっても、陸路は実質的に遮断されているも同じだ。だからタイ企業も撤退を表明し、困ったミャンマーは日本に話を持ち掛けた、ということだろうか。

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1時間ぐらい走ったところで、茶店があり、休憩した。というより、運転手が食事をとるためだったが、何だか酒も飲んでいるようだった。今日は本当に運のよい儲け仕事が転がり込んできた、ということなのだろう。何とも言えない気分でそれを見る。車は川沿いを走っていく。途中何か所か橋が架かっていたが、いずれも小型。大きな車がここを通って大丈夫なのか、というほど、柔い代物だった。まあ、とにかく村などもほぼ見られない山道をずっと走っていく。一体いつまでこれが続くのだろうか。

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国境から3時間半ほど揺られただろうか。特に街らしい風景もない中で、突然畑の中に大きな建物が見えた。なんとそれがダウエイ駅だった。完全に街の郊外にある。言われなければ気付かない場所だろう。運転手とは言葉が通じないが、仲介役が駅に連れて行くように言ってくれていたので、ここまで来られたらしい。建物に入ってみたが、だだっ広い体育館の様な場所だった。そこにござなどを敷いて座っている人々がいた。まさかと思ったが、すでに列車を待っている人だった。

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何とか情報を得ようとしたが、言葉が通じない。すると線路でセパタクローをしていた一人がやってきてちゃんとした英語を話した。なんと彼が駅長であり、列車は一日一本、午前6時発だとわかった。駅長室に行き、切符を買う。S氏が『明日の朝のを買いますね』と軽く言ったが、私にはそれは衝撃だった。え、今日こんなに苦労してやっとここまでたどり付いたのに、これではダウエイの街すら見ることはできない。そんな馬鹿な、と心の中で思ったのだが、今回の旅は全てお任せしようと思っており、自分の意見は控えた。まあ成り行きに任せてみよう。

 

駅長は丁寧に切符を作成した。支払いはすべてミャンマーチャットのみとなっていた。幸い私は現金を持っていたので、何とか払えたが、なければ街まで両替に行かなければならなかっただろう。それにしてもヤンゴンまで26時間かかるらしい。その料金が米ドルにしてわずか10ドルとは。ミャンマーでは昨年外国人に対する列車切符のドル払いを停止して、チャットに一本化したが、その際料金までもミャンマー人に統一した。その結果、料金は3分の1に下がったらしい。驚くほど安い。中国で兌換券が廃止された90年代には確か料金は値上がりした記憶があり、ミャンマー政府は何と良心的なんだと思ったが、それが少し違うことは追々わかってくる。

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これからどうするか。まさか明日の朝までここで待機するのかと思ったが、さすがにそれはなかった。乗ってきた車の運転手もちゃんと待っており、街まで運んでくれた。車で10分ほど行くと街らしくなってきた。高い建物は見られない。ほぼ中心部という場所で、ホテルを見つけ、そこに入る。1部屋、ベッド3つで、40ドル。何となくリゾートホテルみたいで雰囲気は悪くない。フロントも英語で対話ができた。ネットも何となく繋がる感じで好ましい。

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