ミャンマー激走列車の旅2015(2)絵に描いたようにミャンマー国境へ

駅を抜けると、そこにはトラックの荷台を座席にしたようなバス?が停まっており、数人が既に乗っていた。我々も促されて乗り込む。ツーリングの2人も自転車ごと、乗っていた。出発したが、残りの乗客はどうしたのだろうか。そんなことを考えているうちに、道路沿いで車は停まり、我々はさらに小型のソンテウに乗り換えさせられる。一部の人はここからどこかへ行くのだろうか。全く分からない状況が続く。更にはカンチャナブリのバスターミナルらしきところを通過した。私はここで降りるのがよいと思ったが、S氏はターミナルを見送った。列車が動いていなくても、取り敢えず駅があるのならそこへ行くのがこの旅のルールのようだった。結局代替輸送の運賃は徴収されなかった。

DSCN5433m

DSCN5435m

 

カンチャナブリの駅は街外れにあった。駅がこんなところにあるのか思うような場所だった。ツーリング組は早々に自転車をこぎ出した。ドイツ人夫婦など、鉄道に乗る人は駅へ向かったが、そこに列車はなかった。何と本来接続するはずの列車は既に出てしまっていた。この特殊状況になぜ待てないのか、しかも次の電車は午後4時と聞いて、他人事ながら呆然とした。さすがタイだ!

DSCN5441m

DSCN5442m

DSCN5446m

 

しかし人のことを憐れんでばかりもいられない。我々はここからどうするのか。何とも閑散とした駅の写真を一通り撮ると、もうここには用はないのだが、先ほどのバスターミナルの戻るにも、交通手段がなかった。広い道まで行ってバスでも来ないか待ってみるも、その気配が見えない。こんなことでミャンマーへ行けるのだろうか、と思っていると、木陰にバイクが見えた。しかも三台。絵にかいたような光景だった。そして運転手が三人、ハンモックで寝ていたのだ。これは使うしかない。たたき起こして交渉し、1人30バーツで送ってもらった。この時思わずS氏に『これって出来過ぎですよね、テレビ番組の仕掛けでもあるのでは?』などと失礼なことを聞いてしまった。それほどネタの引きが強い、それが旅行作家というものだ。

DSCN5451m

 

ミャンマー国境

バスターミナルへ行き、ミャンマー国境へのルートを探った。ここは鉄道がないので、他の交通手段を使う。すると係員が外を指さし、『あのミニバスが国境へ行くぞ』というではないか。そこへ駆けつけると、30分後に出るという。しかも都合のよいことに座席は3席空いていた。これまた絵にかいたような展開。荷物をバス内に括りつけてもらい、ランチに向かう。近くの麺屋に飛び込み、麺をすする。後でわかったことだが、このミニバスは1日4本しかなく、もしこれに乗れなかったら、次は4時間待ちだった。しかも我々の後に来たフランス人は席がなくて乗れなかったのだから、我々の幸運は計り知れない。

DSCN5455m

 

バスは定刻に出発した。アジアンハイウエーと書かれた道を行く。ハイウエーとは名ばかりだったが、道は悪くない。1時間ほど、田舎を走っていく。途中で土砂崩れがあったりもしたが、通行に支障はなかった。その後道を外れて行くと、立派な建物があった。こんなところになぜ建物があるのか、と訝ったが、タイの建設大手企業の施設だった。確かこの企業がダウエイ開発区の建設担当だったが、資金難で撤退したとのうわさもあった。確かに人影はなく、プロジェクトが動いている感じはなかった。

DSCN5459m

DSCN5468m

 

1時間半後、ついにタイとミャンマーの国境へ来た。ミニバスを降りてイミグレに向かう。プナムロン、という名前の国境だった。しかしこんな所から本当に出境できるのかと思うほど、何もないところだった。思いのほか簡単に手続きは済んだが、ミャンマー側の国境はどこにあるのか?S氏が係官に聞くとなんと、ここから6㎞離れているという。どうやって行くのだろう。S氏が『乗ってきたミニバスが来るだろう』と言ったが、我々が振り向いたとき、すでにミニバスの姿はなかった。完全に取り残された思いだった。しかしここからがS氏の豊富な経験が生きてくる。『こういう場所には必ず何かが来るんだ』と言い、どっかりと腰を落ち着けた。何とも頼もしい。

DSCN5471m

DSCN5472m

 

そしてその予想通り、10分後には軽トラが通りかかった。しかし荷台には農機具なども積まれており、スペースはあまりなかった。S氏を助手席に乗せ、私とNさんは何とか荷台で頑張ろうと思ったが、S氏は『ここは私が荷台に乗るのが筋です』と言い、その姿をNさんに撮影してもらっていた。なるほど、これは私の旅ではなく、彼の旅なのだ。それにしても6㎞の山道、振り落とされる可能性すらあったのに、と思うと、頭が下がる。

 

何とかミャンマー側へたどり着いたが、そこには小屋がいくつかあるだけでどこがイミグレかも、一瞬分らないほどだった。その建物へ行くと、数人が手続きをしていたが、何とものどかな光景で、とても国境の緊張感など感じられない。ただ我々がパスポートを取り出すと、慌てて機械の電源を入れたのがおかしかった。外国人などめったに通らないことがよく分かった。

DSCN5479m

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です