《台湾温泉巡り2002》(2)礁渓

2.2002年8月24日(土) 礁渓

(1)九份
翌日新北投より台北駅に戻り、九份に向かう。北投からバスで行けると思っていたが、甘かった。一旦MRTで台北駅に戻り、そこから9時発の東部幹線莒光号で約1時間後瑞芳着(NT$62、座席無し)。本日は夏休みの土曜日。車内は海水浴に行く親子連れ等などでごった返しており、一睡の余地も無い。最近1時間も立っていることは無かったので、非常に疲れる。

漸く下車したものの大きな荷物を持つことが苦痛になり、駅で預けることに。ところが荷物預かり所には職員が一人しかおらず、且つ預かっても午後居ないこともあり、何時荷物を取り出せるか分からないという。信じられない話だ。諦めてザップを背負いバス停へ。

駅前の金瓜石行きバス停も長蛇の列。私が前回九份を訪れたのは10年以上も前。その当時ここを訪れる人の数は限られており、こんな光景は見られなかったと思う。映画『非情城市』の舞台として、既に注目はされていたが。非情城市は1947年の2・28事件を扱った台湾映画史上空前の大作である。

私はこの映画が封切られた時、台北に駐在していた。偶々日本に戻っており、家内に誘われて見たのを覚えている。何も台北駐在者が日本で台湾映画を見る必要は無いと思ったが、映画が始まるとビックリ。当時台湾ではタブーとされ、2・28の話をすると特別警察が来るとまで言われていたその事件を公の映画の中で再現しているのである。これは大変なものを見てしまったと思った。当然台湾国内では上映禁止だったと思う。

その映画の舞台が九份。非常に静かな朝の顔と騒がしい夜の顔を持ち、更に綺麗な大自然がある。魅力的な街である。バスは超満員で、山道を行く。カーブでは左右に振られて大変である。しかし運転手が気さくな人で台湾語で乗客の笑いを取っており和む。20分後到着。NT$19。

久しぶりの九份は様変わりしていた。単なる観光地である。まるで江ノ島の沿道のような土産物屋が並ぶ。映画に因んだ茶屋もある。綺麗になった建物が多い。日本人の若い女性が写真を撮っている。風情とか情緒など全く無い。苦労してきた割にはガッカリ。

疲れ果ててしまい『九重町』というホテルの5Fの茶屋に行くが、ここも朝から台湾人の団体がトランプなどをしており、落ち着けない。但し景色はまあまあ。暑いのでアイスティーを飲む。NT$130。その後も歩き回るが、良いところも無く早々に駅に引き帰し、1時半の電車で礁渓へ。途中から左手に海を見ながら、1時間後に到着。

(2)礁渓
礁渓は『小北投』とも言われるほど温泉の多い地帯。駅を出て直ぐに温泉宿が沢山見える。『蘭陽温泉ホテル』に個室のヒノキ風呂があると聞き、訪ねるが既に土曜日で予約が一杯。仕方なく、周りをきょろきょろしていると、通りに面したところに小奇麗なホテルを発見。迷わず入る。今年開業したばかりの『元隆飯店』はNT$2,560とちょっと高いが、部屋が綺麗で日本のビジネスホテルのように機能的(昨夜の部屋が汚かったので今日は綺麗なところに泊まりたかった)。日本のように機能的と言うことは、部屋は狭いがベットの上から物も取れるし、テレビも十分に見られるという意味。部屋にある浴槽に温泉を溜めてはいる。フロントでは外国人が来た事が無いのか、身分証がないと言うとパスポートも見せずにチェックインできた。

疲れていたので、早々に湯を溜めて入る。浴槽が綺麗で気持ち良く、1人で入るには丁度良い広さ。湯は透明で炭酸ナトリウム泉。関節炎、リューマチなどに効くと言う。昨日はラジウムで疲れたが、本日は長風呂が可能。今日は朝から疲れたせいか事の他、極楽気分になれる。結局一晩3回も入る。

(3)温泉溝
街を散歩する。小さな温泉宿が本当に沢山ある。民宿といった雰囲気。『部屋休憩』などと書かれた看板が多く、日帰り旅行者も多いようだ。台湾の人々にとって温泉は決して構えて旅行する場所ではない。日本人は温泉に行くといえば、大旅行だが、ここではプールに行く程度の認識である。勿論1泊2食付も無い。食事はその辺の屋台で食べる。ホテルの前も夕方から屋台が多く出て、非常に賑やかになる。

少し歩いて行くと仁愛路に温泉溝を発見する。ここは川に流れている温泉を堰き止めてプレハブの体育館のような建物を公共浴場にしている。室内プールのイメージで非常にユニークだ。本当に質素な建物で、簡単に中が覗けそう。入っているのは地元のおっちゃん、おばちゃん達。ここでは昨日の瀧の湯同様、入浴に疲れると体操したり、ベンチで寝転がったりしている。実に長閑な感じ。
流石に入るのは躊躇われる。看板はあるが料金の表示も無い。無料なのか?

ここの周りは水栽培(温泉栽培)の空心菜(茎が空洞の野菜)が多く、礁渓の名物だという。確かにニンニク炒めは絶品であった。

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