明るくなった上海旅2015(3)微信は中国人の自信を深めた

その後ダラダラと過ごし、少し早めに豫園に行く。今日は上海駐在のHさんとランチをする予定になっていた。地下鉄に乗り、豫園に着くと、既に大勢の観光客が歩いていた。豫園といえば、私が留学した30年前も観光地ではあったが、どこにあるのかも分からないような、整備もされていない場所だった。それが90年代に入ると、きちんと整備され、いつの間にか巨大なショッピングモールができ、買い物客でごった返していた。私の知る昔の上海はここからも既に消え去っていた。それでもイスラム寺院、清真寺があり、古い仏教寺院もあり、裏道に入ると、庶民の生活も覗くことができ、ごく一部にその面影を残している。

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観光客には中国中から来るお上りさん中国人が多いが、欧米人の姿もかなり目立つ。韓国人や台湾人の姿もちらほら見られたが、ほぼ全く見掛けないのが日本人観光客。僅かに出張に来たと思われる日本人男性が、中国人通訳と歩いていたのを見ただけだった。豫園に行くべきとは言わないが、ここでも日本人のプレゼンスの低下、中国への関心のなさを痛感し、危機感を覚えた。

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Hさんが予約してくれたのは、緑波廊。昔から豫園にある老舗の名店。エリザベス女王やクリントン元大統領などが訪れた写真が飾られるなど、政府御用達の大型レストランだったことが分かる。さぞや混んでいるかと思いきや、Hさんの予約のお陰か、スムーズに入店し、角のこじんまりした席に着き、ゆっくりと食事することができた。ランチとの時間とお茶の時間が分かれているせいかもしれない。伝統的な上海料理だったが、料理も思ったよりも美味しく、結構気に入ってしまった。

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レストラン内から、外の写真を撮る。この構図もなかなか良い。レトロな雰囲気を醸し出し、池も上手く組み合わされているように思う。結局今回も豫園そのものには行かなかった。豫園の前から湖心亭を眺めるだけだった。人が多過ぎる、用事がなければさっさと失礼することにした。

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微信は中国人の自信

次の予定は上海在住中国人との再会。彼女はいつもおしゃれなカフェを指定してくるのだが、今回も江蘇路駅近くの店に呼ばれた。ところが、場所が特定できない。指定された住所、ビルの名前まであっているのに、なぜたどり着けないのか。ビルの人に聞くと面倒くさそうに『あっちだ』と指で指すのだが、そこに行っても店はない。何故だろうか。その横の扉に気が付くのに随分と時間が掛かった。その扉を押すと、何と外に出てしまう。あれ?

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そこは裏の駐車場に繋がっていた。周辺をキョロキョロすると、若者がその先に歩いていく。ついていくと、そこにはおシャレなカフェが確かにあった。しかしこんなところにあるなんて、誰も分からないだろうと中へ入ると、2階は満員だった。どうして?隠れ家的カフェ?今の上海、分からない。そして待ち合わせの相手もまだ来ていない。何と彼女も初めてくるとかで、迷っていたらしい。スマホの地図で探してきても、ここは分からないだろう。

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お洒落な若者が集う店、大ぶりのマグカップに入ったコーヒーは美味しかった。店の空間もリラックスできた。コーヒーは1杯40元だから、日本円で800円もしたが、今の上海では高いとは言えないようだ。その支払いをクレジットカードでするのではなく、スマホでしている人がいた。待ち合わせた彼女に聞くと『とにかく今や中国人は微信です。微信をやればタクシーも呼べるし、支払いもそこからできる。あなたも微信をやらないと中国のことは分からないし、中国人と友達になることはできませんよ』と大いに警告された。そこまでホメるのか?

 

私も先日行った福州で、知り合った中国人が誰も名刺もくれず、すぐに微信友達になろうとすること、そうしないと一緒に撮った写真すら送ってもらえないことに少なからずショックを受けていたのだが、GoogleもFBも原則繋がらない今の中国において、微信は必須アイテムになったのであろう。今の中国人の中にはEメールの使い方が分からないという者もいるのだ。もう世間の新しい波には乗らない、と決めていた私。スマホすら持っていないが、それは中国では許されないことを改めて突き付けられた。仕方ない、スマホ、始めるか!

 

ところで一昨年会った彼女は『私もいつまで上海にいるか分からない。今は皆が中国から国外へ逃げ出したいと思っている』と語っており、その後実際イギリスにも行ったのだが、今回聞いてみると『上海なら中国に住んでもよいと思う。ここは今世界一便利な場所。他の都市はダメ、上海だけ。仕事もあるし』と何度も強調する。そこまでこの1年半で上海は変わったのか。確かに東京並の便利さを感じるし、大気汚染も思ったほどではない。これで政治的制約がなければ、と思うのは私だけか。それでも『習近平政権への評価はかなり高い』と彼女は自信をもっていう。日本では中国人の習政権への支持が高い、などという報道は見たことがないのだが。

 

そして『微信はすごい!Lineより優れている。そしてこれを開発したテンセントもすごい。上海以外で評価できる都市はテンセントを生み出した深圳だけ。他の中国はダメね』と微信とテンセントをべた褒めする。実はこんな意見を上海にいる間、何度となく中国人から聞いた。微信が中国人の自信を大いに深めた、必要は発明の母、ということなのだろうか。驚き!

 

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