アンコールへの旅2014(8)自然に崩れるベンメリア

出会い

実は今日は5月に行った沖縄伊良部島のゲストハウスのTさんから紹介を受けて、日本人女性と会うことになっていた。彼女はカンボジアで働いており、偶々シェムリアップに出張で来ていたのである。こういう出会いは何とも嬉しい。携帯で連絡を取り合い、何とか落ち合うことができた。但しこちらは団体から解放されたばかりだが、彼女は団体行動、あちらに時間がない。

 

何とシェムリアップの街で出会ったのに、カフェにも行けず、わずか10分、立ち話しただけだった。バイクのオジサンが不思議そうに我々を眺めていた。彼女はプロジェクトの関係で普段はかなり田舎に滞在しており、週末はプノンペンに出てくるという。次回は是非プノンペンでの再会を、と話して別れた。そういえば、横浜で東京電力と契約せず、自家発電で暮らす夫婦のニュースに感心し、Facebookに上げた所、彼女が『それは高校の同級生です』と言ったのには驚いた。世の中、どこで繋がっているか分からない。

DSCN2069m

 

そして夕飯は一人で、懐かしのクローマーゲストハウスへ行く。3年前に泊まったところ。ここでトンカツを食べたことを思い出し、寄ってみた。ランチでもカツを食べたばかりなのに、やはり余程のカツ好きだということ。1階の吹き抜け部分のテーブルは何と満員。相変わらず結構流行っている。2階に上がると、奥の方が空いていたので、そこへ陣取り、扇風機を掛けると涼しい。

DSCN2074m

 

店員がオーダーを取りに来たので、トンカツと告げると、そのまま下がる。そしてだいぶんたって、トンカツだけが運ばれてきた。え、定食じゃなかったの?ビールも頼まない日本のオジサンがトンカツだけを食べることなどあり得ない、と叫んでみても始まらない。そんな気が利くカンボジアではない。とにかく今は、ご飯と味噌汁が欲しい。すぐに持ってきてと頼んだのだが・・?

 

10分経っても来ない。ベルを鳴らしても応答がない。トンカツはどんどん冷める。ご飯とみそ汁ぐらい、すぐに持ってこられないのか、という気持ちを必死に抑える。だが他の客に料理を運んできた店員に聞くと『Coming Soon!』というではないか。もう我慢できずに階段を降り、厨房へ向かう。ご飯と味噌汁は?というと、ハッとしたように、味噌を溶き始めた。全てをオーダー通り作っていたのだろう。それは悪いことではないが。厨房から奪うように味噌汁とご飯を取り、冷めたトンカツと一緒に食べた。味噌汁だけが妙に熱かった。

 

前回は日本人のNさんと一緒だったので、黙っていても定食になったのかもしれない。決してここのスタッフが悪い訳ではない。カンボジアにはお客へのサービスという概念が乏しい。その中で、教えられた通り一生懸命作っているのだから、文句は言えない。お客も満員で忙しかったのは分かる。でもなあ、何だかなあ。

DSCN2075m

 

クリスマスイルミネーションが眩しい、涼しい風が吹く6号線沿いをトボトボと帰る。急に団体から離脱した寂しさがこみ上げてきた。部屋が広いことも心なしか寂しくさせていた。電気ポットのお湯が沸く音が妙に気になった。

DSCN2073m

 

12月21日(日)

ベンメリア再び

翌朝はすごく早く起きた。部屋からすぐの階段を下りると、レストランがある。プールのある脇で朝食を食べることもできたが、涼しいので、屋内へ入る。ところがこちらは冷房で寒い。でも食事をとるのが便利なので、お粥など暖かい物を取り、そこへ座る。向かいにはロシア系の女性が一人で食事をしている。一人旅なのだろうか?

DSCN2077m

 

散歩がてら、昨日まで泊まっていたホテルへ向かう。今日も残ったメンバーのうち、希望者で出掛ける予定となっていた。途中に立派なホテルがあった。ハイアット、こんな街中にある。入口が目隠しされているのが面白い。ホテルに着くと、皆が揃い、ミニバスに乗り込む。今日はこじんまりしていてよい。

DSCN2080m

 

3年前に通った道を南に向かう。途中にかものはしプロジェクトの工房があったな、と思いだしたが、見付からなかった。動体視力が落ちたなと感じる。今日向かうのはベンメリアの遺跡。3年前の旅でも、遺跡としてはここが最高に良かったと思えた場所であり、再訪できると聞いて喜んだ。以前より立派なチケット売り場があり、駐車場がある。観光客が明らかに増えた証拠だ。

 

その入り口にあるナーガの像には見覚えがある。正面の崩れ方は相変わらずだが、少しは整備されたのだろうか。前回来た時は本当に崩れたところばかりで、ガイドなしでは歩くのが難しかったが、今回はある程度歩道が付いており、随分と歩きやすくなっている。ここはタ・プロムよりも更に木が密生しており、遺跡の崩れ方も自然だ。いい風が吹き抜ける。とても気持ちが落ち着く場所だ。

DSCN2089m

DSCN2088m

 

それでも観光客は増えてきている。この地が『ジブリ映画の天空の城ラピュタのモデルとなった』とかならないとか、という噂が流れ、一気に有名になったらしい。日本人でもアンコールワット以外にここを訪れる客が増加、また中国、韓国などでも話題になったのか、やたらにアジア系が多い。中には遺跡によじ登って記念撮影する人々もいる。

DSCN2094m

DSCN2101m

 

本当に奥深い森の中にひっそりと生きてきた、という感じが強い。書物を保管した図書館に樹木が巻き付き、遺体を入れたと思われる棺がそのままに放置されている。確か3年前は途中からガイドなしでは方向すら失ったが、現在では整備され、ほぼ自分たちで歩けるようになっている。それにしても、ここにいること、それ自体が何らかの導きではないかと感じる。それほどに引きつけられる何かがある。

DSCN2096m

DSCN2116m

 DSCN2110m

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です