アンコールへの旅2014(4)バイヨンで自覚する

12月19日(金)

朝のアンコールワット

翌朝は何と5時出発。アンコールワットの朝日を見に行く、というのが観光の定番らしい。この手の定番にはちょっと反感のある私。だが団体行動なのだ、と言い聞かせて付いていく。一足先にシェムリアップ入りしたメンバーは既に一度トライしたが、天気が悪く、よく見えなかったと再度やって来た。今日も天気が悪と見えない、と言われたが。

 

アンコールワットの入り口に付くと、まだ完全な暗闇にも拘らず、大勢の観光客が押し寄せていて、驚いた。彼らは一体何を見ようとしているのだろうか。橋を渡って中に入ると、池のほとりに人々が陣取り、今や遅しと、日の出を待っていた。ご来光というが、人間は光に何を見るのだろうか。本来静かな中でゆっくり昇る太陽を見るはずが、皆で押し合いながら写真に収める、というのはどうなんだろうか。

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周囲が少しずつ明るくなってきた。人は更に増えている。どうやらお目当ては、朝日を浴びたアンコールが池に映し出されるところを写真に収めることらしい。私も同類ではあるが、何かを感じるのが目的というより、写真が大事だ。中国人観光客を非難できないな、こりゃ。

 

池の一番端、人が少ない所で日の出を見た。ただ今日も完全に日の出が見えたとは言えないだろう。それでも端から見ていると荘厳な感じはする。更に反対側にあるもう一つの池の前には殆ど人がいなかった。こちらは池に映らないからだろう。それならこちらから見ようと、しばし呆然と見入る。目は池に、心はどこを見ただろうか。

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完全に明るくなると、忙しい中国人や韓国人はどんどん帰っていき、欧米人は思い思いの場所に座って寛いでいる。我々も集合場所に集まり、帰ろうとしたが、なぜかIさんが行方不明に?どこかで瞑想でもしているのだろうか、いや先日パスポートを拾ってくれた親切な日本人も来ていたから、話し込んでいるのではないか、など憶測が飛び交う。和尚と私が捜索隊として出動した。そして池のほとりで発見。聞けば『単に集合時間を間違えた』とか。あれ、もっと神秘性がある話ではなかったの?

 

ホテルに戻り、すぐに朝食に向かう。朝から活動して、腹が減った。今朝もモリモリ食べる。ご来光を拝んで、食欲が出る、現代人なのだろうか、我々は。私の嫌いな言葉『パワー貰った』のだろうか。食べたらゆっくりしようと思ったが、そうも行かないのが団体旅行。すぐに活動が始まって行く。慣れない団体さん行動に、ちょっと疲れを覚える。

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バイヨンで自覚する

午前中はバイヨンの遺跡見学だが、その前にバイヨンセンターに行き、その概略を学ぶことになっている。ここでビデオを見て、日本語の説明を聞いた。あまり予備知識を入れない私だが、勉強するという観点からは、このような試みが必要だろう。我々はそれほどに知識がなく、理解もない。

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バイヨンはクメール王朝の中心都市アンコールトムの中心。四つの顔を持つ観音菩薩の四面塔がいくつもあり、この顔を拝むのが1つのポイント。非常に穏やかでゆったりとしたお顔を見ると心が和む。回廊のレリーフも多彩。4年前にここを訪れたことを少しずつ思い出していく。ガイドが流暢な日本語で説明してくれた。日本語を勉強しているカンボジア人は多いと聞くが、最近は中国語の方が稼ぎが良いとシフトが起こっているらしい。

 

そしてバスでバイヨンへ。南の門でバスを降り、橋を渡って城門を潜る。アンコールワットより、よほどワクワクするのは何故だろうか。ずっと歩いていくと、前方に遺跡が見えてくる。確か4年前は大規模な修復工事が行われており、かなりの部分に覆いが掛かっていたような記憶があり、じっくり中を見ることもなかったように思う。

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狭い回廊に入って行くと、人が多く、歩くのに難儀した。ガイドはどんどん進んでいき、付いて行くのが大変。途中で四面塔に見入っていると、完全に迷子になる。とても横道に入り、じっくりレリーフを眺めることもできない。まあ、30分ぐらいは自由行動があるだろうと思い、裏まで一気に突き抜けた。

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ところが一行はどんどん先に進んでしまう。象のテラスなどと言う言葉が聞こえてくる。え、バイヨン、これだけ?時間の関係?単に通り過ぎただけじゃないか。我々は一体何を見に来たんだ。そんな思いは通じず、王宮の入り口に。ああ、ここは4年前、疲れたのでちょっと行っただけだった、と思っていると素通り。結局象のテラスと呼ばれる場所を一周歩いて終了してしまった。

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確かに暑いし、時間的な制約もある。かなりの不満を覚えた私がここで思い出したこと、それはその暑い中、半日歩き回って、ひたすら考え、何かを求めていた4年前の自分の姿だった。『ああ、ここで私は会社を辞めることを決意したんだ』、自覚はなかったが、ここを再訪してハッキリ分かった。ここは私にとって見学する場所ではなく、ただ歩き、何かを考え、そして方向を定める場所なのだ。そういう意味で、今回団体行動をしてみて、分かることがあった。それが収穫なのだと。

 

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