NHKテレビで中国語コラム『アジアの中華メシ』2014年7月号第4回『アジアの焼きそばを食べ比べ』

焼きそば、これもまたシンプルな食べ物ですね。筆者が一番好きなのは実は日本のソース焼きそばかもしれません。それは置いておいて、中国でも「炒麺」は非常にポピュラーな食べ物ですが、例えば日本の中国料理屋さんにある五目あんかけ焼きそばや油で揚げた麺の上にあんをかけるかた焼きそばなどは中国ではほとんど見られません。北京駐在中、日本から出張で来た人が「かた焼きそばが食べたい」と言いだし、困ったことをよく覚えています。

五目あんかけ焼きそばに近い麺は、福建省にはあったと思います。恐らくは炒飯同様、福建から台湾経由で日本に伝えられたのではないでしょうか。長崎の皿うどんなどもこの列に入るかもしれません。長崎と言えば、「長崎ちゃんぽん」の語源は、沖縄の「チャンプル」にも繋つながる「混ぜる」という意味があるとの説があります。

福建省から派生した焼きそば、と言えば、シンガポールやマレーシアでよく食べられているホッケン・ミーがありますね。ホッケンは福建のこと、ミーは麺ですね。福建麺、これはアジア各地で使われている言葉ですが、少しずつ内容は違っているようです。シンガポールのホッケン・ミーは黄麺と呼ばれる太い卵麺にエビやイカなど海鮮を入れて炒めます。シンプルで食べやすく、現地のフードコート「ホーカー」に行けば味わえますね。

因ちなみにエビの殻のだし汁で作るエビ麺というものを見たことがあります。普通は汁麺ですが、このだし汁とビーフンを炒めるとピリ辛の絶品料理になりました。何故エビの殻でだし汁を取ったのか聞くと、ある華人に「日本軍に占領されていた時代、エビそのものを食べることができなかったから」と言われ、返す言葉がありませんでした。

マレーシアへ行くと、黄色い太麺を使い、豚肉、キャベツなどを入れるため、日本の焼きそばに似ていますが、黒酢などを使うので、色合いが濃くなり、味も独特です。炒める途中に卵をポンと割って入れると味がマイルドになり、いいですね。

これとほぼ同じような焼きそばをインドでも見かけました。コルカタの路上で人だかりがしているところがあり行ってみると、何とチャウメンという名で売られていました。チャウメン=炒麺、そのままですよね。卵を入れると代金が2倍になりましたが、カレーに飽きた身には美味しかったですね。インド人にも人気の焼きそば、面白いです。

ついでに言うと、インドには「ハッカヌードル」という焼き麺があります。野菜たっぷりで、ベジタリアンの人々向けに動物性のだし汁を使わずに作るようです。ハッカは客家のことだと思われますが、なぜこの名前が付いたのか、いろいろと聞いてみましたが、誰も答えてはくれませんでした。

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この他、ビーフンを使って炒めるタイのパッタイ、目玉焼きをのせ、ケチャップや魚醬を使い甘辛く仕上げるインドネシアのミーゴレンなど、中国発祥の焼きそばはアジア各地に広がり、その手軽さゆえ、どこの人にも愛される、B級グルメの定番メニューとなっています。皆さんもアジア各地で食べ比べなどしてみては如いかが何でしょうか。

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