ベトナムGH11連泊の旅(17)ハノイの茶縁

夜中のガイド

11時頃に宿に戻って寝ようとすると、元気なオジサンが声を掛けてきた。この方は定年退職後にも拘らず、ラオスやタイをバスで回り、安宿に泊まっている。謙虚に旅を続けており、好感が持てるタイプ。何事かと思いきや、『ハノイから香港へ行きたいのだが、どういう行き方があるのか?』と聞かれる。正直私もよく分からないが飛行機代が意外と高いことだけは知っていたので、『それは列車かバスで南寧に行き、そこから広州経由か直行バスで行くのだろう』と答えると、『ちょっと待て』と言って上に上がって行った。

 

若い女子が一人下りてきた。香港へ行くのは彼女であった。オジサンはラオスのどこかで彼女と同じ宿になり面識があったので、一緒にネットで調べていたらしい。『南寧までの汽車は既に抑えた、そこからどうやって行ってよいのか分からない』というので、南寧の駅から郊外のバスターミナルへの行き方を教え、紙に中国語を書いて、『分からなければこの紙を出して人に聞いて。中国人は存外親切、特に若い日本人の女子にはきっと親切だから』と言って渡した。ただ南寧から香港行の直通バスがあったかどうかは定かではない。広州経由の場合は、もう一工夫必要かもしれないが、南寧が通過できれば何とかなるだろう。

 

ついでに私の8月の経験、掟破りの高速バス乗車についても披露しておいた。彼女がこれを使うのはリスクが高過ぎるので、勧めはしないが情報はあってもよいだろう。結局2時間ほど、この夜中のガイドに付き合い、寝たのは1時を過ぎていた。彼女は明日の朝、早くに出ていくらしい。ハノイ駅が宿から近いのがせめてもの救いだ。

 

http://www.chatabi.net/asiatabi/3775.html

 

11月29日(土)

茶縁

翌日は当然いよいよ怠惰になり、ベッドからも起き上がらない。こんな生活でよいのか、と思うほど。前日までの食べ過ぎもあり、夜遅く寝たこともあり、ダラダラ過ごす。今日もランチの予定がある。腹ごなしに歩いて、指定された大宇ホテルに向かう。このホテルは昨日も見たロッテモールの横にある古いホテル。そこまでゆっくり歩いて30分は掛かる。文廟も一度は入ろうかと思ったが、外側から見えるので、それで我慢した。

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知り合いのKさんから紹介されたYさんは、大手企業から出向して、現在はハノイ在住の駐在員。仕事の話は実に興味深く、如何にベトナムと仲良くして仕事を進めるか、や最近は台湾や中国との合弁が増えているので、仕事で中国語の必要性が出てきた話などもあり、私にも出番があるのかな、と思うようであった。

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Yさんの車で旧市街のかなり古びた家に連れて行ってもらった。そこはレストランであり、2階に上がると100年前の雰囲気がした。チャ・カーというハノイで有名な場所だそうだ。地元民で混んでいたが、何とか席を確保して、ビールを頼むと温い。それもまた風情があると感じてしまう店。そして頼んでいなくても勝手に出てくる雷魚の煮込み鍋?メニューはこの一品しかなく、何十年もの間、これでやって来ているらしい。パクチーとブンを絡めて食べると絶品。かなり濃厚な味で、どんどん食べてしまった。

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その後場所を替え、コーヒーを飲みながら話をしていると、『実は家内が裏千家で茶道を習っており、ちょうど先日えらい師匠がハノイに来たばかりだ』と聞く。その話、どこかで聞いたなと思っていると、何と例のスオンさんに会った時に言っていたことだった。その師匠は確かスオンさんの店にも行ったはずだが、と聞くと、まさに奥様も一緒に行ってスオンさんに会っていたのだ。仕事の関係のご縁はあまり驚かないが、ここで茶縁が登場したのにはビックリした。どこでも繋がる時は繋がるものだ。

 

Yさんの車でハノイ駅へ送ってもらった。初めて見るハノイ駅、思いの外小さい。やはりベトナムはバスが発達しているのだ。電車はハノイ‐ホーチミン間が30時間以上かかり、遅すぎる、ということだろう。昨晩の彼女はここから国際列車に乗って中国へ行ったが、それも一日一本程度だろうから、駅は空いている訳だ。

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Yさんとのご縁もあったので、夕方例のお茶屋へ向かう。6代目、スオンさんは幸い店に居た。彼には2年半前、ベトナム茶の歴史について話を聞いたが、その時はズンさんという友人の通訳がいた。今回は単独で行き、英語で会話したが、特に問題なく、意思疎通ができた。私がインドの話をすると彼は『最近アユルベーダに興味を持っている』というので、私の1月の体験を話してあげた。

 

『最近はベトナムの中産階級も急速に健康志向となっている』のだそうだ。店を見ても、夕方のせいか、お客は若者ばかり。こういうレトロな店が流行ってきている所に、ベトナムの小さな変化が感じられる。若者たちは床に座り、背を柱にもたれさせて、ダラダラとスマホをいじっている。お茶を飲むというより、その空間を楽しんでいるようだ。

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スオンさんはジャーナリスト活動が忙しいようだ。ベトナムの濃い緑茶を飲みながら話を聞いている間も、携帯が鳴る。何故こんな濃いお茶を飲むのか、私なりの答えを持参して行った所、スオンさんも『中国から伝わったことは間違いないだろう』と同意してくれた。陸続きの両国、昔は国境などもなかったのかもしれない。もっともっとベトナム茶の歴史が分かるとよいのだが。またの再会を約して今日は別れた。

 

宿に帰り昨晩のオジサンと道端のフォーを食べに行く。この店では前回焼きそばを食ったので今日は牛肉がたっぷり入ったフォーを頼んだが、やはり正解。量、味共に十分に満足できた。明日に備えてさっさと寝る。

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