小盛りのフォーのはずが
雨は止んでいた。昼ごはんが軽かったのか、胃袋が大きくなっているのか、どうにも腹が減って仕方がない。一人で何か買って簡単に腹の足しにしようと思い、宿周辺を探し始めた。だがコンビニすら見付からない。やはり夕飯まで待とうかと引き返すと偶然にもHさんと行き合う。
Hさんは『それなら美味しいフォーを食べたらどうか』という。ちょうど今さっき宿泊客と一緒に食べてきたらしい。小盛りのフォーもあるというので、言われた場所に行ってみた。そこは私が歩いていた道と反対方向にあり、言われなければ全く気が付かない所にあった。
夕方5時過ぎというのにお客が引っ切り無しに出入りしており、期待が持てた。言葉は通じなかったが、フォーの小さいの、という表現はできたように思う。ところが出てきた麺を見ると、十分に普通サイズ。かなりの量があった。これを全部食べると夕飯が食べられなくなる、と箸を付けたが、スープを飲むとコクがある。牛肉にも味がある。これは美味いと、生野菜をぶち込んでどんどん食べてしまい、気が付くとスープまで全部飲んでしまっていた。
お代は4.8万ドン、これが高いのか安いのか良く分からないが、普通盛りだと7万ドンするのだそうだ。店に金額が表示されているので、私にだけボッテいる訳ではなさそうだ。ベトナムに定価はない、と言われたが、このように表示する店も出てきている。そしてその料金は決して安くはなく、それでも客が来る自信があればこうなるのかもしれない。まあ地元民からは少なく徴収している可能性もあるが。
お洒落な中華系メシ
宿に戻るとN社長が、Oさん、Fさんと一緒に食事に行くという。ちょっと腹はきつかったが、N社長との最後の夜、同行することにした。タクシーで行ったので、場所は良く分からなかったが、お洒落なレストランに到着した。男3人だったらいかないだろうな、この店。日本人客も何組かいたし、欧米人もいた。
4人掛けのテーブルに案内されたがOさんが何か言っている。席を替わりたいらしい。どうやらもう一人誰か来る。取り敢えず席を確保してビールで乾杯しているとその女性がやって来た。既にホーチミンに10年以上住んでいるという。N社長ともご縁があり、Oさんの仕事仲間らしい。非常にテキパキとした人。オーダーもどんどん率先してベトナム語でしてくれる。
この店の食べ物も上品だったが、何となく中華の感じがした。さつま揚げのような物があり、かた焼きそばなどは、特に懐かしい味がした。ホーチミンには華人が住んでおり、チャイナタウンもチョロンにある。中国にほど近いハノイにはチャイナタウンがなく、遠いホーチミンにある、というのが何ともベトナムらしくて、面白い。
その後、Fさんがどうしてもお洒落なバーで飲みたいというので、Oさん達は付き合った。Fさん、一人早く来て、最後まで満喫しまくりのホーチミンだったようだ。私はN社長とタクシーで宿へ戻り、最後の風呂をゆっくり浴び、そして安らかに寝た。
11月25日(火)
ベトジェットでハノイへ
翌朝は7時台のフライトでハノイへ行く。Hさんも一緒に行くので安心していたら、『私はバイクで空港へ行きますので、空港待ち合わせで』と言われ、ちょっと慌てる。まあ、だいぶん慣れたので問題はないのだが。住み慣れた(5泊もした)宿を離れるのは寂しかったが、また来る機会もあるだろう。
朝の6時過ぎ、道に出てタクシーを探したが、何と一台も走って来なかった。もし来なかったらどうなるんだろうか?これでは優良と言われるビナサンのタクシーを選んでいる余裕などない。何とかタクシーを捕まえなければ、とかなり焦る。そこへ一台、ヒョロヒョロとやって来た。マイリンと書かれたタクシー、これも比較的良いというので、すぐに乗り込む。
空港まで30分で着いた。タクシー代も正規に支払った。LCCであるベトジェットのカウンターへ行くと既に長い列ができていた。これはかなり効率の悪いオペレーションだ。ちょっと前にHさんがいた。バイクの方が早いんだ、やはり。そこへ入れて貰ったが、それでもチェックインまで30分近くかかってしまう。
国内線なので荷物検査を経て、搭乗口へ。まだ少し時間があったので、ショップへ行き、バインミーを頼んだ。街中のモノと比べると、味も悪く、値段は4万ドン、2倍以上もした。まあ空港価格、仕方がない。Hさんが頼んだフォーも同様だった。そしていよいよ搭乗が始まる。ベトナムのLCC、ベトジェットへの期待と不安が高まる。