北京寄り道散歩(5)銀行口座は解約できず

その後はケリーセンターへ行き、久しぶりにKさんに会う。Kさんは台湾茶芸の専門家であり、台湾で習ったその茶芸の優美さでは日本人でも指折りだった。が、今回会ってみると、『ワインに嵌った』とかで、ワインエキスパートなる資格を取ったそうだ。『お茶はもうやっていない』という。寂しいがこれも現実。将来はワインソムリエだろうか。こだわりの強い、とことんやり抜くKさんの気性からして『極めるだろうな』と思う。そのKさんも『来年子供が海外の大学へ行けば、自分も北京を離れるだろう』という。そう、どうしてもいる必要のある人だけが残る街、北京になるのだろう。

 

一度ホテルに戻り、荷物を置いてまたまた東直門へ向かう。今日は先日北海でお世話になったZさん主催の集まり。ところが前日になりZさんより『体調不良につき、明日は欠席』との連絡が入る。残念。まあ、残りのメンバーで楽しくやるか。東興楼、老舗っぽいがきれいな店舗だった。

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Zさんの代わりに会をし切るのは、先日福岡のお茶会にサプライズで参加してくれた丁未堂さん、版画家。私の茶旅ロゴを消しゴム判子で作ってくれた人でもある。Zさんが福岡移住を目論んでいる関係で九州関係者が集まった。そして何と欠席のはずのZさんがマスクをしてやってきた。『今日はあまりしゃべれない』とのことだったが、始まってしまえば、どんどんしゃべる。博多の美味い飯の話で盛り上がる。この店の料理も美味しかった。

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10月21日(火)

銀行で

北京最後の日、夜にはバンコックに帰れるので、敢えてネットにはこだわらず。荷物を纏めてチェックアウトして、大きな荷物はホテルに預けて、口座を保有する銀行に向かう。銀行は以前息子が通っていた大学近くにある。彼の学資をこの口座に入れて、キャッシュカードを渡し、彼が必要に応じて使ってのだが。彼は帰国前に何とそのカードをATMに吸い込まれてしまったらしい。慌てて銀行に泣きつくも、『名義人本人以外再発行できない』と冷たく言われ、そのまま口座を放置して帰国していた。

 

まあ、時間もあることだし、ちょっと寄ってみようという感じで銀行を探し当てた。地下鉄10号線から4号線に乗り換えたのでかなりの時間が掛かった。懐かしい場所に戻った感じだ。銀行に入りフロアーの人に事情を説明すると『再発行には1週間かかる』というので『口座を解約したい』というと、それもカードを貰ってからしかできないという。ここで引き下がる訳にはいかないので、自分が外国人で、すでに北京には住んでいない事情を切々と伝えると責任者の女性が出てきて、今晩のチケットを確認の上、『対応する』との返事をしてくれた。以前に比べて実に柔軟性のある対応だった。

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パスポートを出して、手続きを待っていると、彼女が『パスポート番号が違う』という。確かにこの口座は4年前に作ったもので、2年前にパスポートを切り替えているのでその旨伝えたが、『古いパスポートを持参しない限り手続できない』という。既に彼女とはかなり仲良くなっていたので、笑いながら『どうしてもできないか』と聞くと、『大使館で古いパスポートの人物があなただと証明できる書類を作ってもらえば対応可能』とまで折れてきた。だが今から大使館に行き、戻る時間はさすがにない。万事休す。

 

せめて残高だけでも知りたいというと、特別に処置してくれ、息子の記憶通りの残高を確認した。この額が非常に微妙で、『もう一度ここまで来て、また同じやり取りをしてまで取りたい額か』というと迷う水準である。まあ、まずは東京の家に古いパスポートが残っているかどうかを確認するのが先か。

 

お引き合わせ

それから地下鉄4号線に乗り、動物園駅で降りる。実は先日会ったTさんは中国の古い映画が好き、ということで、映画に詳しいWさんを紹介したところ、すぐに連絡を取り合い、今日の昼に会うことになったという。一方私は昔一緒に働いていたS君と元々ランチの約束をしており、この出会いには立ち会えないと思っていたが、彼がヨーロッパ出張から戻り切れず、キャンセルとなったことから、急遽ランチに参加することになった。

 

Wさんが勤める出版社まで歩いて行く。何だかこの辺りは昔の雰囲気を残しているが、それも徐々に再開発されてしまうのだろうか。Wさんと会うのは久しぶり。最近は色々と忙しいらしい。TさんもWさんの映画の知識には驚いていた。私から見ればTさんも相当に映画を見ているように思える。マニアである2人の会話にはほぼついていけない。何しろ私は映画を見ない人なのだから。食事はWさんの勤務先の食堂、そして食後のコーヒーも社内のサロン。こんな体験も面白い。

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帰りはTさんの車に便乗し、途中から地下鉄でホテルに戻る。ホテル前で大きな荷物を持ってタクシーを待ったが、なかなか来ない。先日の渋滞を想定して、早めに出たのだが、タクシーが見付かるとすぐに空港に着いてしまった。まあ、もう私の心はバンコックに飛んでいた。ああ、あの愛すべき私の北京はどこへ行ったんだ?次に来ることはあるのだろうか?心残りは銀行口座の解約だけ、というのが何とも悲しい。いや、まだ沢山の友人たちがここにいる。また来よう。

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