初の中央アジア カザフスタンを行く2014(6)アルマトイ 民族服会社の女性社長

民族服会社の女性社長

それからまたぐるぐると周囲を回り、ようやく目的地に着いた。そこは立派なお屋敷の敷地の様で、木々が生い茂っていた。横断幕には女性社長が映り、ナザルバエフ大統領も映っている。これがカザフでも有名な女性実業家ということか。

 

オフィスに入ると、あでやかな民族衣装がズラッと並んでいた。結婚式の衣装から子供服まで、民族衣装ではカザフNo.1の会社である。その女性社長パリーダさんはやはり中国系カザフ人で中国語を解した。華のある社長だ。94年にアルマトイに来て、97年に起業。大統領のお気に入りとして、イギリスのチャールズ皇太子、ロシアのプーチンなど世界の有名人がカザフへ来ると、ここの民族衣装がプレゼントされる。いわば御用達である。

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それでも08年のリーマンショックの影響でそれまでの従業員200人を50人まで減らした。現在再起を図っており、キルギスに工場を建設、これからはトルコなどへの輸出を進めるつもりだ。尚中国には多くのカザフ人がいるが、輸出はしないという。これが社長個人の事情なのか、国家政策なのかは不明。

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デザインのアイデアは社長自らが出し、デザイナーに競わせ、いい物を買い取る。パテントもしっかり登録しているという。コートの中には金や銀をあしらって200万円もするものもあるという。スタッフの給与は普通の人で700‐900ドル、意外とコストも高い。

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ベシュパルマック

夕飯はシャルハル家で食べる。やはり客が来たら羊だ、ということで、今日はカザフの伝統料理ベシュパルマックをご馳走になる。これは羊肉を茹でて、肉をナイフで削ぎ落とし、きしめんような平べったい麺の上に乗せて食べる。これは豪快で実に美味い。如何にも遊牧民の料理、という匂いがする。

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肉を茹でたスープもまた絶品だ。私はこれまで新疆で事あるごとにこれを飲んできたが、今日もまた濃厚で美味い汁が出ている。ジャガイモや玉ねぎは特に入っていないが、スープを飲みながら、麺を食べるとこれまたウマイ。

 

N教授はビールからウオッカにグラスを変えていた。相手はイエルン氏しかない。あとは皆チャイを飲んでいる。因みにウイグルでは食べる前のお祈りは長老が行っていたが、ここでは誰でもいいらしい。ウイグルとカザフ、同じように捉えていたが、ある意味でウイグルは商人、カザフは牧民、全く性格も違えば習慣も異なることが分かってくる。

 

夜ホテルに戻ると断水しているという。シャワーを浴びたかったが、そのまま寝てしまった。断水は時々あるらしく、手を洗う水は別途手当していた。電気などは豊富に見えるカザフだが、社会インフラは旧ソ連のままで意外と整っていない。建国20年ではまだ難しいのだろうか。

 

8月1日(金)

トヨタディーラーショップ

今朝もシャルハル家で朝食を取る。いつものようにパンが出て卵が出たが、何と真ん中にはケーキが出てきた。昨晩食べなかったからということだが、ロシア方式では朝から甘いケーキも食べるのだという。テーブルには中国製の落花生、カザフ製の干し果なども並び、日本の朝食とはだいぶ様相が違っている。

 

今日はトヨタのディーラーショップへ行ってみる。実はバンコックの同級生で自動車部品を作っているOさんから『カザフへ行くならトヨタのフォーチュナという車種の写真を撮ってきて欲しい』と言われていた。彼の作る部品がこの車に搭載されているというのだが、何とこのフォーチュナは最近カザフでノックダウン生産が始まったというので、興味をそそられた。

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郊外の道路脇に各社のディーラーショップがずらりと並んでいた。トヨタの他、日産やスバル、三菱などが見えた。現代やプジョーなど外国勢もある。トヨタのショップは実に大きくて、見学に来た人々が休める場所などもあり、居心地がよさそうだった。

 

N教授はいつものバイタリティーで、この店の責任者を探す。出てきたのはトルコ系の男性で英語を普通に話した。ただトヨタに関することはネットで検索すれば出て来るし、日本人ならアルマトイに一人常駐者がいるので、そこにコンタクトして欲しい、と丁重に言われた。確かに車を買う訳でもない人間と話す時間などないのだろう。(帰国後大学時代の集まりに行った所、カザフのトヨタ駐在員は大学の1年後輩だということが判明。世の中狭い。彼は7月に怪我をして日本に帰国中でいずれにしても会えなかった)

 

トヨタ車はやはりランドクルーザーが人気。またビジネス車としてはカムリを売り出している。カムリはセール中で31,000ドル程度、ランクルは5万ドル以上する。お目当てのフォーチュナも展示されており、写真を撮って目的を果たす。ただこの車は生産が始まったばかりで、路上では1台を見つけるのが精一杯。折角高いお金を出すなら、輸入車を買う、ということだろうか。フォーチュナの工場はコルタナイというアルマトイから東北部へかなり離れたモンゴル、ロシア国境付近にあるらしい。何でそんなことへ作ったのか是非聞いてみたいところだ。

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因みに自動車ローンもトヨタモーターファイナンスが進出しており、ファイナンスも可能だとか。ただある人に聞くと『金利が高過ぎるし、条件も悪い』とのこと。まあ、この国のファイナンスは始まったばかりなのだろう。

 

まだ時間があったので、少し離れたスバルのショップにも行く。日系ではトヨタ、日産に次ぎ3番目に人気があると聞く。そして車そのものへの評価が非常に高いのだという。これはちょっと意外だったが、面白い。車は全て日本からの輸入だというが、どうなのだろうか。フォレスターという車高が高い車を売り出していた。カザフでも舗装道路を走るとは限らず、草原などでは車高は重要なのだろう。その辺の他社比較も付いており、面白い。一般車もトヨタよりは安く設定されており、市場参入を狙っている。自動車ローンは頭金50%、期間1年のみ。金利も15%以上とかなり高い。

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1 thought on “初の中央アジア カザフスタンを行く2014(6)アルマトイ 民族服会社の女性社長

  1. カザフスタンのお国事情がとても良くわかりました
    トヨタのショッブも興味深く
    車の需要も高いのですね

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