軽井沢旅2020(1)軽井沢の夜は早い

《軽井沢旅2020》  2020年11月9日-11日

11月に入り、冬の気配が少し感じられる。コロナの増加が警戒される時期だが、政府はいまだGoToトラベルを続けており、国民に旅行を奨励していたので、私も今のうちは旅を継続しておこうと思った。恐らく冬はまた引き籠り生活を余儀なくされる予感が十分にあったから。

前回軽井沢に行ったのは、もう6年以上も前のことだった。あの時は夏で、実にさわやかな気候だったと思うが、今回はコロナの合間を縫っていく秋の旅となった。お知り合いのKさんに誘われて行く旅はどうなってしまうのだろうか?

11月9日(月)軽井沢まで

よく分からない展開だった。Kさんに『もしお暇があればお目に掛かりたい。軽井沢へ伺うのも可能です』と連絡を入れると、なぜか答えが『では東京でランチを食べてから一緒に軽井沢へ行きましょう』というものだった。まあ普通なら東京で会えるなら軽井沢へ行く必要もないだろう、と考えるところだが、私も旅に飢えていたので、その提案に乗ってしまった。

青山で待ち合わせてランチを食べながら、聞きたいことは聞いてしまった。それから東京駅へ向かい、新幹線の切符を買い、乗り込んだ。昨日東京に泊まったKさんはGoToトラベルクーポンを使いきれずに、コンビニでドリンクやお菓子を買い込んでおり、それを分けてもらいながらの旅となった。ただすぐに寝てしまい、気づくと列車は軽井沢に到着していた。それ程に近い旅だった。

Kさんは駅の横の駐車場に車を停めており、その車に乗って予約していた宿へ向かう。車内は少し油臭いにおいがした。灯油を買ったときこぼしたという。灯油を買う、その言葉がなにやら新鮮だった。その宿は歩いても駅から数分ですぐに着いてしまった。Kさんとはここで別れてわたしはチェックイン、彼は自宅に戻っていく。何とも不可思議な光景だった。

この宿はおしゃれな作りで人気のホテルだった。だがコロナで予約は取りやすく、しかも料金も安かった。GoTo様様だが、これでよいのだろうか。部屋の作りも快適で、ベッドに転がってみると、ちょうどテレビがよく見えた。寒さ対策か、ドアも二重になっている。今日は何もしていないのに疲れてしまい、そのままゴロゴロしていた。こんな旅もまた良い。

すっかり暗くなった頃、後輩のTさんが迎えに来てくれた。6年前は彼の家に泊めてもらうなど、すっかりお世話になってしまっていた。既に退職し、悠々自適の生活を送っていたはずのTさんだが、最近のFBを見ていたら、何やらカフェの店長になっているというので、驚いた。それでちょっと訪ねてみることにしたのだ。

今晩はもうカフェは閉まっているので、Tさんお勧めの料理屋さんへ行き、美味しい蕎麦やつまみ(二人とも酒は全く飲まないのだが)を堪能しながら、この6年の出来事を話し合った。何とも言ってもOさんが今年亡くなったことは極めてショックだった。私は彼を訪ねてオーストラリアに行くつもりでいたのだが、それはついに叶わなかった。TさんはOさんの家族とも親しく、最後まで色々と世話をしたらしい。

そんな話を2時間もしていたが、食後にコーヒーでも、と言っても軽井沢の夜は早い。更にはコロナの影響もあってか、普段開いている店も閉まっていた。するとTさんはするすると横道に入り込み、ある別荘の前で車を停めた。知り合いの家に押し掛けるつもりかと思っていると、何とそこはプライベートダイニングだった。

ちょうどお客が帰って店を閉めようとしていたところにやはり押し掛けたのだ。そしてコーヒーを飲みながら更に話した。この店の店主はご主人がフランス人だと言い、今も日本とフランスを行き来しているらしい。そして20年前はフランス系金融機関で働いており、当時のことなども突然思い出してきて、今日に盛り上がってしまった(盛り上がったのは私だけで、彼女は眠かったに違いない)。それにしてもTさんの相変わらずの顔の広さには驚いてしまう。

午後11時過ぎに、ホテルまで送ってもらった。軽井沢の街中を走っていたが、全ての店が閉まっていた。『これが軽井沢のルール』なのだという。あとで調べてみると、戦前軽井沢が開拓された時から、既にルール化されていたようだ。夜遅くまで騒ぐなら他の街でやってくれ、言わんばかり。そこがこの街の魅力なのかもしれない。

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