突然ベトナム中部散歩2011(10)フエ ドネーションとは

(9)   午後は分かれて

午後はボートトリップ。小型の船に乗り込むとお婆さんが直ぐに皆に飲み物を勧め、ついでに土産物を勧める。この辺は抜け目ないというか、人の心理を突くというか、私などには非常に苦手な行為である。欧米人達はこのような行為にかなり慣れており、適当にあしらっていた。うーん。

そして上陸。果樹園に行くような話であったが、どうやら誰かの家の庭を見るらしい。かなり広い邸宅であり、建物も由緒正しそう。案内のおばさんが出て来て、英語で説明する。私に向かって突然「これはイチジク」などと日本語も知っている。フランス語も話す。相当観光客に慣れている。それにしてもこの庭園、実に様々な果物がある。

帰りにちょっとトラブルがあった。ここには入場料がなく、案内人はドネーションを要請。ガイド(お兄ちゃんは別組に参加し、オネエチャン)もドネーションして欲しいと声を出した。我々は適当に支払ったが、フランス人の若いカップルだけがそれを無視して出口へ向かった。

すると案内のおばさんが猛然と支払いを要求、フランス人は「ドネーションは必ず払うものではない」と主張した。さてどうなるかとみていると、何とスペイン人の男性が「いい庭園だったじゃないか、少しは払ってあげたらどうだろう」と宥めるように諭した。その言葉にフランス人も拒否できなくなり、一件落着。

スペイン人は「いつもの癖が出た」と舌を出す。聞けば、国では教師だそうだ。しかも現役。1か月間ベトナムを旅していると聞いていたので、夏休みでもない期間なので不思議に思う。何とスペインには「5年間、給与を85%とすれば、長期休暇を得る機会がある」というのだ。これは素晴らしい。見聞を広めて、教育に生かす。

最後の観光地、ティエンムー寺へ行く。ガイドのお兄さんたちも合流。ここには立派な塔が建っている。高さ21m、七層。慈悲と言う名の塔は格好が良い。1601年に創建されたこの寺はなかなか風情がある。寺には修行僧もいるようで、若い男女が修行を終えたのか、楽しそうに会話していた。

(10)   洗濯トラブル

ツアーを終えて、ホテルに戻る前に、洗濯物を取りに行く。昨日出しておいたものだ。東南アジアではバックパッカー向けに1㎏単位でランドリーが頼める所がある。これは私のような者にも大いに助かる。コインランドリーを自分でやらなくてよい、畳まなくてもよい、という感じだ。

今回は1㎏あたり4万ドン(2ドル)であった。ところが取りに行くとお婆さんが8万ドンを請求してきた。「これは通常のランドリーで洗ったから」などと言い、個別金額を請求してきたのだ。

お婆さんとは昨日も言葉が上手く通じず、横に居た若者に補助を頼んでいたのだが、案の定、通じていなかった。いや、外国人相手の商売だ、わざと分からない振りをして請求しかもしれない。

こちらとしては言われなき請求に応じるのはどうも納得がいかない。そこで昨日の若者を探し出すと、隅の方で小さくなっているのが見えた。トラブルになっていることに気が付いているようだった。彼を引っ張り出し、英語で確認した。彼は素直な性格で直ぐに4万ドンを認めた。

しかし今度はお婆さんが納得しない。とにかく普通に洗濯したのだから、料金を払えという訳だ。こういう時に悩む。料金は正直大したことはない。しかも相手は老人だ。どこまで自分の主張をするべきか。今回はじっと黙ってしまった。テーブルの上には4万ドンが置かれている。暫し無言の時間が流れた。お婆さんが大きなため息をつきながら、4万ドンに手を伸ばし、「お前の顔など見たくない」と言った顔をした。交渉は呆気なく終了した。

夕飯はチキンライスを探した。外国人向けの綺麗なレストランが沢山あり、欧米人がビールを飲みながら、楽しそうにしている中、何となく浮かない気分の私は場末の大衆食堂に入った。食事は美味しかったはずだが、何となく気分的に落ち込んでしまった。

11月4日(金)

7. ミトー   (1)    ミトーまで

翌朝は目覚めも悪かった。こんな日に早起きしなければならなかった。今日はフエからミトーまで行く。先ずはフエの飛行場へ行く。今回は旅行社で乗り合いバスチケットを買った。8万ドン。旅行社の前から出るというので7時半前に到着し、待機した。ところがいつまで経っても来ない。

ようやく来たバスに乗るが、そこからまた別のお客を拾いに行く。しかもゲストハウスから出て来た欧米人がその場で払っている料金は4万ドン。あれ、どうなっているの。昨日の洗濯騒ぎ以降、何だかみんなが自分を騙しているような気分になってしまう。観光地はそのちょっとした印象で全てが変わってしまう。

バスは僅か30分で空港に到着。こんなことならタクシーでもそれほど料金は掛からなかっただろう。後悔。フエの空港はこじんまりしていて、ようは何もない。バスの運転手はそれを知っていて、時間の頃合いを見て到着した感じだ。

それでも国内線のこと、チェックインを済ませても時間が余る。待合ロビーの喫茶コーナーで聞くとWifiが使える。電源もある。1本、4万ドンもするコーラを買い、メールチェックなどを始める。気分が少しまぎれる。あー、何だかネット中毒患者だ。

飛行機は順調にフライトし、あっと言う間にホーチミン空港に到着。数日前ここを出発した時が懐かしく感じられるほど、ホイアン、ダナン、フエの旅は色が濃かった。

そして出口の所でミトーへ行くため、タクシーをチャーター。ここでははじめから100万ドン、と聞いていたので、素直にそれに乗る。一度ホーチミン市内に入ればバスもあるようだが、途轍もなく不便だ。この出費は仕方がない。乗った車はトヨタの新車。ガソリン代はリッター20万ドン、物価から見ると結構高い。

田園風景の中、そしてクリアースカイの中を高速疾走し、1時間ほどでミトーのホテルに着いてしまった。確かにこれは便利だ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です