突然ベトナム中部散歩2011(7)ダナン トラブルになり街の顔役登場

(5)  河沿い散歩

博物館を出て、更に散歩。昨日会ったTさんのオフィスを訪ねる。アプサラと言う綺麗なレストランの脇にある。3年前、倉庫のようだったこの場所を自ら掃除してオフィスとしたと聞き、そのバイタリティーに脱帽した。若いということは何でもできるんだな。

オフィスにはベトナムの少数民族、カトゥー族が作った手織りの布が売られていた。なんだかちょっと落ち着く感じの布が並んでいてよい。ベトナムや東南アジアでは、少数民族による織物が残っている。それを支援していくのは大変だとは思うが、お店に並んでいる自分の商品を見たら、織り手も感激するかもしれない。

ダナンの教会は、実に清々しく建っていた。実は昨日も行って見たのだが、道を間違えて裏からしか見なかった。ちょうど工事中で、まさか正面がこんなに立派だとは思いもよらない。それにしてもブルースカイ。

街を歩いていると建設現場によく出くわす。これは中国の都市でいえば90年代だろうか。特に河沿いは建設ラッシュ。高級マンションから、高級ホテルまで。1-2年で風景が一変するのだろうか。

(6)   駅まで大トラブル

ホテルに戻り、チェックアウト。これから列車でフエに行くので、ダナン駅までタクシーで。フロントでタクシー料金を確認したが、客だというのに誰一人タクシー拾ってくれようとはしない。ちょっと嫌な感じがあったので、ホテル前に停まっているタクシーを避け、流しを拾う。

 

ところがホテル前のタクシーが流しに声を掛け、強引に私を乗せる。何故だ?「ダナンステーション」と言ってみたが英語が分からないらしい。それではと降りようとすると、彼は慌てて携帯に電話。英語のできる人間に替わったので目的地を伝え、出発。

 

運転手のニーちゃんは決して人が悪そうには見えない。まあいいか、と乗っていると、どうみても駅を通り越している。英語で伝えるも、「分かっている」と車を停めようとしない。そして・・、到着したのはバスターミナルだった。違うと首を振るとニーちゃんが困ったように携帯に電話する。電話の相手にバスではなく、列車だと伝えると、慌ててニーちゃんと替わり、了解する。が、そこで初めて、ニーちゃんに地図を見せた。だが、良く考えてみれば最初から列車のチケットでも見せればよかったのかもしれない。

 

列車の時間が迫っている。タクシーは滑るように駅に入る。料金メーターはホテルで言われた2倍以上の10万ドンになっていたが、当然5万ドンだけ払い、立ち去ろうとする。ニーちゃんが何か喚いたが、こちらも時間がなく、交渉の余地はないと首を振る。

 

駅に駆け込み、ホームを確認。ちょっと遅れているらしく、列車の姿はまだない。そしてホームへの案内はまだされていない。仕方なく、ベンチに腰を下ろす。と、その瞬間、入り口から数人の男たちが入って来て私の方へ近づく。先頭にはあのニーちゃんが。これはちょっとヤバいかも、と思い、万が一に備えて、駅員の位置を確認する。

 

ニーちゃんが私を指さすと年配の男性が実に流暢な英語で「何があったか話して欲しい」と言う。私が経緯を述べると、年配のおじさんはニーちゃんに向かって、ベトナム語で何かきつい言葉を投げている。

 

そして再度私に向かい、「事情は分かった。確かにこいつが悪い。だがこいつも騙すつもりはなかったんだ。こいつにも生活がある。今回は私の顔に免じてもう少し払ってやってくれまいか」と言うではないか。その堂々とした物腰、物言い、何故か感動してしまった。彼はこの辺りの顔役、やくざなのかも知れないが、その慣れた捌き、流暢な英語に思わず、2万ドン出していた。おじさんは「悪かったな」と再度言い、皆を引き連れ、堂々と駅を去って行った。ベトナムでは兎に角トラブルが多い。当然それを解決する役目を追う人間がいる。ちょっと面白い物を見た。

6. フエ   (1)   フエまでの列車の旅

ダナン駅に列車が入線した。乗客がホームへ入って行く。私も後からついて行くと、何とホームはなかった。ようは列車から地面へ乗り降りするだけ。ただ周囲には食べ物や雑貨を売る店が並んでおり、物売りも多い。

私は兎に角指定された車両へと急ぐ。アナウンスは全てベトナム語で、いつ発車するかもわからない。先ずは乗り込むのが先だ。ようやく車両を見付け、大勢が乗り込む中、車掌さんに切符を見せ、何とか乗る。

車内は90年代の中国の列車と言った雰囲気。人は半分も乗っておらず、これは空いていると適当な場所へ腰を下ろした。ところが横のおばさんがベトナム語で何か言っている。どうも座ってはいけないらしい。今度は自分の座席を探して座る。荷物が多いので何となく狭いが隣が空いていたので、荷物はそこへ。ところが発車が近づくと大勢が乗り込んできて満員に。分かったことは、この駅では20分も停車しており、皆が昼ごはんなどを買いがてら気分転換していたということ。

私はと言えば、いつ出るともわからない車内でジッとして居て、昼ごはんも買い損ねる。唯一車内販売が回ってきたが、それを逃したのが大きい。また来るだろうと思っていたが、その後3時間、フエ到着まで2度と現れなかった。

出発すると乗客は思い思いの行動を取る。本を読んだり音楽を聞いたりするのは一般的だが、何と駅で洗濯したタオルも干す者も。この列車、ホーチミンからハノイまで1日以上は掛かる。皆気だるい雰囲気で、動作も鈍い。

列車の速度はこれまた非常に遅い。時刻表を見た時、何故僅か100㎞行くのに3時間掛かるのか不思議であったが、今は不思議でもなんでもない。時速30-40㎞しか出ていないのではないか。海岸線沿いを走っているせいもあるのか、やたらにカーブが多く、全てがゆっくりである。

    

しかしこのスピードに慣れて来ると、なかなか心地よい。中国のような高速とはかけ離れた世界、時間がまるで止まったような世界を体験できるのは貴重である。車内にいると速ければいいというものではない、と言われているような気になる。

それでもこの列車で一昼夜過ごすのはきつい。日本が新幹線を売り込んでいるようだが、それも必要かもしれない。しかしその結果、このダラリン列車が廃線になるのは悲しい。列車は一つも停車することなく、3時間後フエに到着した。私にはここがフエかさえ分からなかったが、先ずは降りることにした。

(2)   駅前タクシー

フエの駅前は混雑していた。迎えの人々が多く来ていた。私はホテルの予約はされていたが、そこまでどのように行くか考えていなかった。駅の出口を出ると、若者がタクシーと言いながら近づいてきて、荷物を持とうとする。

怪しいと思いながら、着いて行くと、ミニバンに荷物を押し込もうとする。ホテルまでの値段を聞くと30万ドンだと平気で答える。先程揉めたダナン駅でも10万ドンだったのだから、明らかにボッタくりである。

さっと荷物を手にして、早々に逃げ出す。ちょうど目の前にタクシーと書かれた車が通りかかり、エイヤで乗り込む。ホテル名を告げると運転手は頷き、メーターを倒す。道は一本道で、左側に川が見えた。木々もあり、雰囲気の良い街だな、と思っているとホテルに着いてしまった。料金は僅か4万ドン、距離は2㎞ぐらいだろうか。

ベトナムではタクシーには気を付けなくてはいけない。その教訓をよくよく教えられた。でも思い返してみても、運が良かったのかもしれない。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です