突然ベトナム中部散歩2011(1)タイの洪水騒ぎで急きょベトナムへ

《ベトナム 中部散歩2011》 2011年10月30日-11月6日

1.出発まで 洪水騒ぎで

6月に穂高のヨーガ合宿に参加した。とても気持ちが盛り上がり、次はタイの合宿だ、と意気込む。10月末と11月末の2つのコースがあったが、日程の都合で10月末を選択。ところがこちらは定員に満たずにあえなく中止に。ガッカリしている所へ「10月末に別の場所で少人数コース開催」という喜ばしいお知らせが届く。

このコースは順調に進み、費用の払い込みも済ませて、飛行機の予約も終了。実はダージリンの帰り、コルカタからバンコックへ渡り、そこから往復を買っていた。僅か10日で戻るのだから、それが合理的だと思った。それが・・。

10日前でも既にタイの洪水騒ぎは起こっていた。アユタヤは沈没し、アユタヤ湖と化していると言う。それでも首都バンコックだけは大丈夫だろうと高を括る。しかし情勢は日に日に厳しさを増し、とうとう出発3日前、合宿の延期が通告される。バンコックは今やドムアン空港が水没し、スクンビットにすら、水が迫っていると言う。駐在員の家族の帰国が言われ始める。こうなるとどうしようもない。

航空会社は1回に限りバンコック行きの日程変更を無料で行っていた。私もそれを使おうと思っていた。しかし私はその1週間後に、バンコック発でバングラディシュに行くと言う日程が既に組まれ、航空券は発券されていた。これは行かなければならない。すると選択肢は2つ。11月6日のバングラ行きに合わせてバンコックに来る、か、10月30日にバンコック空港経由で他の場所へ行くか。

突然ベトナムへ

直ぐに浮かんだのはチェンライからメーサローン、またはチェンマイであったが、こちらは既にタイ人の疎開が始まっており、航空券が取れるかどうか分からない。そして夜眠りに着くと同時に「そうだ、ベトナムへ行こう」と突然ひらめく。それはヨーガの師匠がその週、フィールドワークでホイアンとダナンを訪問し、「ここが中国とインド文明の衝突点」とのコメントを出していたから。

ネットでベトナム航空を見るとバンコックーホーチミン便は空いている。これはいけると思い、最近お世話になっているオフィスの関係者でホーチミン在住のNさんに夜中にも拘らずメールする。「歓迎」との回答を得て、一気にベトナムモードが高まる。ところが・・。

翌朝旅行日程を検討していると、昨晩有ったベトナム航空のホーチミン行が全て売り切れている。やはり避難が本格化し、航空券に殺到しているに違いない。しかし既に昨晩バンコック行きのフライトは深夜便に変更してしまった。1度の変更の権利は使われている。さてどうする?ホーチミンのNさんにメールして、関係の旅行社を紹介してもらい、そこから1時間で航空券とホテルを押さえる。何という早業。最近旅行会社の存在意義に少し疑問を持っていただけに、この対応は嬉しかった。勿論ベトナム航空は取れないのでタイ航空となり、価格はかなり上がってしまったが。

そして問題は30日の朝、バンコックの空港が機能しているかに移る。しかしこればかりは心配しても仕方がない。ただここで遅れるとベトナム旅行は全ておじゃんになる。この賭けは正しいのだろうか。事態はどんどん悪化し、日本のマスコミは今にもバンコック全部が沈没するような勢いでその危機を連ねる。本当にこういう時に危機の演出は見事なものだ。一方ツイッター、Facebookで知り合いは「今日も正常、平静。水も来ていない」などの情報を流してくれる。あとは運を天に任せるのみ。


10月30日(日) 1.ホーチミンまで (1) 羽田空港から

29日夜、羽田空港へ向かう。元々のフライトは当日朝の成田発であったが、変更無料の恩恵を得る。ついでに今日は台湾から来た編集長との打ち合わせも出来、返って変更してよかったほどだ。

空港でチェックインしようとして、はたと「私の荷物はどこまで行くの」という疑問につい当たる。前回エアアジアでバンコックに行き、一度入国して、荷物を取り、再度チェックインして、更に出国すると言うとんでもないトランジットを経験したばかり。今回はLCCではないので、荷物はスルーされるはずだが、羽田→バンコック→ホーチミン→ダナン、一日で3回続けてフライトする経験は私にはなかった。

カウンターの若者にもやはりそのよう経験がなく、試行錯誤した。最後はベテランが出て来て、国際線は繋がるが、ホーチミンで入国し、荷物を拾って再度チェックインすることが分かる。このような基礎的なことが分かっていないと慌てる。これは確認してよかった。

羽田空港は深夜にも拘らずいつもの賑わいを見せていたが、0:30出発のバンコック行きの搭乗ゲートはやはり寂しかった。そして日系のエアラインなのにタイ人の姿が目立つ。中には子連れもいる。CAによれば、この便には当初130名の予約があったが、当日30名がキャンセル、搭乗したのは100名で、タイ人比率はかなり高いと言う。「観光で偶々日本に居て帰国する」か「日本在住者が故郷を心配して帰国する」のだそうだ。日本人の観光客らしき家族もいる。出張者もいる。しかし彼らはいずれもバンコックを経由してどこかタイ国内に行くらしい。私のように態々バンコック経由で海外へ行く人間は稀。

そしてもう一つ、バンコックでの乗り継ぎ時間が1時間45分しかないことが気になる。もし何か事故があればベトナムへは行けない。空港の混乱も十分に予想される。ちょっと緊張して、眠りが非常に浅くなる。

(2)スワナプーン空港

その心配は杞憂に終わった。飛行機は順調に飛行を続けて、何と6:00到着予定が4:55に着いてしまったのだ。その理由は「今日から冬時間で表示していたから」という不思議な物。確かに切り替えは必要だが、僅か1日で40分も到着時刻が変わるはずもない。このような対応は乗客の混乱を招く。特にトランジット客には迷惑な話。他社もこのような対応なのだろうか?

飛行機を降りると先ずは外を見る。まだ真っ暗で何も見えないが、特に水があるようにも思えない。ゲートで空港職員に尋ねると『ここには洪水なんか来ないよ』と一笑に付す。確かにこの空港が水没しては、タイもある意味お終いかもしれない。

空港に降りた乗客たちは一斉に空港職員に確認を始める。基本的に少しのタイ人を除き、ここで入国する人はいない。皆タイ国内か国外への乗り継ぎである。その方法と場所を聞いている。私も指示に従い進む。ANA職員は日本大使館のお知らせ、と書かれた紙を手渡す。しかしそれは日本語のみで書かれており、タイ人には読めず、渡してもいない。このような差別的なサービスが国際的な航空会社かどうかを決める。

トランジットにも安全検査がある。時間は朝5時過ぎ、大変な混雑であった。そもそもこの空港はアジアのハブであり、24時間稼働しているのだろうが、この時間のこの混雑はやはり洪水の影響か。そしてその検査は思ったよりも厳しく、ベルト、靴まで全て取っている。

検査を抜けて、トランスファーカウンターへ。羽田で既にホーチミンまでの航空券は確保していたが、念の為、荷物をスルーする確認を取る。混雑時には何が起こるか分からない。しかしそこの対応も極めてノーマル。異常はなかった。

今回はTGのラウンジを使わせてもらった。そこは満員の盛況。欧米人が特に多い。これはヨーロッパからの乗り継ぎなのか、タイからの脱出なのか、見当がつかない。中にタイ人のえらいさんらしき人が護衛を伴ってきていたのが、目を惹く。それでも7時前に次々搭乗口へ向かう。遅れる飛行機は一便もない。

ホーチミン行のTGに搭乗すると何と拍子抜けするほど、ガラガラ。誰が脱出のためこの飛行機に乗るか??悠々とした空の旅。離陸時に外を見ると。10日前に見たのと似たような空港周辺の水田が見えたが、特に水があふれている様子はない。あっと言う間に1時間でホーチミンへ到着。






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