タイ中部横断の旅2018(9)シーサケットで電車に乗る

フラフラ歩いて宿に戻ろうとすると、ちょっとおしゃれなホテルが目に入った。ここがこの街で一番高そうなので入っていき、フロントで『カオ・プラ・ウィハーンへ行きたい』と言ってみた。英語は出来たが、やはりあまり行く人はいないようで、タクシー会社に電話してくれ、『往復1800バーツ』という回答を得た。しかしこのホテル、ちょっと泊まってみたいかもという思いが募る。明日ここに鞍替えしよう!宿に戻ってネットで調べると、どうもこの世界遺産にはタイ側から入ることは出来ないようなので、今回は諦め、次回カンボジア側から挑戦することにした。

 

夜は食べ過ぎなので、外出はせずに、テスコで買ってきた懐かしいバヤリースオレンジを飲み(なぜ沖縄で生産終了となったドリンクがタイで売っているのか?)、その辺で買ってきたパイナップルで済ませる。夜になるとWi-Fiが弱いこの宿、動画を見ることは出来なくなっていた。ちょうどよいとばかり、旅日記など書き始めるが、疲れに負けて眠りに着く。

 

8月13日(月)
ついに電車に乗る

朝、太陽はなく、涼しい。珍しく朝食が付いていない宿なので、持っているクッキーなどを食べて過ごす。10時前に宿をチェックアウトして、昨日のおしゃれなホテルへ荷物を移動した。『チェックインは午後2時からです』と言われ、ちょっと日本的な嫌なものを感じたが、ちょうど出掛けるので、荷物を預けた。

 

今日はどうしても列車の旅をしたいと思ったが、まずは練習とばかり、近くのウトムボン・ピサイ駅まで乗ってみることにした。何しろタイで鉄道に乗るのは3年ぶり、一人で乗るは5年ぶりになるだろうか。タイの鉄道と言えば、時間通り走らないと思い込んでいるが、さて、どうなることだろうか。

 

まずはチケットを買う。行ってみると30分前だというのにかなりの列が出来ている。後ろにはなぜか中国人女子2人も並んでいる。切符は自動的に三等車、座席番号があるから席は決まっているらしい。25バーツ。ホームにはかなりの人が待っている。10分前には鐘が鳴り、その後アナウンスもあり、何と定刻前に列車が入って来るではないか。だが指定された車両がどこに来るかは分からない。警察と書かれた服を着た人に聞くと親切に教えてくれた。

 

乗り込むと4人掛けのシートで意外と清潔。まあまだウボンから30分走っただけだからだろうか。この列車はこれから10時間かけてバンコックへ向かう。なぜか丸刈りの若者が制服のような服を着て、ネクタイ締めてアタッシュケース持っているのが気にかかる。あれは何だろうか。お坊さん?セースルマン?

 

列車は田園風景を走る。次の駅で降りればよいと思っていたが、何とその前の駅で止まり、対向車とすれ違った。これにより私の列車旅は22分から25分に増えたようだ。何しろ文字が読めず、アナウンスが分からないのだから、時刻表に頼るしか下りる方法はないと思ってちょっと緊張したが、その次の駅、ウトムボン・ピサイ駅にはちゃんと英語表記もあったよ。

 

この駅も小さい。駅前は閑散としている。私はすぐに進路を線路沿いに取り、歩いていく。荷物がないし、涼しいので軽やかだ。10分ほど行くと、右手に大きな大仏が見えてきた。大仏があるとは書かれていなかったがあれだろうと近づいていき、中に入ったが、道はぬかるんでおり、大仏殿も建設中と言う感じだった。ここはどこなんだろうか。

 

更に先を見るとすぐにお寺のようなものが見えた。後で行ってみると、それは焼き場だったのだが、何とも美しく感じられた。中に入ると、普通のお寺が目の前に見ているだけだったが、その後ろに回ると、何とクメール時代初期の遺跡が保存されていた。ここが今日の目的地、サ・カムペーン・ヤイ遺跡だった。

 

20世紀に建てられた寺と11世紀の遺跡が一緒にある、こんな場所初めて見た。古い遺跡の方はかなり整備したと見え、整っている。神殿と図書館らしきものが見えるのは、やはり何となくアンコールワットの遺跡群を思い出す。建物にわずかに残る彫刻もまたそれを想起させるに十分だった。本堂に入ろうとすると犬に吠えられる。

 

またとぼとぼと駅へ引き返す。次にシーサケット行きは午後1時なので、まだ時間はある。駅前にはちょっと歴史を感じさせる木造の建物で麺屋があったので、そこへ入ってみる。やはり華人が経営している。いい場所は基本的に華人が占めているのは、どこも同じだ。さっき線路沿いに華人学校も見えたので、こんな小さな場所でもそれなりに華人は住んでいる。遠く海を渡り、陸を歩いてここまで辿り着き、生活基盤を築く。すごいパワーだ。

 

今度の電車は何だか2等車、料金も倍になっている。席も勿論三等よりは良い。我々は時間で列車を選ぶので、クラスを選ぶことは出来ないようだ。何となく不思議な仕組みだ。また20分ぐらい乗ると、シーサケットに戻って来た。新しい宿まで歩いて数分、軽く雨が降る。

 

今度のホテルは確かにきれいでよかったが、前日の500バーツに比べて、1200バーツが釣り合うのかは正直よく分からない。エレベーターもあるし、見た目はとても良いのだが、所々ボロが出ており、すごく快適とは言い難い。恐らくは昔のホテルを買い取ってリノベーションしたのだろうが、相変わらず壁は薄い。これが地方都市の限界だろうか。夜線路近くの市場で麺を食べ、焼き鳥をつまんで済ませた。

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