『インドで呼吸し、考える2011』(3)インドでは怒った方が負け

病は気から
車はタタ製。走り出すと空港の敷地が広大であることが分かる。何しろホテルは空港のすぐ隣という位置なのに何と20分も掛かった。特に道が悪いわけでもなく渋滞もないのに。ホテルに着くと門番が門を開ける。なかなか綺麗なホテルであった。既に時間は夜の10時、しかし航空機の離発着の音が響く。部屋はきれいで広く、これまでの貧乏旅行が板についた身としてはかなりの贅沢。

フロントでネットが繋がると確認していたが、上手くできずに電話する。そんなはずはないと言うが、ボーイがやってきてネットカードを持参し、これがないと繋がらないと言う。あーこれはチップを貰う手口かと思い、諦めて操作してもらう。特にインドの携帯を持っていないとID番号が取れないことが分かり、ボーイが自分の携帯でやってくれた。いくらチップを弾もうかと考えていると、彼は作業終了と同時にあっと言う間に部屋から消えていた。何だか申し訳ない気分になる。

ただ問題は電源。香港空港でソケットを買おうとしたが、インドに合うものが分からず、断念。結局ホテルでも日本製のコンセントは入らずに充電できず。余程ホテルに借りようかと思ったが、夜も更けて来ており、明日早いことを考えて寝る。

7月11日(月)
ふかふかのベットでぐっすり眠り、体調はかなりいい状態。取り敢えずホテル内を散歩。ここにはインドの喧騒は全くなく、涼しくて気持ちが良い。今日は3500mの高地に行くのだから体調だけは整えなければ。と言いながら朝ごはんを食べておこう。出発は7時だが、朝食は6時半から。微妙な時間帯だが、一番に乗り込み食べる。何だかインドに居ることも忘れ、マンゴジュースを飲み、マンゴのカットフルーツを頬張る。普通の日本人なら一番気を付けていることを平気で無意識にやっている。その自然体が重要だ。基本的に私はインドでこれまで中ったことはない。「病は気から」ではないだろうか。

インドで水を飲んだり、食べ物を食べると中る、という話はよく聞くが、日本におけるインド情報はつい最近まで「バックパッカー情報」が主だったことを思い出そう。彼らは敢えてインドの下層階級の暮らしを志向しているのであり、中流以上のインド人に言わせても「それを飲めば私も中る」ということになる。

また気候の違いも大きい。非常に暑い中を、日本人感覚でいくつもの観光地巡りをしたり、ビジネスに励めば、当然疲れ、消化力も落ち、体調不良になる。だから、私の旅は極めてゆっくり無理をしない。今回も空港で一夜を明かすこともできたが、敢えてホテルを取った。心のゆとりは大きい。

インドでは怒った方が負け
7時前にチェックアウトし、空港へ。昨晩20分掛かった所が本日は10分。ようは道の車線の関係などで行きは大回りしていただけであった。空港ではキングフィッシャーのチェックインにかなりの行列。主要都市行きもレイ行きも全て同じカウンターで行っている。昔ならイライラしただろうが、今は平然と順番を待つ。特にインドでは中国のような混乱はないので、待てば必ず順番が来る。

後ろの中国人はかなりイライラしており、しきりに係員に働き掛け、とうとう優先的にカウンターに進んだ。彼を見ていて昔の自分に重ねる。彼は相当のエネルギーを使って一見勝利を得た様だが、実は相当の疲労と興奮で、次にステップで躓きそうに見える。インドでは「怒った方が負け」「イライラした方が疲れるだけ」という感覚を彼から学ぶ。

チェックイン後の荷物検査はかなり厳重であったが、何故か水は取られなかった。空港内では香港と異なり、至る所に電源があり、座ってPCを打ちながら充電で来た。但し充電のスピードは遅く、半分しかできなかったが。電気店でソケットを購入。これがあればコンセント違いの心配なく、充電できるだろう、ラダックでも。尚ネットは無線を登録すれば使えた様だが、携帯番号が必要。私が持つ中国携帯はデリーでは繋がらず、登録は出来なかった。

天候によっては飛行機がディレーし、最悪翌日回しになることもある、と脅かされたレイ行きの飛行機も呆気ないほど順調に、定刻通り飛んだ。飛行機は昨晩同様キングフィッシャー。こちらは座席が昨日よりゆったりしていた。乗客は西洋人が多く、定員の半分程度であったので、特にゆったり出来た。それにしてもガイドブックなどには「この時期、レイ行きの国内線は予約が取りにくく・・」などとの解説があったが、なんだっただろうか。レイの街でも航空券を格安で販売している所もあった。

40分ほどでレイの上空へ。窓の外は素晴らしい景色になっていた。雪を頂き聳える山々、低い山には雪がなく、木々も見られない。その横に斜面にへばりつくように家々が点々と見える。うねるような大地に這うように生きる人間たち。不思議な感じがした。

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