《ラオス散歩2013》(4)ビエンチャン 私の心には希望の虹がある

私の心には希望の虹がある

その後ノイは我々を政府機関に連れて行った。古びたビルの4階まで足で登る。教育省だった。若い担当者が相手をしてくれた。今回のプロジェクトの1つは学校を作ることであったが、『コミュニティに還元できるような学校であれば計画書を持ってきてくれればすぐにでも認可する』といわれ、唖然とする。

 

ラオスで学校を作ることは非常に厳しく制限されていると聞いていた。社会主義国家であれば特にそうであろう。それがなぜそんなことに?『ラオスでは今新しい試みが必要だ』と担当は言う。だが聞いた誰もが『実際に申請した時に、すぐに認可してくれるとは思えない』と口々に言う。そんなところだろうか。それにしても、ラオスも少しずつ動いてきているのかもしれない。

 

それから我々は盲学校を訪ねた。病院に付設されており、広い庭があり、そこでは目の見えない子供たちが共同生活を送っていた。ノイはここで歌の指導をしているという。単に自分の学校を開くだけでなく、縁があるところへはどこへでも行って、自分のできることをしている、ノイの活動には感心させられることが多い。

 

沢山の子供たちが集まってきて、ノイに触れようとしている。彼ら、彼女らは目は見えないが、ノイが感じられる。手と手が触れ合うこと、それが如何に大切であるか、抱きしめてあげることが如何に大切であるか、を教えられる。

 

一人の少女が進み出て歌を歌うという。彼女には眼球がない。この子はこれまで一体どんな人生を歩んできたのだろうと思っていると、信じられないほど澄んだ声で、堂々と歌い始めた。

 

『私の目には見えないが、私の心には虹が見える。私は虹が七色であることを知っている。私の心には希望の虹がある』

 

ノイは大粒の涙を流しながら、ラオス語で歌われた歌詞を訳してくれた。私は心臓が止まるかと思うほど、心が震えた。恐らくはそこに居た全員がそうだったのでないだろうか。この子はこれからどんな人生を送ることになるかは分からないが、ノイと出会ったことは彼女の宝となるだろう。後で聞くとあの子は昨年のノイのサプライズコンサートできれいなドレスを着て舞台に立っていた。それがどんなことなのか、彼女の歌が教えてくれた。

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教育省が学校建設を推進するのは歓迎だが、本当に必要な学校は心の学校だと、つくづく思う。これは日本にも言えることである。

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