中国最北端を行く(8)ハルピン2 17時間の列車の旅へ

4.ハルピン2

東北料理は大皿

夕飯はN教授と2人で向かいへ。餃子屋の隣にもレストランがあったので行ってみる。そこは地下になっており、部屋が沢山並んでいたが、その奥に普通のスペースがあり、メニューはなく、自分で見て選ぶようになっている。これは漠河でもそうだったので、基本的に黒龍江省のレストランはこのような仕組みなのだろう。

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野菜や魚が並んでいたが、それほど沢山食えないので、涼皮と鶏野菜炒めを頼む。だがここは東北料理、皿が大きい。これが特徴なのだが、2人ではとても食べきれない。N教授がビールを3本飲んでいる間にお客は殆どいなくなり、店員も休憩モードに入った。ほとんどが若者。会計を頼んでも、担当がいないのか、なかなか持ってこない。若者たちは携帯に目をやり、人の話など聞いていない。全員がゲームをやっていた。

 

 

表に出ると電光掲示板に『点菜員、伝菜員、迎賓員』の募集が出ている。こんな区別があったのか。点菜員は注文を取る人。この役割が一番重要で、お客の要望を聞きながら、如何に高い物を食べさせるかを問われる。頭が良くて愛想がよい子が雇われるのだろう。実際我々を担当した子もそんな感じだった。

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伝菜員は料理を運ぶという一番簡単な仕事。きっと給料も高くはない。迎賓員は入口でお客を迎える係、容姿端麗が条件か。これだけ分業が進むと、給与条件も違ってきており、給与の安い子はゲームなどして憂さを晴らすのかもしれない。

 

2月20日(木)

スーパーと本屋

翌日午前中はハルピンに居るので、スーパーに買い物に。N教授が今晩からの列車の旅に是非ともウオッカを飲みたいということで出掛けたが、スーパーには売っていなかった。昔はハルピンならロシアの物が手に入るという感覚があったのだが。今は儲かる物、売れる物を中心に商売するということか。

 

ホテルのすぐ近くに新華書店があったので立ち寄る。黒竜江省の統計資料などをさがすN教授。毎回の光景だ。私も一緒に黒龍江省の歴史に関する本など探した。この本屋は入口が小さかったが奥行きはかなりあり、どこに本があるのか分かり難かった。

 

お昼は宋さんが同僚の大学教授を呼んでくれ、会食。この教授はロシア関係が専門で、色々な話が聞けた。今回我々が訪ねた漠河、これから行く撫遠は共に、中ロ国境にありながらも、両国関係が希薄な場所だとか。

 

極東におけるロシアは過度に中国を警戒しているので、両国関係は簡単には進まない。中国は現状ロシアから石油を輸入しているが、隙があればシベリアでの権益を伸ばしたい。ロシアもシベリア開発をしたいが、中国を使うと後が怖い。ロシア側はむしろ日本をうまく使って開発したいが、北方領土問題が絡んでくる。難しい状況で、進展がない。

 

地下鉄で東駅へ

午後ハルピン東駅に向かった。昔長距離列車は全てハルピン駅を起点にしていたが、最近はどこの都市でも同じように、東だ北だ西だ、と駅が分散している。我々がこれから向かう撫遠は中国最東端、ということか、列車は東から出る。

 

宋さんは節約を第一としている。これは私のとっては大変好ましいことだ。今回は昨年開通したばかりの地下鉄で行くという。その方がタクシーを拾う手間、渋滞を避け、しかも安いとか。地下鉄の駅までもホテルからそう遠くない。実に便利だ。

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駅は出来たばかりということできれいだし、またちょっとおしゃれな造りとなっている。鉄道駅の南駅から東駅までを結んでいる。切符の自動販売機は故障しており、係員から買う。4元。30分ぐらい乗っていると東駅に着いた。ここも比較的新しいのだろう。

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17時間の列車の旅

かなり余裕を持って出発したため、駅ではかなりの時間があった。我々は軟臥という一等寝台なので、専用の休息室があり、そこへ入る。そこには他の列車の乗客も含めて既にかなりの人がいたが、皆大きな荷物を席に置き、また3席分に1人が寝そべっており、座る場所が見付からない。すると駅員が大声で『荷物を卸せ、場所を空けろ、皆で座れ!』と命令口調で言う。日本の駅員なら至極丁寧に慇懃な態度を見せるだろうが、それでは誰も言うことを聞かない中国。このくらい言ってようやく席が空く。

 

外の混雑はこの部屋の比ではない。まるで26年前を彷彿とさせるような混み具合で、乗車のかなり前から長い列が出来ている。そして次々に列車が発車していく。それでも人は一向に減らない。

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いよいよ我々の番が来てホームへ人がなだれ込む。急がなくても席は決まっているのに、と思ったが、中には席の無い『無座』の切符を持っている人もいるのかもしれない。列車は27年前満州里へ行くために乗ったものとほぼ同じだった。緑の古ぼけた車両が何とも懐かしい。ただ中には一両が上下二段になっている車両もあり、そこが新しかった。

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我々の軟臥は4人部屋。実は参加表明が遅れたMさんはこの切符を手に入れられず、飛行機とバスを乗り継いで撫遠へ向かっている。ということは誰か知らない人が一人来るのである。その一人はオジサンだったが、上の段に登り、下りて来なかった。

 

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